活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

その他

【北海道主催】女性医師等就労支援フォーラム

日時:平成25年10月5日(土)午後1時
会場:ホテルさっぽろ芸文館

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂

 北海道主催、北海道医師会後援により「家庭と仕事を両立しながら笑顔で働き続けるために」をテーマに女性医師等就労支援フォーラムが、去る10月5日(土)に札幌市で開催された。
 高橋はるみ知事ならびに長瀬道医会長の挨拶の後、東京女子医科大学東医療センター性差医療部長・片井みゆき准教授による基調講演「女性医師も男性医師も輝いて生きるために」が行われ、引き続き、ワークショップ「働きやすい職場環境について、職場・家族・社会に求めるもの」では、片井准教授と子育てに取り組んだ先輩医師、子育て中の女性医師・男性医師とフロアとの意見交換が行われ、医師・医学生・医療関係者等122名が参加した。

【基調講演】 「女性医師も男性医師も輝いて生きるために」
東京女子医科大学東医療センター性差医療部長片井みゆき准教授
 医師としての使命“ミッション”とは、自己を犠牲にして人を支え、そこから多くのことを得る、精神的には自分を一番にして生活することを許されないが、他を支えることで自分自身の多くの喜びとやりがいを感じられる専門職で、医師の手には、治療者として病気を押さえつける手と患者の心を癒す手の両方があり、医学部を卒業すると男性医師にも女性医師にも「医師の手」を持つ権利が与えられ実践していく立場になる。せっかくこの手を持った人たちが、医師としてのミッションを遂行するためには、どのような道を選びお互いに支え合うかが、私たちの直面している問題である。どの分野においても女性医師を育成しなければ、その科は成り立たない状況で、数から言うと女性医師が半分になる時代に直面しているが、継続しないと卒業時の人数は維持できない。卒後の就業率を見ると、卒後10年をボトムに女性医師は一度臨床の現場から離れ就業率が下がる。M字カーブと言われる現象で、「子どもが小さい時期は仕方がない。」「働けないのは仕方がない。」と言われてきた。M字カーブがあるのは韓国と日本だけで、その他の国では見られない現象であり、これは社会的な環境やモチベーション、周囲の理解が影響していると思うが、逆にこれらが変わるとM字カーブが回避できると分かる。

 私がアメリカに留学ための採用面接に向かったボストンの地下鉄構内に「フォーチュン(FORTUNE)」という雑誌のポスターが貼られており、3ヶ所に「mis」と落書きがされていた。女性のキャリアを特集した記事で「家族があなたのキャリアの足枷になっていませんか」とタイトルがあった。フォーチュンは「幸せが」という意味があり「mis FORTUNE」「mis understands」、「幸せでない」「わかってない」となる。落書きをしたのが男性か女性か、どういう立場の人が書いたのかで意味が何通りにもなるが、日本でこのまま子育てをしながら仕事を続けていけないと思い、その状況を変えるため渡米しようと考えていた私にとって、その表紙の写真にスーツを着て男性より半歩遅れて歩く女性の足にしがみつく赤ちゃんの切なげな表情に胸が痛み、自分も同じように幼い子どもを抱え、環境を変えても単に保育園ができたから大丈夫とかではなく色々な問題を含んでいると思った。

