活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

病院訪問

医師の就労環境づくりを支援する事業周知のための臨床研修指定病院訪問(その1)

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂

 本事業は、女性医師等支援相談窓口事業をできるだけ多くの医師に知ってもらうことと、これから医療の現場に飛び込んでいく若い医師たちとの懇談を目的とし、さらに仕事と家庭の両立ができる職場環境整備と医師の健康的な就労環境づくりに必要な支援事業を紹介するため、平成24年度に開始しました。
北海道は広大であるため、医師会長ほか役員とコーディネーターが分担して各地を訪問しており、これまでに19病院を訪問しました。

                   ■全訪問先19病院一覧

 訪問することで管理職、指導医、勤務医ならびに研修医の先生たちと話をすることができ、北海道の地域医療に関する現状や、各病院の取り組みをお聞きすることができました。
男性・女性に関係なく、また、医師だけではなく看護師や事務職員も責任を持って働くことができる職場環境づくりが進んでいることを実感いたしました。
 平成26年度は6つの病院を訪問しましたので、各病院の様子は、訪問したコーディネーターからそれぞれ報告します。

                         ◇
倶知安厚生病院
[平成26年6月12日(木)]
コーディネーター 澤田 香織

 倶知安厚生病院の理念には、地域住民の皆さまが安心して暮らせる地域づくりが謳われている。だからこそ、地域住民からの信頼をうけ、臨床研修病院の中では一番小さな病院であるが、地元地域住民から大きな病院としての役割を期待されている。
 今回は、高木副院長、木佐主任医長、研修医3名、そして林看護部長を含む14名の懇談会となった。
初めて医師の就労環境づくりの懇談会に、医師だけでなく、高い意識を持ち病院を支える看護部長の参加となった。心から感謝したい。医師にとって働きやすい職場づくりのためには、女性医師への配慮を契機に見直し、さらに職種も越えて病院全体で働きやすい職場づくりを考えることは大切であると改めて認識した。
 意見交換では、診療科目が限られ脳外科はなく、総合診療科が平成24年に発足、現在7名体制となり、循環器、消化器をカバーし診療を行っている現状を伺った。研修においては、専門に限られている地域よりかえって幅広い患者を、内科を軸に診ることができる。一方で専門分野をもってから総合診療科で診療したいという意見もあった。いずれも、この地域で研修することを、自ら選び研修に満足されていることが伺えた。さらに地域においては、地域住民の温かい受け入れの感情・資質や四季折々を楽しむことのできる地域環境も選択に重要であると伺った。
 育児については、現在困っている医師はおられなかった。しかし女性医師がフルタイムで働くには、ベビーシッターを気軽に使える習慣、院内保育・病児保育が重要である。倶知安近郊は外国人も多くシッターは不足しているようだ。地域では地域の救急体制を支えるバックアップシステムを強く望まれている。 人員はもちろん、救急搬送において断らない二次救急体制を強く期待する。最後に、女性医師等支援相談窓口などの北海道医師会事業について説明させていただいた。倶知安には訪問時現在まだ使える事業所はないが、今後は積極的に活用する女性医師の地域定着を期待したい。
                       ◇
八雲総合病院
[平成26年6月20日(金)]
コーディネーター 小葉松 洋子

