活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

病院訪問

医師の就労環境づくりを支援する事業周知のための臨床研修指定病院訪問(その2)

→(その1)からのつづき                     

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江別市立病院
[平成26年8月29日(金)]
コーディネーター 星井 桜子

 病院訪問の前にあずま子ども家庭クリニックを訪問し、東克己院長に病児保育室の現状などをお聞きした。

 クリニックは閑静な住宅街の邸宅で、1階がクリニック、2階の3室を病児保育室に使用している。対象は、江別市内の生後6ヵ月から小学校3年生まで、市外の利用者も1割弱ある。利用時間は、午前8時から午後6時まで。定員は15名、ほぼ毎日利用があり、1日平均4名、概ね1ヵ月100人になる。スタッフは、常勤看護師1名と受付2名が保育士の有資格者。その他にパートの看護師と保育士を勤務時間の希望を取り入れ、20名採用している。

 当初は札幌市内開業を検討したが、病児保育立ち上げに制約が大きく、江別市になった。補助金事業であり、収益事業ではないので、熱意がなければできないが、感謝されることも多く、やりがいがあるとのことだった。






 江別市立病院訪問の出席者は梶井院長、阿部副院長、原田部長、川端研修医、下谷研修医などの方々。
 まず、藤井常任理事から、北海道は非常に広域で、地域住民に充実した医療を提供するためにどのように工夫すべきか、各病院の取り組みを参考にしようと始めたのが事業の大きな目的である。勤務医、特に女性医師が働きやすい環境を探るために、各病院の参考例をお聞きし、情報を広めたいと説明があり、その後、意見交換を行った。
 病院の総医師数は57名、総合内科には約20名の医師が所属している。平成18年には内科医がひとりもいなくなるという危機的事態となった。しかし、総合内科の立ち上げをおこない、さらに医師教育のため、外来と病棟の縮小、教育研修を充実させるように大きく方向転換したことで、若い医師が集まるようになり、病院を立て直すことができた。
 今後も若い医師のために研修体制を充実させ、多くの医師が集まる病院にしていきたい。育った医師が全道各地で活躍してもらえる医師育成の拠点病院となればと思うとの挨拶があり、閉会となった。
                     

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市立釧路総合病院
 [平成27年1月28日(水)]
コーディネーター 足立 柳理

 北海道医師会による「医師の就労環境作りを支援する事業周知のための臨床研修指定病院の訪問」が平成27年1月28日市立釧路総合病院で行われました。市立釧路総合病院の出席者は、高平真院長、飯塚桂司、阿部敬両副院長、中村裕之医局長、栗山周子部長(女性部会代表)、石井智佳子、瀬川恵子両研修医、藤岡佳世総務課長補佐で、道医師会からは、長瀬清会長、小熊豊副会長、伊藤利道常任理事と私が出席いたしました。
 会は伊藤常任理事の司会で開会し、冒頭、長瀬会長から「この事業では全道各地の病院を訪問し、院長や勤務医、研修医の先生方からさまざまなお話を聞いている。また、各病院で聞くことのできた優れた取り組みや様子を情報提供し、他院で参考にしていただければと思っている。女性医師には、育児のために仕事をあきらめるのではなく、両立しながら働き続けてほしいので、医師会としてもバックアップしていきたい」との挨拶がありました。続けて、高平院長からは「当院は三次救急医療機関として365日24時間オンコール体制を行っているが、その体制を維持するには医師数が不足している。道医師会が直接解決できる問題ではないと思うが、医師を増やすことが喫緊の課題であり、今日は医師会の役員と話せる貴重な機会なので、本音を伝えてほしい」との挨拶があり、意見交換がスタートしました。
 一研修医の話では、「当直回数の多さや、日常診療の大変さだけではなく、24時間医療にかかわっているので結婚しても妊娠するタイミングを気兼ねしている状態でいる」とのことで、「医師の人数が少ないために妊娠出産するとほかの先生に迷惑がかかる」というのがその理由のようでした。地域医療に関しては、初期研修期間を当院で研修しても、2年後はそれぞれの大学に戻ってしまうため、戦力にならないことや、中堅の先生においてはわが子の教育のために都会へ戻られるという選択を取る人も多く、釧路市で医療従事者が医療を続けていくことの問題点が浮き彫りになりました。また、医局長からは「医師会活動が勤務医からはみえてこない」との指摘があり、北海道医師会のさまざまな活動を会員の皆様に熟知していただくことの重要性も理解できました。
 現場での生の声を聴くことができた大変有意義な訪問となりましたが、地域医療を支える先生方の使命感と、個人の幸せとの大きなギャップを如何に解消するかと言う根本的な問題に深く考えさせられた貴重な時間でした。
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函館五稜郭病院
[平成27年3月2日(月)]
コーディネーター 小葉松 洋子

 函館五稜郭病院は名前のとおり五稜郭公園に隣接し、環境もアクセスも良く道南では非常に存在感のある病院です。会の冒頭に老松院長から、病院全体で子どものいる医師をバックアップしていきたい、との心強い挨拶がありました。福中香織主任医長から3人のお子さんたちの出産前後や子育ての話があり、研修医の先生方からは、制度の問題だけでなく、産休育休に関しては周りの目や復帰後のキャリアに関する不安も聞かれました。また地域枠で入学した先生からは、地域枠で働く9年間は、出産育児は難しいと考えている旨の発言がありましたが、小熊副会長から地域枠制度でも産休育休を取得でき、出産に配慮した制度に見直しが行われるとの説明がありました。多分、地域枠で入学された先生方は同様な悩みを抱えているのではないかと考えられるため、大変朗報だと思います。
 また五稜郭病院では指導医の育成に力を入れ、研修体制を整えることで、地方でもより多くの研修医から選ばれる病院になるよう、医師のみならず事務方も非常に頑張っている雰囲気がひしひしと伝わってきました。一度でも研修説明会に参加すると、その後専属の事務方がアプローチを続けているそうです。日頃、診療連携を通じて五稜郭病院の事務方の仕事ぶりには感心していますが、外から感じる五稜郭病院の存在感とは、このような地道な努力に裏打ちされているのだと思いました。
 函館市は中核市ですが、ご多聞にもれず人口減少が続いています。大学医学部のない函館では、医師がこの地域で快適に仕事をできるかは、病院の勤務体制のみならず保育や教育環境も大きく影響します。1人でも多くの医師に函館に来てもらい、働いてもらうためには、研修病院の努力だけではなく、まち全体で病院をサポートしていく気持ちや体制も、将来消滅しない地域になるためには必要と感じた次第でした。

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