活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

コラム (北海道医報第1131号「会員のひろば」に掲載)  大切なもの

北海道大学医師会 北海道大学大学院医学研究科

董 陽子


同期が中堅としてめきめき力をつけていく中、まだまだ看護師に間違われることの多い私です。無作為に選出とは恐ろしいもので、そんな私に原稿依頼が・・・届きました。
お断りしようかとも思いましたが。せっかく与えられた機会なので日頃思っていることを書いてみようと思います。どこまで書けるかは1ヶ月前に生まれた待望の第二子がどこまで協力してくれるかにかかっていますが・・・。
やっぱり今一番きになっているのはカウントダウンとなっている職場復帰です。私の母の時代には(25歳年上)学年に極数名だった女医も最近では過半数に迫る人数になりました。しかし、今日フルタイムで働いているママさん女医よりパートタイムで働いている方の方が多い印象を受けます。
日ごろ感じるのは、奥さんには「家事はきちんとこなしてほしいし、保育園のお迎えは5時。延長保育なんてとんでもない。僕が帰る頃には御飯やお風呂は済ませていてほしいし、土日に働くなんてとんでもない!当直なんて論外」。でも職場に女医がいれば「子どもの病気だ、保育園のお迎えが、っていいながらすぐに帰る。カンファレンスも欠席。土日の日直くらいはできるでしょう。臨床手術やオンコール当番ができないなんてどこまで迷惑かけるんだ」。どうもこの溝にママさん女医が働いていく困難さがあるように感じます(うちの夫じゃないですよ)。
お隣の国、中国はどうでしょう(私は日本人ですが・・・笑)若い世代の女性はほとんど働いているようです。出産後も働くというのは当たり前のようです。一人っ子政策のため、孫一人に対して「じいじ、ばあば」が二組います。なので、家事育児は「じいじ、ばあば」が健在ならほとんどしてくれるようです。生後間もない子どもを両親に託して年単位の海外・国内留学など珍しくないようです。仕事のため連日連夜の帰宅も問題ないとか。極端な例かも知れませんが以前知り合いの中国人に「どんな離乳食を食べさせていたの?」と聞いたら「離乳食を作ったことがないし、そのときは子どもと一緒に住んでいなかったので・・・」と返答されました。
では身近な国内の話を。私の母は子どもを二人抱えながら働いてきました。当直もこなしてきました(だから私が私立医学部を卒業できました・・・笑)。現在も私より忙しい毎日を送っています。私の母はよく私にこう言っていました。「専業主婦だと子どもの成績や出来事が自己実現になってしまうわ。けどママにはお仕事があり、お仕事がママの自己実現だからあなたたちにかかるプレッシャーは少ないのよ(=自由が多いのよ)」と。数年前までは私の弟が大学を卒業したらリタイアすると宣言しておりましたが、現在は新たな専門分野を見つけ、国内はもとより毎年父とともに海外への視察をし、生き生きと仕事をしており、リタイアのリの字も言わなくなりました。
私は働く母の子どもは経験済みです。今は「働く母の大変さ」を勉強中です。(ちなみに父は私の姿をみて母の大変さを知り、今まで育児に参加しなかったことに対して母にすまなく思い、最近ではすっかり「イクジイ」となりました。)
なんで子どもを預けてまで働かないといけないのかな、と自問することも多いのですが、このご時世で女性が職を失う心配をせず、子どもを育てていける経済力を持てる職にあるというのはとても恵まれたことだと思います。
何が大切で(仕事?家庭?)、何を優先すべきなのか私にはまだ答えが見えてきません。家事育児で精一杯で、医師同士の結婚で最近話題になったiPS細胞の山中教授夫人のような内助の功なんてとてもじゃないけど無理です。内助の功どころか夫に家事育児を手伝ってもらうことのほうが多く、重荷になっているのではないかと思うほどです。しかし、要領が大変悪い私がとれた念願の医師免許なので安易に辞めては今までの努力を捨てることになります。何とかこのまま働き続けて、子どもたちに「ママが働いているからいろいろと思うことはあるけど、ママの子どもでよかった」と思ってもらえるような家庭を築いていけたらな・・・と思っています。
追伸:先輩のママさん女医で乗り切るアドバイスなどありましたらよろしくお願いいたします。
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