活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

平成27年度女性医師の勤務環境の整備に関する病院開設者、病院長・管理者等への講習会−女性医師がいきいきと仕事を続けていくために−

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂

 

 5月9日(土)午後6時30分から札幌市において女性医師が働きやすい職場環境を整え、全ての医師の勤務環境の改善を図ることを目的に、勤務環境整備に関する講習会を開催した。

長瀬会長より「北海道医師会では、女性医師だけでなく、勤務医がキャリアを積み重ねていけるよう、勤務環境の改善に取り組んでいる。女性医師の子育てと仕事の両立にはまだまだ理解が薄く、学生の頃からの意識付けが重要だと感じている。今日は、保坂先生をはじめ、さまざまな立場からのお話を聞くことができるので、今後の勤務環境整備に役立てていただきたい」と挨拶があった。







1.講 演              
「女性も男性も輝く、日本の明日を迎えるために」
日本医師会女性医師支援センター
副センター長 保坂シゲリ


 近年の医師国家試験の合格者男女比は、女性3割となっている。しかし、産休を取得しなかった医師や退職した医師が約65%おり、産休中の身分保障や給与保障は十分ではなく、職場の理解が無い環境はまだまだ存在していることが窺える。日医の調査によると育児の分担について、男性の協力が十分に得られていないという結果が出ている。
 院内保育・託児所の設置は、病床数の多い国立病院では進んでいるが、女性医師の悩みは家事と仕事の両立であり、託児所・保育園などの更なる整備・拡充が求められていると報告があり、女性医師への勤務支援として、育児休業取得の徹底と代替医師制度の構築、柔軟な勤務制度を認めてくれる上司や同僚の理解・支援が必要であるとした。
 このほか、日医女性医師支援センター女性医師バンクの実績報告、日本医師会が厚生労働省に対しての臨床研修中の妊娠等による中断についてルールの明文化を要望、産休を含めて延べ90日間の研修の休止について省令に明記されたことの報告がされた。






2.北海道内の病院の取り組みについて
「働く、育てるがあたりまえの病院」 
  勤医協札幌病院 副院長 長島 香


 勤医協札幌病院では、出産後退職せずに仕事を続ける女性医師が多く、全員10年近く勤務している。現在、20代〜30代の女性医師が5名勤務おり、うち4名が子育て中で1人が産休中である。当院での女性医師が妊娠時に利用できる制度と取組みについて紹介があった。
 復帰に際して、指導医の理解は不可欠であり、指導医は「産む育てるのは当たり前」と考え、育児中の女性医師でも70%は働くことができ、この働きがあるから他の医師も余裕をもって働くことができると理解を示している。

 子どもが大人になり手が離れた時に、夫婦として相手が何も手伝ってくれなかったという思い出は残したくない。2人で一緒に働いて、子育てをしてきた思い出が大事であると結ばれた。





また、勤務時間短縮制度を利用し、家庭医療専門医の取得を目指して、5年かけてゆっくり子育てと両立しながら後期研修に取り組んでいる大久保彩織先生から、3歳未満の子供を育児中であれば利用することができる「勤務時間短縮制度」の説明があった。勤務時間は、�@1日6時間勤務、�A週4.5日勤務、�B週2日午前勤務の3つがあり、どれかを選択して利用するが、月単位での変更が可能で、�@を利用したときは、定期的に予約が入る患者に事前に説明した上で、外来の開始時間を変更する、勉強時間をとりたいときには、時短の取り方を変更するなど状況をみて3つを使い分けている。時短制度を利用すると、給与(基本給)の17%が減額、医師調整(時間外労働)が4万円に減額となるが、給与が減額をされることによって後ろめたさもなく制度を利用することができるとお話された。






3.情報提供
「仕事と育児の両立に関する関係法令および助成金制度について」
北海道労働局雇用均等室地方短時間労働指導者
 曽根 浩太


 妊娠や育児休業を理由に不利益な扱いをして違法となる事例について説明があり、病院の人事担当責任者は法制度について熟知しているが、現場の管理は各所属長に任されており制度について理解できていないことが多いので、制度の周知・徹底をお願いしたいとされた。
また、妊娠・出産を申し出た労働者の雇用管理について、時間外労働を減らしたり、配置転換をするケースがあるが、それが法違反とならないか、改めて確認をしてほしい。雇用者が、配慮として行っているつもりでも本人が働けるといっていれば、不一致が生じ、不利益な扱いを受けたと感じられる場合もあるので注意が必要であると説明があった。
その他、事業所内保育施設設置・運営等支援助成金は、設置費、増築費、運営費に大きく分けられ、助成金を利用する際には、2ヵ月前に計画書を提出しなくてはいけないので注意し、このほかに、子育て期短時間勤務支援助成金中小企業両立支援助成金の代替要員確保コース、期間雇用者継続就業コースなどの紹介があり、該当の助成金があれば、利用の検討をしていただきたいとされた。



最後に、北海道医師会勤務医部会で作成した勤務医の過重労働を改善するための報告書について報告して閉会した。

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