 女性医師支援は、女性医師のための活動と捉えられる場合が多いが、地域医療全体として考えた場合、女性医師のキャリアは女性医師個人だけの問題ではない。アメリカのある病院の朝のカンファレンス風景の写真には医師7人が映っているが、そのうち男性は2人だけである。問題は、もしもこの7人で支えている仕事を、女性医師が次々と出産や育児を理由に休んでしまった場合、残り2人の男性医師だけで支えられるのかということである。女性医師支援の問題に取り組み始めて直面したよくある誤解に、24時間保育所を設置し、育児休暇制度を設ければ問題は解決できると思う方が多いことであった。しかし、M字カーブの頃は専門医研修の時期にあたり、単にこの時期に休めば済む問題ではなく、休んだ分は取り戻さなければならないし、取り戻すことは非常に大変なことで、男性も女性もどの時期も働き方を柔軟にしながら生涯を通して働き続けていけるシステムの構築が、最終的には医療崩壊を防ぎ、医師の過剰労働や長時間労働の緩和につながる。
 若い世代は最初から女性医師の就労環境制度に時間短縮やワークシェアリングがあるので、そこを目指しゴールだと勘違いしてしまうが、常勤で働き続けることが理想であり働けない時期のセーフティネットとして利用すれば良い。女性医師の7〜8割が配偶者は医師であるとの調査結果があり、女性医師が増え続けている現状では、今後多くの男性医師が家庭に限らず仕事上のパートナーとしても、この問題に関わってくる。
 女性医師の追跡調査結果で、仕事を続けている人も辞めた人も全員が、仕事と家庭の両立のために重要なものを「医師としてのモチベーションを持ち続けていくこと」と回答している。このモチベーションを持ち続けるには、本人自身が持ち続けられたら良いと思われがちだが、環境が重要で周りから理解を得られず、家庭でも夫の理解がないと続けるのは辛く孤立してしまう。中断理由のトップ3は「子ども」である。しかし、この状況は一生続くわけでなく、この時期はお互いに歩み寄ってどのように緩和し乗り切っていくかを私たちは考えなければならない。まず、家族と職場が女性医師の置かれている状況を理解することが一番重要で、子どもの保育の問題や急病の時の対応は、多様性のある働き方や職場環境は病院によって違い地域性もあるが、柔軟性をもって考えていかなければならない。女性医師が仕事と家庭を両立させるための三原則は、モチベーションと家庭や職場の上司・同僚の理解と保育環境の確保である。今日は、分かりやすいように「女性医師」と言っているが、最終的には女性医師に限らず「医師の仕事と家庭を両立」を問題として考え、「家庭が女性の仕事だ」という概念を捨てるところから始めないと始まらない。
 アメリカでは、ほとんどの医師が仕事を休まずに続けることが常態化しているのは、男女ともに家庭と仕事を両立させる職場環境が構築されており、オンとオフがはっきりしていて主治医制であっても時間になったらその後は当直員に引き渡し、夜中のオンコールがあっても、多くは指示を与えることで時間外に行くことはなく、当直は病院に泊まり込んでいるレジデントの仕事である。朝から夕方までがアテンデイングドクター以上の医師の仕事で、男性も女性も子どもがいる女性も関係なくみんなが仕事を続けていける。ただし、レジデントは例外で、男性も女性も本当に病院に住んでいる。また、社会的環境の学校・地域なども女性が仕事をしていることを前提に作られており、出勤前の朝6時から子どもの授業参観や面談があり、学校に行ってからお父さん・お母さんが仕事に出勤する環境は医師に限らずできている。一方育休・産休制度がなく、保育料は大変高く、入所は順番待ちのため産まれる前から予約をする。こんなに状況が悪いのに働いているのは、アメリカのメディカルスクールは、大学を卒業してから大学院扱いで進学するため、大学4年間を終了後に自分で選択する。日本に比べて私立が多く、多くの学生は裕福な家の子どもでも自分でローンを組んで進学するため、医学部卒業時には数千万円の学資ローンを抱えていることが多いが、分かっていて進学するのでモチベーションが非常に高い。卒後は働いて返済していくので、男女問わず働かない選択肢はない。

 現在、アメリカでも医学部の学生は、ほぼ半数が女性で多いところでは7割が女性のところもある。日本の女性医師は、現在重要な分岐点にいる。予測通りこのまま増え続けると女性医師は4割近くになるが、この男女比率で医療を続けていけないのであれば、医師の数を変えるか比率を変えるか、何かを考えなければならない。荻野吟子先生が日本の最初の女性医師になった時代は医師国家試験を受けることから困難であった。カナダの最初の女性医師は、男性の恰好をして一生男性として過ごした。私たちは、女性でも国家試験も受験できる時代に生まれ、勉強さえしたら医者になれる時代にいる。一生女性であることを捨てて医者になった人たちから、私たちはバトンを受け取って走っており、そのバトンを、どのように次の世代に渡せるか、日本全体が女性医師に限らず男性も含めて試されている。女性医師は、チャンスを与えてもらえればやっていける。それぞれの置かれた環境においてチャンスを与えてほしいし、与えられたチャンスは生かして輝いて一生を通して働いていただきたい。男性も女性も生まれ変わってもまた医者になりたいと思えるような時代を作っていくことが私たちの使命だと思っている。


