活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

第11回男女共同参画フォーラムinとくしま

ホテルクレメント徳島[平成27年7月25日(土)12時30分]

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂



 第11回男女共同参画フォーラムが、去る7月25日(土)に徳島県医師会の担当により開催された。
 北海道からは、深澤副会長と小職、札幌市医師会、小樽市医師会、旭川市医師会から合計7名が出席した。
 

 今年のメインテーマを「共同から協働へ〜多様性を生かしたワークシェアリング〜」とし、横倉義武日医会長(今村聡副会長代読)、川嶋周徳島県医師会長、徳島県知事のあいさつの後、日医男女共同参画委員会ならびに日医女性医師支援センター事業についての報告があり、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏による基調講演「あなたが輝く働き方〜秘訣はワーク・ライフバランス〜」が行われた。


 その内容は、「多産多死」の社会から「少産少子」の社会に切り替わる際に、人口構成比の子どもが減り生産年齢人口が多くなった状態を「人口ボーナス期」という。高齢者が少なく労働力が豊富なため、社会保障費がかさまず経済発展しやすい。

 医療や年金制度が充実するため高齢化社会になり人口ボーナスは終わる。年少人口指数と老年人口指数が交差し「人口オーナス期」に入り、労働力人口が減少し働く世代が引退世代を支え、社会保障費制度の維持が困難になるなどの問題が生じる。

 人口ボーナス期の成長を再び戻すような政策は一切通用せず、人口オーナス期に経済発展するルールへの変革が急務となる。

 人口オーナス期は、頭脳労働の比率が高く労働力は足りないので「男女ともに働く」、短時間で成果を出す癖を徹底的にトレーニングしないと利益が出なく男性も介護で時間制約があるので「短時間で働く」、労働力が足りないなかで育児・介護・難病・障害などは障壁とならない労働環境の整備が重要で「違う条件の人を揃える」ことが経済発展しやすい働き方となる。

 団塊ジュニア世代の女性の出産適齢期が終わるまでの数年、団塊世代が70代に突入する2017年までに、育児・介護との両立できる労働市場に変革できるかで、今後の日本の人口・競争力が大きく変わる。人口オーナス期は、組織が女子学生や復職者に選ばれることが勝負となり、限られた一部の育児中の社員のためではなく、男性を含めた全社員の働き方の見直しこそ必要、人脈・アイディア・スキルが得られて結果的にワークの質と効率が高まる。「ワークとライフの相乗効果で勝てる組織と充実した人生を作っていきましょう」と結ばれた。


 引き続きシンポジウムがあり、1.「日本の現状と課題」、2.「国際比較、いま世界では」をテーマに、それぞれ4名のシンポジストからそれぞれの立場で話題提供があり、徳島大学の医学生の進行によりディスカッションが行われた。




シンポジウム
コメンテーター 日本医師会常任理事 笠井英夫


1.「日本の現状と課題」
座長:徳島県医師会男女共同参画委員会委員 永井雅巳・高橋浩子


(1)隠岐広域連合立隠岐島前病院院長 白石 吉彦[卒後24年、子ども4名]
 本土から50Km、フェリーで3時間程離れている隠岐島前病院で、44床の島前唯一の病床をもつ医療機関の院長として、常勤医師6名が総合医の複数制をとりながら、近隣の浦郷診療所、隣島の知夫診療所と医師の勤務を相互乗り入れをする「地域医療支援ブロック制」の取り組みが紹介された。



(2)徳島県鳴門病院内科医長 早渕 修[卒後12年、子ども3名]
 自身の第二子育休後に、後輩の男性医師2名が立て続けに育休を取得し、一時的にマンパワーがマイナスになったものの、結果として組織はこれを対外的にアピールでき、希望を持った若者が入職するようになったことが報告され、育児がしやすく男性でも育休がとれる環境である組織で働きたい若手医師が増え、その結果組織が強くなると考えているとした。



