活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

日本医師会共催:医学生、研修医等をサポートするための会「医学生・研修医と語る会」〜「家庭における2人の協働〜男女ともに輝いて働くために」

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂

 北海道医師会では、医学生・研修医が意見交換を通じて、男女共同参画やワークライフバランスについて、性別を問わず、若い時期から明確に理解してもらうことを目的に「医学生・研修医と語る会」を開催しており、本年度は11月13日(木)に北海道医師会理事会室で開催した。
当日は、医学生12名と女性医師ご夫婦2組が参加し、医学生によるミーティング形式で開催した。

最初に、「家庭における2人の協働〜男女ともに輝いて働くために」をテーマに、妻が女性医師の方から、家庭生活や子育てなどで工夫していること、男性が家庭生活にかかわるために必要な職場や社会の支援について話題提供をしていただいた。
 その後、参加者の中から旭川医科大学4年の矢口陽介さんと北海道大学4年の野村朝子さんに進行を務めてもらい、フリートークを行った。 
 なお、この会には北海道医師会から長瀬会長、深澤副会長、伊藤・北野両常任理事、女性医師等支援相談窓口のコーディネーターと小職がオブザーバーとして参加した。
  ◇

話題提供
「家庭における2人の協働〜男女ともに輝いて働くために」

■飯島ご夫妻
 自分たちの経験や現状を話すことで、少しでも学生の方々の参考になれば、また子どもを育てながら働く大変さや喜びを少しでも伝えられればと思う。
夫は札幌市議会議員でもあるので、意見交換を通じて得たことは今後の街づくりに活かしていきたいと思っている。
 9歳と7歳の子どもたちは、小学校下校後は学童保育所に通っている。夫は結婚後に議員になったが、選挙中は妻が第1子出産後でフルタイムではなかったこと、その後第2子も生まれ産休を取得できたので、その間、育児・家事はすべて妻がしていた。議員になってからは、市民の税金をいただいて仕事をしており、育児のために議会を休むことはできないが、可能な限り、発熱などの緊急時の子どもたちのお迎えや、ご飯を食べさせるなどの協力をしている。女医は医師同士での結婚が多いが、異業種の方と結婚することも、知らない分お互いを尊重し、補いあえる時間が多く、仕事を続けていくには良いと感じている。
 妻は、札幌医大第一内科の大学院修了後、市内で消化器内科勤務医としてフルタイムで働いている。現在、理事長、院長の理解を得て、夜間当直は免除していただいており、その分、日勤で頑張るよう努めている。結婚して夫婦二人だけのときは共働きで困ったことはないが、子どもがうまれてからは、しばしば予想外の事態に遭遇し、両立に悩み困ることも正直ある。しかし、それを補って余りあるモチベーションを与えてくれる存在であり、ひとりではありえない種々の家族問題をいやがおうでも経験するため、臨床医として患者や患者の家族の事情を理解でき、より良い診療をしていく上で役立っており、結婚出産は決して女医にとってデメリットではないということを強調したい。

■大坂ご夫妻
 夫は専門学校卒業後、鉄道関係の会社に勤務しているが、今年、二人目の子どもが産まれた際に育休を取得した。家族のために料理を学ぶため、現在休暇中に夜間の調理学校に通学中である。
妻は久留米大学卒で、脳神経外科専門医である。脳神経外科は非常に忙しい診療科で、寝る時間も限られるような毎日を過ごしていたが、34歳の時に結婚を意識し結婚紹介所に登録して婚活を始めたものの、仕事が忙しくお見合いすら行けない状況だった。
 そんな時に、出張のため搭乗した飛行機の中で夫と出会い、翌年結婚した。医師としての仕事は今まで通り続けることが結婚の条件であったので、家事や子育てはすべて夫が担当している。今はまだ、子どもが授乳中なので、外来診療のみだが市立札幌病院の外来を週に二回、週末は毎週、岩見沢や苫小牧などに出張して当直をしている。
 