【ワークショップ】
「働きやすい職場環境について 職場・家族・社会に求めるもの」

(1)子育て経験について(子育てに取り組んだ先輩医師代表) 
北海道医師会副会長 深 澤 雅 則
 私が結婚した頃は、共働きが社会に進行してきた時代で、たまたまうっかり女性医師と結婚してしまった。子どもができるまでは良かったのだが、子どもが生まれた後は大変で、当時、私は北大の整形外科に勤め、妻は日本でも屈指の分娩数が多い天使病院の産婦人科に勤務していた。育児休暇などない時代で、私がミルクを与え、おむつを替え、お風呂に入れ、離乳食の頃には作って食べさせていた。保育所は、小さな赤ちゃんの預かりがなく、知り合いの知り合いに預けていた。家のすぐ近所に認可保育園ができたが、役所に何度言っても私たちの収入が多いと断られ、家から車で20〜30分かかる無認可保育所に預けていた。 現在、札幌市の人口は194万人、認可保育所は231件になった。育児休業法などの法律が制定され、認可保育所は増えており、役所もなにもしていない訳ではなさそうである。女性医師の割合は、医学部の入学者の数が増えており、また女性の方が長生きするので、差し引きすると予想以上に早く30〜40%になると思う。
 昭和50年代は、昭和26年に改正された児童福祉法の「保育に欠ける子どもを保育所に措置入所させる」理由で保育園があった。それが、平成3年育児休業法制定、平成9年男女雇用機会均等法改正、平成13年育児介護休業法改正などにより社会は良くなった。平成24年の研修医アンケート調査によると、男性研修医の半数近くが「子どもができた場合に育児休暇の取得を希望」と答えており、私たちが子育てをしていた当時は、そのような意識がなかったので、男性医師の育児休暇取得に妻は信じられないとびっくりしていたが、時代はどんどん変化している。ただ、育児休暇があっても医師という職業は、長期に休んで浦島太郎にならない程度の休暇にして仕事を継続することが望ましいと思っている。