 八雲町は渡島半島の北部にあり、函館市と室蘭市の中間に位置します。旧熊石町と合併したことにより、東は内浦湾(噴火湾)、西は日本海に面し、まちのキャッチフレーズは「太平洋と日本海 二つの海を持つまち」です。八雲総合病院は日本で最大の町立病院であると聞いたことがあります。現在、固定医23人、出張医を常勤換算すると計33人程度だそうです。現在勤務している女性医師はいないとのことでしたが、女性医師に限らず、勤務医が働きやすい就労環境作りに北海道医師会は何ができるか、という観点から病院訪問に伺いました。
 まず佐藤院長から、地方病院の抱える最大の問題は深刻な医師不足、その一因として、女性医師は地方に行くのを躊躇する、既婚の男性医師の妻が地方に住みたがらない、という話が出ました。女性医師の配偶者は医師が多いので、夫婦2人で来てもらう人事が可能なら、医師2人ゲットできる可能性があると思うのですが、配偶者と離れて1人で地方に行けと言われれば、躊躇するのもやむなしかと思います。子供がいる夫婦の場合は2人が同時に呼び出された場合は大変なので、有能な家政婦さんやベビーシッターを地元で手配してくれるようなバックアップが必要です。女性医師の比率が増えている以上、地方で働くとよい家政婦を紹介してくれる、というようなサポートは、都会の病院にはない付加価値だと思います。少なくとも八雲総合病院は、医師が来てくれるなら、いくらでもサポートします、とやる気十分でしたので、今後に期待しております。しかし佐藤院長は、夫婦ペアでの人事はなかなか実現しない、というお話しでしたので、人事を決める立場にいる方々には、ご配慮をお願いしたいものです。
 八雲町では小中学生を対象に全医療関係職種の仕事を体験できる「なりきりツアー」を開催し、地元から医師や看護師になりたい子供を増やそうという取り組みを行っています。
佐藤院長の呟き「医学部の地域枠は、道内の地方ごとの地域枠に分配してくれると、田舎からも子どもが医学部に行けるので田舎で働いてくれる医師が増えるんじゃないか。」でした。
                       ◇
富良野協会病院
[平成26年8月4日(月)]
コーディネーター 坂田 葉子

 平成26年8月4日、医師の就労環境づくりを支援する事業周知を目的とした北海道医師会の事業の一環として、富良野協会病院を訪問してきました。病院側からは、院長の羽根田先生、副院長の小山内先生、角谷先生のほか、現在5年目の女性外科医とその指導医、初期研修の先生方、看護スタッフの方たちが参加してくださり、意見交換をさせていただきました。
 地方の病院は、慢性的に医師不足です。この病院も医師数は現在20人で、「あと10人医師がほしい」と院長先生がおっしゃるほど。しかし、人が足りない中、当直や呼び出し、搬送当番などに独自のシステムを作り、若い先生方に負担感を持たせないようにしている努力には、感心させられました。
 また、研修医に注目してもらう病院にするためにもいろいろ工夫されているようでした。驚いたことに、今回出席された研修医の2人は、ともに関東の大学出身で、将来を見据え一緒に研修できる病院を探し、この病院に決めたそうです。都会で大人数の中で研修するより、この風光明媚な富良野の地で2人の時間を持ちつつ、自分の希望に沿った研修を受けられる環境にとても満足しているようでした。ここは旭川から車で1時間足らず。麻酔科など自院で研修できない科は旭川医大の助けを借り、個々が望む研修を行っているとのこと。都会では経験できない研修ですね。
 若い女性医師の就労支援にも、積極的に取り組んでいこうとされていましたが、おそらくこれまでこの病院で勤務されていた女性医師たちの凛とした働きぶりがあったからだろうと想像させられました。まだまだ偏見が多い女性医師の就労支援。今回訪問させていただいた病院は、この支援がすべての医師の就労支援につながることを理解している病院だったと思います。
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コーディネーター 安藤 敬子
 単身赴任の医師や、旭川の高校へ通学する子どもを送迎しているという医師の言葉が印象的だった。富良野の知名度は旭川よりも高いと思っていたので、不覚にも交通問題に関心が薄かった。自分自身で車を運転すれば、旭川(一応は都市)から1時間くらいだが、JRを使うとなると便数が少ないため、結局は子どもの通学にも不便とのことである。JRの時刻表を見ると、札幌―旭川の沿線こそ本数は多いが、それから外れると時間のやり繰りがかなり大変ということが分かる。これは留萌市立病院を訪問した時も同じであった。
 医師に限らず住民にとっても、子どもの教育は大問題である。さまざまな利便性を考えて人は都市へと移動し、人口が減った地域では交通、教育、病院などの公共施設がさらに不便になり、それがさらなる都市部への人口集中を促すという悪循環は、遠隔地の多い北海道の大問題であると改めて感じた。病院に限っていえば、緊急を要する重病人を救うことも大切だが、ごく一般的な大多数の患者さんの健康を守ることは地域の安心を守ることでもあり、より大切なことである。
 富良野の先生方、本当にありがとうございます。

→(その2)につづく

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