活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

日医関係

平成25年度第2回「2020.30」推進懇話会

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂

 日本医師会では、平成22年12月に閣議決定された内閣府の「第三次男女共同参画基本計画」の中で、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標が改めて明記されたことを受けて、積極的改善措置を決め、その取り組みを進めております。

 当懇話会は、日医会内の意思決定機関ならびに政策検討の場への女性医師参画の推進を目的として、平成23年度から始められ、今回は5回目で、関東地方に16年ぶりの大雪を記録した2月14日(金)に日医会館で開催されました。

 今回は、医師会に関してさらに理解を深めていただくため、日医の喫緊課題である医療保険の諸問題、チーム医療、医療事故調査制度、予防接種定期接種化について具体的なお話がありました。

1)医療保険等の諸問題について
 平成26年度診療報酬改定に関して、日本医師会では�@医療の充実に充てるための最低限の診療報酬本体の積み上げ、�A消費税8%への増税分の補填、�B地域医療再興のための費用の3つにおいて、プラス改定を強く要望したこと、平成25年11月18日に発足した自民党「国民医療を守る議員の会」総会に参加して次期診療報酬改定に向けた見解を述べたことの報告がありました。
 日本医師会では、国民の安全な医療に資する政策と公的医療保険による国民皆保険を堅持できる政策が判断基準であり、国民が安心して老後を迎えられるようにするために、社会保障と税の一体改革を成し遂げなければならないと説明がありました。

2)医療事故調査制度について
 診療行為に関連して患者が死亡した医療事故の第三者機関への届け出と、院内調査を医療機関に義務付ける医療法改正要綱案は、厚生労働省部会・社会保障制度に関する特命委員会合同会議にて平成26年1月了承され、2月中旬に閣議決定ののち、国会への改正法案を提出し、国会審議は5月〜6月、平成27年10月1日より施行予定であるが、要綱案は、新制度の実施状況を踏まえ第三者機関への届け出と、「異状死」の警察への届け出を義務付けている医師法第21条との関係などを整理し、改正法の公布後2年以内に見直しを検討するとしています。
 今後、法制化にあたっては、医師法第21条の改正がポイントで、医療事故は個人の責任から組織での対応への展開を図るべきであると説明がありました。

3)予防接種定期接種化に向けて
 予防接種で防ぐことが出来る病気の多くは、海外では公費による予防接種が実施されていますが、わが国ではいまだ予防接種法に基づく定期接種に位置付けられておらず、7ワクチンの定期接種化は喫緊の課題です。定期接種化すべき7ワクチンの実現を目指し、日本医師会では、平成26年1月28日に、厚生労働省を訪れ、渡嘉敷奈緒美厚労大臣政務官に田村憲久厚労大臣並びに政務官宛ての要望書「七ワクチンの速やかな定期接種化について(要望)」を手渡しました。今後も、7ワクチンの実現を目指し署名活動などの取り組みを進めていくと説明がありました。

当日の参加者は82名で、北海道医師会からは、平成23年度参加の医療法人社団丘のうえ子どもクリニックの坂田葉子院長、平成24年度参加の深川市立病院麻酔科の大谷内真弓部長と独立行政法人国立病院機構旭川医療センター放射線科の山本和香子医長、平成25年度参加の渓和会江別病院外科の佐々木彩実医師に出席していただきました。

 出席された先生方から感想記をお寄せいただいたので、以下に掲載します。

丘のうえこどもクリニック
院長 坂田 葉子
 今回の「2020.30推進懇話会」では、�@平成26年度診療報酬改定について、�A医療事故調査制度について、�B予防接種 定期接種化に向けての3点について解説をしていただきました。
 不謹慎な話ですが、診療報酬の2年に一度の大改定の際には、いつもどこがどう変わったのかを理解するのが大変で、結局は自分の関連する箇所のみにマーカーで印をつけて対応していました。今回は、ポイントをつかんだ説明をしていただき、他科の改定も非常に理解しやすく、勉強になりました。やはり皆さんの関心事項は「地域包括診療料」「消費税8%」。これらについては、フロアから多くの質問が出ていました。
 医療事故調査制度について、医師の行為の責任は、やはり医師個人がとるべきものだと思います。しかし、最善を尽くしたにもかかわらず意図としない結末になってしまうことも。大野病院の事件は衝撃的でした。新しく作成中の医療事故調査制度は、医療事故調査・支援センター(第三者機関)が中心となり、安易な刑事・司法の介入を防げるものになるとのこと。医療事故は個人の責任から組織での対応への展開を図ることになるそうで、個人のみに責任が押しかかることがなくなることはとてもありがたいことだと思いました。
 予防接種の話は、今回の話題の中では小児科医にとって一番身近であり、興味深いものでした。ワクチン後進国といわれる日本の予防接種制度は、今、欧米水準に追いつくために、すごい勢いで変化してきています。しかし、我々末端の臨床医にはその変化の過程を知る手段がありません。厚生労働省のホームページは時々見ていますが、新聞に発表されて「ああ、そうなんだ」と知ることも。臨床の現場にも、子宮頸癌ワクチンの今後の進め方やいまだ定期接種化にはなっていないムンプスやB型肝炎ワクチンなどの今後の状況など、このような機会を通して教えていただけるとありがたいなと思いました。
 今回の懇話会は「行きはよいよい、帰りは…」。2週続きで首都圏を襲った大雪で、交通網は麻痺状態。仕方がないことなのですが、「20〜30�pの雪で、へこたれるな!首都・東京!」とも思ってしまいました。

