北海道小児科医会

第40回東北・北海道小児科医会連合会総会

2022年(令和4年)9月24日(土)~25日(日)

会場:札幌グランドホテル

形式:ハイブリッド開催[ZoomによるLIVE配信]

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お知らせ

会長挨拶

北海道小児科医会のホームページでは、当会の活動情報や子育てに関する情報を掲載したいと考えていますので、どうぞご活用ください。

北海道小児科医会は1979年(昭和54年)に北海道のこどもの医療と保健、福祉を向上させるため設立されました。その5年後の1984年(昭和59年)に日本の小児医療と保健、福祉体制の向上のため日本小児科医会が設立されました。同じ目標と活動を目指す北海道小児科医会は日本小児科医会の構成団体となり一緒に活動していますが、広い地域をカバーするため北海道独自の取り組みも行っています。

北海道小児科医会にはいろいろな委員会があります。たとえば「予防接種・感染症対策委員会」の取り組みでは、北海道ではこれまで日本脳炎ワクチンは無料で予防接種を受けることができませんでしたが、道民の強い要望により2016年(平成28年)4月から日本脳炎ワクチンが無料(定期接種)で受けることができるようになりました。それに先立ち2013年(平成25年)4月からヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンについても定期接種化が実現し、多くの赤ちゃんが予防接種を受けるようになったためインフルエンザ菌や肺炎球菌による細菌性髄膜炎という重い病気はほとんどなくなりました。また、北海道が全国に先がけて開始した「麻しんゼロ作戦」はその後、全国に広がり日本からはしかの流行をなくすることに貢献しました。今後は北海道内の異なる自治体で一時負担なく予防接種が出来るように、北海道内の予防接種の完全な広域化を目指して行きます。

「乳幼児・学校保健委員会」では、乳幼児健診や学校健診の際に普段気づかない子どもの心や身体の不調や異常を早期に発見し対処できるよう保育園や幼稚園、学校関係者への情報提供や研修会を開催し知識の普及に努めています。

「小児救急委員会」では、小児救急電話相談(#8000)事業や小児救急医療地域研修事業を行い、小児科医が少ない道内の小児初期救急医療を補う活動を行っています。北海道小児科医会に一番新しく誕生した「小児在宅医療部」は、小児慢性疾患を持つ子どもが自宅で家族と共に安心して生活できるよう、家族や子どもを支援するための知識や技術を医療関係者が学ぶための「小児在宅医療実技講習会」を開催したり、小児在宅医療に係わる関係者のネットワークを作っていく活動を行っています。他にも、各部所管の「子どもの心対策委員会」、「社会保険委員会」、「調査研究委員会」、「地域医療対策委員会」において、北海道の子どもの医療・保健・福祉の拡充の為に様々な活動を行っています。

これからも、北海道小児科医会は北海道医師会や日本小児科医会などと連携し、北海道の子どもの健康と幸せのために活動してまいります。ホームページを通じて当会の役割をご理解いただきご協力を賜りますようお願いいたします。

2022年4月
北海道小児科医会会長 土田 晃

活動内容

北海道の小児科医の多くが都市部に偏在し郡部では小児科医が少ないという状況が続くなか、北海道小児科医会はどのような地域においても必要最低限の小児救急医療や保健福祉サービスが受けられるような環境を道民に提供できるよう取りくんでいます。その主な活動について紹介します。

小児初期救急医療提供体制について

小児救急は外来通院に対する「初期救急」、入院治療に対応する「二次救急」、蘇生や救命処置が必要な重症患者に対処する「三次救急」に分けられます。

各地にある総合病院小児科は二次救急を担当、大学病院や市立病院等に併設されている高度救命救急センターや小児病院(コドモックル)などは三次救急を担当しています。これに対し開業医や主要都市にある夜間急病センターなどは初期救急を担当しています。郡部などで開業医の在宅当番医や夜間急病センターがない場合には総合病院が初期救急を含め担当しています。