(2)子育てと仕事の両立(子育て中の女性医師代表)
札幌医科大学附属病院 西 田 幸 代
 平成13年に札幌医大を卒業後、色々な病院で研修した後、京都大学に1年と関西医大に腹腔鏡の手術のトレーニングに行かせていただいた。関西医大は当時日本で一番前立腺癌の手術を行っており、たくさんの手術をさせていただき、私は世界一前立腺癌をとった女医と言われていた。北海道に戻り、女性として全国で2番目の腹腔鏡手術の認定医の資格を取得した。この頃までは手術に明け暮れて、平成22年に大学院進学・結婚・出産、現在は1歳半の子どもがいる大学院4年目である。
 今の勤務形態は、短時間診療医として診療をしながら、合間に大学院生として研究している。札幌医大の診療医は、約10年前に大学院生や研究生など学費を払っている人を救済することを目的に作られた制度で、現在は、後期研修医や学位を取得した人たちもこの枠で雇用されて、非常に幅広い人材を確保することが可能になっている。短時間診療医は週16時間以内の勤務で社会保険などはないが、大学院生や出産後の女性医師は、この短時間診療医の枠で働いている者が多い。私は、もともとは高額所得者に入るくらい給料があったため、児童福祉手当や医療費の助成はほとんどなく、保育園も認可外で、出産前の勤務形態に戻ると、さらに色々なサポートに月約18万円は必要となる計算で、税金・社会保険料、学会費などを考えると、子どもを預けてまで働いていられないと思ってしまう。
 われわれの重要な任務は、地方病院への診療支援である。北海道の医師は札幌に偏っており、札幌医大の大学院生・短時間診療医が地域に応援に行き、地方での医師の負担軽減または医師のいない地域に高度医療を提供し、必要であれば都市での治療をスムーズに橋渡しをしている。現在の私の生活は、6時起床で夫と洗濯や掃除をして、子どもを保育園に預け8時のJRに乗車して約50�q移動して診療支援、午後は大学に戻り研究などをし、夜は子どもが泣き出す前に布団に入りアイパットで論文チェックである。子育ての時間を確保するには、短時間診療医が望ましいが保育料もままならないので、結局医局から斡旋される単日の出張で生活をしている。アルバイトと言うと聞こえは良くないが、これは北海道の重要な役割で、大事な仕事をしていると認識し、我々はプライドを持って単日の出張に行く。長時間移動のリスクはあるが、ワーキングシェアで複数の医師がその土地の医療を守っているので、子育て中でも可能な仕事の一つで、地方に高度医療を提供する意味では非常に大事な仕事だと思っている。
 実際に、今年の1月に地方の先生が急病で医局に診療応援の依頼があり、約400�q離れた土地に子どもを連れて行くことにした。その際に病院にお願いしたことは、最低限子どもの安全確保と子どもと一緒に当直することであった。病院では、医局にベビーベッドを用意し、事務の方が交代で世話をして頂いた。このように、意外とちょっとした配慮があれば出張も可能だと思っている。
 本業の研究では、今年5月にアメリカの泌尿器科学会で演題が通り、子どもを連れてサンディエゴに行ってきた。過去の24時間体制スタイルの外科医に戻れる気配は全くないが、このような状態でも地域医療に貢献できている。医者の選択肢は多彩で迷うのは当然であるが、選ぶのは自分しかできない。また、サポート体制は年々改善されてきているので、迷っても諦めず、私自身もせっかく身につけた技術なので、そのうち北海道の皆さんに提供できたらと思っている。
(3)男性医師の育児休業(子育て中の男性医師)
NTT東日本札幌病院 進 藤 哲 也
 苫小牧市出身の昭和55年生まれの医師9年目である。家族構成は、3期上の札幌医大第一外科勤務の妻と、今年小学校1年生で7歳の長女、次女3歳、三女は2歳である。
 育児休業取得当時に所属していた札幌医大泌尿器科教室では、地方への診療支援という大事な仕事もあり、人的要因から厳密に言うと、育児・介護休業法による休業ではなく雇用形態を変化させて、大学勤務免除の週2回の出張に不定期に行かせていただく形で平成23年7月から9月の2ヶ月間取得した。取得前は、色々な家事手伝いのサポートを利用して、大学と他の病院を含めて月6〜7回の当直、休日は月4日間くらいで、帰宅は大体夜の8時頃で日をまたぐこともあった。育児休業取得の目的は、余裕のある精神状態で子どもと接して育児をしたいことと、おそらくこれが最後だと思われる3人目が生まれ赤ちゃんの世話をしたいこと、臨床医夫婦の家庭生活の基盤を模索する時間に充て、それまでは仕事だけに目を向けていたものを家庭にも目を向ける時期なのだと考えた。専門医を取得した翌年である。
 育児休業のメリットは、家庭環境が不安定になると精神的にも肉体的にも影響があるので、これを整え仕事へのプラスの効果が得られ、また、私の家庭は妻も外科医なので、女性医師に対する支援の方向性を一定させる効果がある。家庭と日常業務ですべきことが増えるので、効率的により仕事をこなしていくことを常に意識するようになり、時間配分を計画的に済ませられる。仕事だけを考えると時間さえあればいくらでもできるが、効率よくこなせていないことが多分にあるので、その点はメリットとしてあげられる。実際に取得する場合には権利を主張することも大事であるが、最終的には自分の仕事を誰かが負担することは事実なので、協調性を持って調和を大事にする姿勢と主張するところを主張すること。育児休業法の観点から考えると、1年以上同一の職場にいることが大切である。若手医師のひとつの目標である各科の専門医資格の取得も大事で、専門医取得は一つのハードルとして超えておきたい。当然上司の理解、勤務先への相談も必要で、とにかく普段から自分の仕事にはきちんと取り組んでおくことが大事。先ほどのお話に「浦島太郎にならないで」とあったが、休んでいる間に同僚は色々な仕事をこなしてスキルアップをしているのだから一定の期間を休んでも差支えないくらい、普段からより熱心に臨床に取り組み自分の技術や知識を磨いておくことが精神的安定につながる。
 女性医師のキャリアアップではネガティブな考えとして妊娠・出産が出て、男性より長期的なモチベーションの維持を要求される。医師が働く社会的意味に関して夫婦間の理解が不可欠であり、男性の育児休暇取得は精神的なサポートが内面に出る。2ヶ月の休業では短すぎるので、あくまでも自分のスタンスを打ち出し協調性を持たせる意味ではサポートになると考える。

