釧路赤十字病院を訪問しました。
医師の就労環境作りを支援する事業周知のための臨床研修指定病院の訪問
釧路赤十字病院[平成27年7月9日(木)午後5時]
今年度第1回目の病院訪問は、釧路赤十字病院で、二瓶院長をはじめ4名の医師と研修医にお集まりいただき、また、釧路市医師会から堀口副会長にご参加いただき、勤務医の働きやすい就労環境づくりや地域医療のことなど意見交換をしました。
二瓶院長からは、道内三大学の医学部学生の女性割合を見ても、女性医師は今後ますます増えていくと思う。子育てと仕事の両立は、周りの協力が無くては成り立たないので、できることは協力していきたい。様々な意見を聞かせてほしいと挨拶を頂戴しました。
意見交換では、当院への派遣は北大病院からのみで、札医大や旭医大と混合して派遣を受けるのは難しく、大学の垣根はなかなか越えられない。日本産婦人科学会が提唱している総合周産期センターや地域中核周産期センターの医師の配置については、産婦人科医師の絶対数が足りないので、不可能と言わざるを得ないとお話がありました。
3歳と7歳の子どもがいる女性医師から、院内保育はあるが対象が3歳までなので、学童も見てくれる民間の保育所に2人とも預けており、保育が終わる19時までに仕事を終わらせるようにしているとお話があり、病院側としては、女性医師が増えてきていること、看護師から年長児の保育の要望も多く院内会議の議題にはあがる。女性医師は子育てなどで一度リタイアしてしまうと復帰が大変になるので、病院側はいつ復帰してもいいような体制を整えておく必要があり、そうしなければ女性医師は減る一方で、特に、産婦人科は約7割が女性なので、出産・育児による両立のための環境を整えることは容易ではなく、なかなか実現しないのが現状であるとお話がありました。医師会からは、日赤のような大きな病院が一歩先に取り組むことで周りの見本となるので、ぜひ改善に乗り出していただきたいとお願いしました。
また、仕事と家庭の両立について、女性医師から子どもが小さい時でも、急な発熱時は両親に頼んで乗り切りフルで働いていたが、子どもがいると学会や講演会になかなか参加できないので厳しい面もある。子育てを理由に辞めてしまう方もおり各個人の考えがあるので仕方ないと思うが、休む時期は重要で2〜3年目で休むと復帰後が特に大変だと思うとお話があり、釧路市医師会の堀口副会長から、妻は小児科医で子どもが小さい時は勤務医としてフルではなくコツコツと働き、子どもが手を離れてから開業したとのお話がありました。
10年前発足した「釧路市女性医師の会」について、足立コーディネーターから女性医師が増えてきたので、たまに集まって話をしようと集まったのが始まりで、普段、夫や上司に言えないことを話し合え忌憚のない意見を聞くことができる。釧路市立病院では、勤務医部会が設立されることになり、勤務医の就労環境改善へ少しずつ変わってきていると思う。女性は仕事があっても出産はすべきで、仕事があるからと遠慮することはないとお話があり、藤井常任理事から子どもを産むことは社会貢献しているという認識を持ち、子育て中でも研究や勉強ができるような体制作りが理想とお話しました。
また、女性医師の仕事と家庭の両立には限界があり、女性医師は3人で1人分だと思ってほしいとの声を耳にしたこともあり、女性医師の両立を十分に支援するためには、その分医師の数が必要になってくる。また、子どものいない医師など、女性医師同士での冷たい目もあるようで、医師会には周りの理解について実態を調査し改善策を講じてほしいとお話があり、後輩や同期からも、独身で子どもがいない医師は、フォロー役としていいように使われているとの意見も出ており、両立を目指す医師もいれば仕事一筋の医師もいるので、多様な働き方が認められる平等な就労環境が望ましいとお話がありました。
釧路赤十字病院の皆さま、お忙しいところありがとうございました。