子どもの救急疾患の8割は軽症ですが、1990年代には全国で夜間の小児救急患者が小児科専門医のいる総合病院へ集中的に受診するようになり、総合病院勤務小児科医の過重労働が社会問題化しました。国は勤務小児科医の負担軽減を図るため、2004年(平成16年)に小児医療の専門家が病気の子どもへの対応の仕方を電話で助言する小児救急電話相談(#8000)の制度を導入しました。

また、小児科医が不在地域であっても内科や外科などの他科医師が小児の救急患者を診療することができるようにするため、子どもの病気や救急蘇生についての知識を学ぶ小児救急医療研修会のシステムも導入しました。北海道小児科医会はこれらの制度を活用し、小児科医が少ない地域でも子どもの病気やケガについて相談や診療してもらえるように取り組んでいます。

小児救急電話相談事業(#8000)
#8000は小児医療の専門家(看護師と小児科医)が子どもの病気やケガの対応法を電話で保護者へ助言する事業です。この事業は2004年(平成16年度)に開始し、2015年度(平成27年度)からは午後7時から翌朝8時まで相談できる体制にしました。小児科勤務経験を持つ看護師が電話相談に対応しますが、難しい対応や判断が求められる場合には、小児科医に確認して助言する仕組みになっています。電話相談員は毎年東京や札幌で開催される電話相談員研修会に参加し、最新知識を研修しながら相談対応しています。今すぐ受診すべきか、明日まで待てるのか、保護者が判断に迷う際に適確な助言がもらえるため、#8000は小児医療施設の少ない北海道の小児救急を支える大切な仕組みであります。
小児救急医療地域研修事業(小児救急研修会)
小児救急研修会は小児科医不在地域において、小児救急患者を診療する他科医師や看護師、救急隊員などに対し、子どもの病気やケガの診察や治療、救急蘇生のノウハウを伝える研修会であります。毎年道内の大きな地方八都市の総合病院小児科医が講義を行っています。これまで全道で5,000人を越える小児医療関係者が受講し、小児救急患者の診療に役立てています。

小児保健体制の向上について

北海道小児科医会は、これまで安全なワクチンの開発がされるように使用されるワクチンの副反応調査の実施や公費でワクチンを受けることができるよう公費による予防接種枠の拡大を行政に働きかけてきました。

ワクチンの副反応調査について
ウイルスや細菌感染症を予防するには安全なワクチンの開発が不可欠です。そのためには使用中のワクチンで副反応が起きないか継続的に調査する必要があります。このようなワクチンの副反応調査によって安全なワクチン開発に結びついた例が二つあります。一つは1989年定期接種で使用されるようになったMMRワクチン(はしか・ふうしん・おたふくかぜ混合ワクチン)で、その中に含まれている「おたふくワクチン」によって多くの無菌性髄膜炎患者の発生することを明らかにしました。二つ目はワクチンに安定剤として添加しているゼラチンによってアレルギー反応が発生しショックなどの重い副反応が発生することを1995年明らかにしました。このようなワクチンの安全性調査によって、現在は副反応の少ない安全なワクチンが使用できるようになりました。
定期予防接種枠の向上と公費助成システムの拡大運動
ワクチンで感染症を予防するには多くの子ども達に予防接種を行う必要があります。そのためには定期接種として公費でワクチンが受けられるシステムが提供できるようにする必要があります。北海道小児科医会は2003年「麻しんゼロ作戦」を開始し、その活動が全国に展開しました。MR(ましん・風しん)ワクチンの接種率が向上し、2015年には日本からはしかが根絶されたことがWHOによって認められました。また、2008年には札幌市や道内で開始されたヒブワクチンの公費助成要請活動がきっかけになり、2008年12月にはヒブワクチン、2013年4月からは7価肺炎球菌(PCV)ワクチン、2013年11月からは13価肺炎球菌ワクチン、2014年10月から水痘ワクチン、2016年4月からはB型肝炎(HB)ワクチンが公費で受けることができるようになりました。現在、日本ではHB、ヒブ、PCV、4種混合、麻しん、風しん、MR、水痘、子宮頸ガン(HPV)、ジフテリア・破傷風二種混合(DT)、結核菌(BCG)、日本脳炎ワクチンが公費で接種されるようになりました。
日本脳炎ワクチンの定期接種導入
北海道はこれまで日本脳炎ウイルス媒介蚊が常在していないため長い間日本脳炎ワクチンの定期接種が行われてきませんでした。しかし、多くの道民が日本脳炎流行地へ旅行したり滞在したりする機会が増えているため、道民に対しても日本脳炎ワクチンを定期接種化する必要性があることを道に要請し、2016年4月から北海道でも日本脳炎ワクチンの定期接種が開始されるようになりました。

