市立稚内病院を訪問しました。
医師の就労環境作りを支援する事業周知のための臨床研修指定病院の訪問
市立稚内病院[平成25年7月18日(木)午後6時]
本年度第1回目の臨床研修指定病院訪問は、市立稚内病院の川村副院長をはじめ3名の先生にお集まりいただき、また、宗谷医師会の伊坂理事の出席もいただき、性別なく仕事と生活の調和がとれる就労環境の整備、女性医師が働きやすい環境と能力の発揮を可能にする就労環境づくり、地域医療のことなど意見交換をしました。
北海道医師会からは、医師会組織の概要や学術活動、会員福祉制度と女性医師等相談窓口の事業を紹介し、併せて、今年の3月に日本医師会の勤務医の健康支援に関する検討委員会で出した報告書を基に作成した「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」を紹介し、医師の健康支援のためには、適切な労働条件整備と労働環境改善を行い、労務管理の視点をより充実させることが重要であり、改善できるところから病院は取り組んで頂きたいと説明しました。
川村副院長から、今年4月から産婦人科に制限のある勤務を希望する医師が着任し、短時間正社員制度などの雇用システムはなかったが、給与面・待遇面では条件のある勤務体系は案外簡単にクリアできた。あとは、各診療科での受け入れ態勢が課題であるが、地方の病院では人材を色々な形で全て活用することが大切である。
札幌在住の女性医師が稚内に来ることはないと思っていたが、ご主人の転勤について来られるケースもあると知り、女性医師が、妊娠・出産・子育てをしながら地方都市で働けるシステムができないと、特に女性医師率が高い産婦人科の将来は真っ暗になる。女性医師の多様性のある働き方を当院として試してみて、意外と抵抗なくできることが分かり、女性に限らず男性医師にとっても多様性のある働き方のシステムができるのだと思っているとお話がありました。
また、名古屋と神奈川県で未熟児医療に関わっていた伊坂理事は、昨年11月に稚内市の開業誘致制度を利用して小児科医院を開業しました。開業してからの8ヶ月間は、北海道と捉えるべきか、稚内市と考えればいいのか分からないが、とにかく医師がいない現実と医療水準がかなり低くいことに驚き、圧倒されている。神奈川や名古屋にもそれなりに問題はあったが、女性医師がライフプランとして結婚・出産・育児をしてキャリアを積んで、専門医をとるためには、病院の受入れ体制だけでなく、同僚医師個人が納得して受入れる体制ができなければ、女性医師は、出産引退か保健所での健診業務をするだけとなってしまうのが現実だと思うとお話されました。
救急体制については、搬送先は旭川がメインで、夏場は車で3時間半〜4時間、冬場ならプラス30分であるが、最近は、ほとんどドクターヘリやジェットを使用。その場合、要請してから2時間で搬送できるので、搬送することを決断してから搬送終了までの所要時間は車の場合と同じだが、ぎりぎりまで患者を診ることができると川村副院長から説明がありました。伊坂理事は、市立病院の当直はかなりきついと思うし、基本的に小児は小児科医が診るべきであると考えているので、他科の医師が小児救急を診るより、地域連携で開業医が協力できる体制を考えるのは良いと思う反面、稚内市内でも救急車を簡単に利用する例が多く、その部分の患者教育をコツコツと進めて、市立病院の夜間診療を控え、一晩様子を見て次の日に一般外来や開業医の診療を受ける流れを作らなければならないと感じているとお話がありました。
また、研修医のお二人からは、地域研修で札幌から1ヶ月間だけ来ているが、細分化されていなく、全般を診ることができるのは今だけ、病院全体が医療だけでなく面倒をみてくれてみんなが応援してくれていると感じると感想を述べられていました。
市立稚内病院の皆さま、宗谷医師会の皆さま
お忙しいところありがとうございました。