フリートーク
テーマ「もしも自分が厚生労働大臣なら、
北海道知事なら…」

○男子学生(旭川医科大学5年)
最近ようやく、女性医師の仕事と家庭の両立について、職場の理解が得られるような環境が整ってきていると感じている。これからは、男性も育児に参加することが求められてくるので、女性だけではなく男性の育休などについても、社会の理解が進めばと思う。
○女子学生(北海道大学5年)
男性の育児や家事への参加を促すため、男性の育休なども制度としてはあるが、実際に取得するにはまだまだ壁が高いと思う。大坂さんが育休を取得する際は職場に育休の制度はあったのか、また職場の反応はどうだったのか。
○大坂氏
職場で育休を取得したのは私が初めてで、女性でも取得した社員はいなかった。育休制度自体は元々あったので申請したが、前例がなく会社としてもどう処理をすべきかわからない状況だった。結果として、7月11日から1年間の育休を認めてもらえたが、やはり周りからの目線は厳しいものがあった。ただ、私の家庭の場合は、私が育休を取らなければ家庭が回らなくなるので、人の目、周りの目を気にしてはいられない。育児サポート業者の利用も当初は考えたが、長男が3ヵ月の時に感染症に罹ってしまい、保育所に預けるとどうしても感染症のリスクが高くなるので、出来ることなら夫婦二人で面倒を見ていきたいと考えた。また、他人に子どもを預けることにも抵抗があった。
○女子学生(旭川医科大学3年)
女性医師にお話を聞くと、大変なことや辛いことをよく耳にするが、子育てしながら働くことについてポジティブな面を教えてほしい。
○飯島先生
子育てで仕事のキャリアアップが遅れることは悪いことばかりではない。子育ても仕事も家事もすべて精一杯頑張ることで、一回り成長できるはずである。結婚して子どもがいる医師だからこそできる仕事もでてくると思う。
○男子学生(旭川医科大学3年)
自分が親になった時に、子どもの教育に心配がある。北海道は全国的に見ても教育レベルが低いと感じていて、地方ではなおさらだと思う。子どもの教育のことを考えると地方勤務は避けたいと思ってしまう。
○飯島氏
今のご意見はよくわかる。実際、文科省の全国学力・学習状況調査の結果を見ると、北海道は全国最下位レベルに位置しており、道内でも地域格差があるのは事実である。これは、子どもや保護者の側の責任ばかりではなく、その格差を「個性の尊重」という言葉にすりかえている現在の教育行政側にも問題があると議会にいて痛感しており、ぜひ改善していかなければならないと考えている。
○長瀬会長
北海道医師会では、地方を訪問し小学生や中学生などを対象に、医師の仕事内容の紹介や病院見学などを行う青少年育成事業を行っている。小さいころから医師の仕事を理解させ、意識させることで将来医師を目指す子どもが増えればとの思いで開催している。北海道の学力レベルが低いのは、頭が悪いのではなくやらないだけで、一生懸命勉強すれば、誰でも医師になれるということを子どもたちに伝えていくことが大切である。
○女子学生(北海道大学5年)
今は、卒業後の研修をどこで行うか悩んでいる。各病院の資料を見ていると、託児所のある病院や復職プログラムのある病院がまだまだ少ないように感じる。病院の支援体制整備が、進むことを望む。
○男子学生(北海道大学5年)
家庭を大きく分けると、専業主婦の家庭、夫が主夫の家庭、共働きの家庭の3つになると思う。夫婦のどちらか一方が家庭にいれれば問題ないが、共働きの場合にさまざまな問題が生じてくる。現代の家庭の形は多様化しているので、さまざまなニーズに答えられる政策が必要だと思う。
○女子学生(北海道大学4年)
医師は一人前になるまでに10年かかると言われているが、その10年の間が結婚や出産のタイミングにも重なってしまう。キャリアを積んで成長していきたいという思いと、結婚して子どもを持ちたいという女性の思いが入り混じってしまい、どちらを優先するべきかが非常に難しい問題である。飯島先生は、保育園はどのように探したのか。
○飯島先生
当初は勤務先の病院附属保育園を利用し、第2子出産で退職後は産休明けで認可保育所に預けることができた。兄弟がいる、産休明けである、など認可保育園には優先事項があり、あらかじめ調査しておくと慌てないと思う。しかし、認可外に預けざるを得ないことも多いと思う。
○飯島氏
札幌市では、待機児童ゼロを目指して保育所の整備を進めている。近年、文科省では幼稚園と保育所が一緒になった教育も保育もする幼保連携が進められている。
○男子学生(札幌医科大学4年)
男性が育休を取得する際に、周りからいい顔をされないのは制度への理解がまだまだ進んでいない証拠だと思う。制度がある以上、利用することへの理解を社会全体が持たなければならない。
○女子学生(札幌医科大学4年)
 昔から医師の世界は男性社会であるがために、その世界に女性を加えるという発想自体がおかしい。女性が男性側に合わせるのではなく、男性が女性側に合わせるような制度があっても良いと思う。



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