 その後、フロアの医学生から「女性医師が働いていく上での困難やこれからの希望を聞けて嬉しく思った。妊娠や出産を経て、女性医師がキャリアを形成していく上で配偶者や同僚の理解が大切ということだったが、理解を得るためにはどうしたらよいか、夫婦が共にキャリアを形成していく上で、一番大切だったことを教えてほしい。」と質問があり、「いざ医師として働き始めると、周りのスタッフは自分たちよりも経験のある人ばかりであるが、そのスタッフたちに指示を出していくことになる。指示を出すだけではなく、時には甘えたり、褒めてあげたりして上手く動かしていかなければならない。それに比べれば、夫を動かすのは簡単。」とパネラーから回答があるなど、フロアとのディスカッションを行い盛会裡に終了した。

 片井講師の基調講演では日本は医療人の分岐点に置かれていると指摘されていたが、我々の苦しかった時代に比べると制度も整備されてきて、自分たちのモチベーションが頑張ろうと思うと手が届く時代になっていると思う。悩みを一人で抱え込まず、育児は一人でするのではなく色々な人の手を借り、社会の援助を得ながら、男性も女性も次世代を育てるのは楽しいし、子どもも良い成長ができると思う。
 全国47都道府県の行政が本日のようなフォーラムを企画することはあまりなく、北海道が開催し、週末にも関わらずたくさんの方が参加され日本の未来は明るいと感じた。


本フォーラムに出席された札幌医科大学医学部3年の石畠彩華さんから、
感想記をお寄せ頂いたので以下に掲載する。

女性医師等就労支援フォーラムに参加して (23歳 女子医学生の視点から)
 札幌医科大学医学部3年 石 畠 彩 華 (IFMSA-Japan 副代表外務担当)
 当フォーラムにて話し合われた、女性医師が子育てとキャリアの両立で悩む原因とその解決策の中で、私が強く共感したのは「自分の人生において大事にすべきもの、プライオリティを設定すること」です。これは女性医師問題に限ったことではなく、あらゆる場面で重要視されるべきことだと思います。日常生活の中のさまざまな学び楽しみの一つ一つも、そのプライオリティという名の目標を胸に持っているか否かでその意味合いが変わります。第2の人格形成期と呼ばれる20代はそれに向かえる、あるいは目標に向かって再スタートを切れる重要な時期になりうると聞いた事があります。ですので、プライオリティをしっかりと定め、早いうちからそれに向かって行動を起こすことの重要性を痛感しました。パートナーをはじめとし、自分の将来の可能性・選択肢を広げるために様々なことを経験する必要があり、時間がたっぷりある学生時代というのはそのために時間を使う大事なライフステージであると感じます。
 基調講演にて片井みゆき先生より、欧米諸国と日本のデータ比較の結果より、やはり“社会の風潮の違い”がキーポイントであるというお話がありました。
 日本では、女性が男性の一歩後ろを歩いていることを美徳としている点は否定できません。これは私が国内外の同世代との交友の中で日々感じていることであります。
 しかし、これは男性だけではなく、近代の日本人両性の価値観であり、これを変えていくためには女性・男性共に一緒に取り組まねばならないと感じています。また、その中で、働く女性が、賢くいかに自分のキャリアや生き方を尊重してくれるようなパートナーを選んでいくことが、個々人が取り組むことができる”出産後も女性が働きやすい社会のムード”を実現させるための大事なアクションになるかと思いました。
 最後に、同じく片井先生のお話の中で“子供を持つ”ことが“生まれ変わっても医師になりたい”という項目に関して陽性因子であるという事実にはとても嬉しくなりました。これはこれから出産を考えている女子医学生、女性医師の背中を押してくれる素敵な統計でした。
 フォーラム全体を通して、情熱溢れる女性医師の先輩方のお言葉やその姿勢に大変感銘を受けました。私自身、弊団体はじめ周囲の学生達とディスカッションを続けていきたいと思います。

記事一覧を見る

アーカイブ一覧

TOPに戻る