小児慢性疾患に関する支援体制の向上

予防接種の普及で小児感染症は少なくなりましたが、逆に小児慢性疾患や心の問題を抱える子どもの数が増えてきました。北海道小児科医会は、長期的な医療ケアを必要とする子どもや保護者を支援するため小児在宅医療支援体制や発達障害児の療育体制の充実をはかる取り組みに着手しました。

小児在宅医療支援活動の普及(北海道小児在宅医療連携拠点事業)
小児医療の進歩により新生児仮死、極低出生児体重児、染色体異常、先天性心疾患などの重い健康問題を持って生まれてくる子どもの命が救われる時代になりました。しかし、急性期を過ぎても長期に医療的ケアを必要とする子どもの数が年々増え、そのような子ども達を家庭で見守り育てている家族の負担をできるだけ軽減・支援するための小児等在宅医療連携拠点事業が国の施策として2014年7月から実施されることになりました。北海道においても北海道小児等在宅医療推進協議会が設置され、医療・福祉・教育関係者が連携して福祉サービスの提供体制を整備する活動が開始されました(平成28年度北海道小児等在宅医療連携拠事業[いえーるYELL]活動報告)。
発達障害の療育体制の充実
心の問題を抱える子どもに専門的医療や療育を提供するための医療機関や専門医の不足が社会問題化しましたが、この状況打開のため日本小児科医会は2000年から子どもの心の相談医制度をスタートさせました。また国も2008年「一般小児科医のための子どもの心の診療テキスト」を作成し、心の問題を持つ子どもへ初期対応する一般小児科施設を増やしていく対策を実施しましたが、問題はまだ解決されていません。北海道小児科医会は全道における心の問題を抱えた子どもの医療と療育がどのように行われているか現在実態調査を行っており、地域に求められる対応策がなにか検討する予定です。
HTLV-1母子感染予防体制の整備
HTLV-1ウイルスは人の白血球(T-リンパ球)に感染し血液のガン(成人T細胞白血病:ATL)を引きおこす発癌ウイルスですが、このウイルスが感染した妊婦から母乳を介して子どもへとHTLV-1ウイルスが感染していくことが明らかにされています。このATLは九州や沖縄などに多い病気ですが、北海道でも年間20〜30人程度の頻度でHTLV-1ウイルスに感染した妊婦が見つかっています。現在は妊娠時の血液検査によりHTLV-1ウイルス感染妊婦(HTLV-1キャリア妊婦)を診断することができますが、この妊婦から生まれた子どもに対しては人工栄養や凍結母乳を与えることで、HTLV-1ウイルスの母子感染を防ぐことが可能であります。2010年国は47都道府県においてHTLV-1母子感染予防対策協議会を設置し、妊婦のHTLV-1抗体検査と母子感染予防のための保健指導(栄養指導)を47都道府県で実施することを通達しました。北海道小児科医会は、行政と北海道産婦人科医会と連携しHTLV-1キャリア母子感染予防体制の確立をはかっています。

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