深川市立病院
麻酔科部長 大谷内 真弓
 この度日本医師会の「2020.30推進懇話会」に出席したのでご報告いたします。
 2月14日、数十年ぶりの大雪の東京で行われたこの会議は、女性医師の日本医師会の活動への参加を進めるために全国の女性医師を集めて開催されました。松原副会長、高杉・小森常任理事から、医療保険制度の問題点、医療事故調査制度、予防接種の定期接種化というそれぞれ今医師の間で一番関心の高い問題につきレクチャーを頂きました。
 消費税が上がるため医療費にそれをいかに反映させていくかという問題が待ったなしになっていたわけですが、松原副会長からは医療費決定の仕組みからご解説いただき、社会保障と税の一体改革なくして安心して暮らせる社会はないこと、それに医師会が果たしている役割をご教示いただきました。日頃仕事としていながら、医療費の改定率の決定機関がどこかも知らずにいたのですから赤面の至りです。
 高杉常任理事からは、先生が長年取り組まれてきた医療事故調査制度について教えていただきました。特に救急に携わる自分にとって影響が大きく、強い関心をもっているところですが、ようやく医師が自立的に医療安全を確保するという日本医師会の考え方に近い形で国会に上程されると伺い安堵しました。
 小森常任理事からは予防接種の定期化につきご活躍されたお話を伺いました。実務を担った先生ならではの裏話も交えてのお話の中、エビデンスを作るのは学者だがそれを実現するのは医師会、というお言葉が印象的でした。
 いずれの議事にも活発な質問、意見の発表が会場からあり、多数の女性医師が全国の医師会で活躍されているのだなと頼もしく感じました。また道内各所でご活躍の女性医師の先生方にもお目にかかれてうれしく思いました。

独立行政法人国立病院機構旭川医療センター
放射線科医長 山本 和香子
   今回は、大雪の東京にて帰路の心配をしながら会に参加しました。大多数の参加者は所属医師会の理事や男女共同参画委員などの役職についており、現在は所属医師会においてこれといった働きをしていない私が参加してもよいものかと不安がありました。
 医療保険等の諸問題についてのセッションでは、「医学だけをやっていてはいい医療はできない。政治や社会にも目を向ける必要がある」との発言が印象に残りました。
 医療事故調査制度については、診療にかかわるすべての医師が十分理解できるような周知が必要ではないかと思われました。
 予防接種に関しては、予防接種法の対象疾病・ワクチンの追加にあたって費用負担割合において地方財政を圧迫しないように配慮する必要があるとの説明がありました。
 質疑応答では、ときおり放映される日本医師会のテレビCMには想像していた以上の金額が必要であるというお話がありました。今回とりあげられた話題には、私がよく理解していない内容が多く含まれておりました。今年は診療報酬改定と消費税増税の年でもあり、現在の勤務先に関する内容だけではなく日本医師会として社会保障と税の一体改革にどのように取り組むのかを知る必要があると感じました。

医療法人渓和会江別病院
外科 佐々木 彩実
   2月14日に本年度第2回目の「2020.30」推進懇話会に参加させて頂きました。診療報酬改定や医療事故調査制度等についての説明があり、特に診療報酬改定に当たって御尽力された松原先生のお話を聞くと、実際に日常診療に携わっている医師の意見を反映するために、医師会の活動が大変重要であることが理解できました。ただ,日本医師会の理事に女性枠を1人設けることになったというニュースを聞くと、枠を設けなければ女性を登用することは難しい、という風にも考えられ女性医師として医師会で活躍するようになるにはまだまだ大きな障壁があるとも思われました。
 この日は関東地方に大雪予報が出されていた日で、東京へ向かう便は午前中であったこともあって特に問題ありませんでしたが、到着時東京はすでに雪が舞っており、当日中にどうしても戻らなければいけなかったため残念ながら懇話会に最後まで参加することはできませんでした。飛行機は遅れたものの幸運にも戻ってくることができて胸をなでおろしましたが、冬の会議には交通手段の確保など特に問題が多いと思われるためビデオ会議等を活用してもよいのではと考えます。
 本懇話会への参加は、子供を持っても働きやすい環境整備など何か自分に出来ることはあるだろうかと考えるきっかけとなりました。このような機会を与えて頂いた北海道医師会の関係者の皆様に深く御礼を申し上げます。
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