(3)徳島赤十字病院内科医長(内分泌外科)川中 妙子[卒後19年、子ども1名]
 指導医師の立場になってから出産と育児を経験したことから、女性外科医がキャリア形成と出産・育児を両立するためには、病院のシステムは必要であるが、そればかりを求めることにより上司や同僚への過度な負担を負わせることなく、キャリア形成を少しスローダウンする気持ちの余裕を持ち、出産や育児は、その後に挽回するための準備期間とするべきとしたいとした。



(4)徳島県立中央病院呼吸器内科医長稲山 真美[卒後15年、子ども2名]
 独身バリバリ期30歳の時に、10年後の自分を考え始め、徳島に帰り理想の自分を支える準備を始め、34歳の時に結婚、就職直後に妊娠が発覚し、現在は周りの人々に助けていただきながら、呼吸器内科医として、2歳と3歳児の母として奮闘中であるとし、経験から医師として仕事だけ専念する時間はあった方が良く、自分の理想像を持ち、パートナー選びは慎重に、許される貯蓄をためて、過度な恐縮はいらないが、過度の感謝は必要であると伝えたいとした。
 


 続いて、徳島大学医学部医学科5年の多田紗彩さんの司会進行によるディスカッションが行われた。

 フロアから医師同士の結婚により現在悩んでどん底の状態にあるという女性医師からの発言に対し、男女差はあり引け目に思う必要はなく、自分が今できること、感謝することを考え、男性は出産できないので、その間のキャリアの差は仕方がない、焦らず周りに頼ってほしいとのアドバイスがあった。

 最後に、座長から日本人は短距離型で、レースに落ちこぼれたら戻れないと思ってしまうが、目標に到達するのは余裕が出てきた時で良く、仕事と家庭は対立するものではなく、両方が引き合うものであることを、今後も共通で考える場を医師や医学生に提供していきたいとした。




2.「国際比較、いま世界では」
座長:徳島県医師会 会長 川島 周・男女共同参画委員会委員 藤野佳世


(1)医療法人渓仁会手稲渓仁会病院 臨床研修教育担当責任者Shadea Constantine MD FACP MPH[卒後18年、子ども3名]
 アメリカにおける女性医師の現状について、数は増加しており全医師の1/3であるが、給与にも男女格差があり、女性医師は個人の診療所や非常勤として勤務する者が多く、女性教員は増えているものの、教授職につく者は20%であると報告があった。落ち込んだ時には、自分のことを第一に考えることが大切で、自分のための自分だけ幸せになれるリストを作成して、自分の状態が分かる練習をするとした。



(2)国立保健医療科学院生涯健康研究部母子保健担当主任研究官 吉田 穂波[卒後15年、子ども5名]
 産休・育休制度を徹底するあまり、3歳児以下の子どもを預けるところがなく、反面24時間365日働かないと評価が下がるドイツと、3人の子どもの預かり費用が月50万円かかったアメリカへの留学と出産経験から、人と人とのつながりが産みだすエネルギー、お互いに支えあう受援力、忍耐力やコミュニケーション力、タイムマネジメント力を学び、助けを求めることは相手に対する一番の賞賛である考え、自己責任を考えずに人に頼ることも大切で、後輩に頼られ、皆で悩みあえる社会作りをしたいと考えているとした。



(3)徳島大学消化器・移植外科助教 高須千絵[卒後9年、子ども1名]
 アメリカ留学の経験から、日本に比べ医師の仕事量が少なく、男女ともにワーク・ライフバランスをとりやすいアメリカの職場環境について報告があった。女性医師は、派遣会社と提携して代替人員の確保ができるなど、周囲への負担が少なく育休や産後の復帰がしやすい。一方、有給産休がないため病欠とバケーション休暇を組み合わせて代用し、比較的早期に復帰し両立のための努力をしている。医師になるには多額の学資ローンが必要なため、働き続ける子育て中の女性医師がいるのが当たり前で、頑張って続けてきた女性医師が現在頑張っている女性を支えているとした。



(4)ジュニアドクターズネットワーク副代表 三島 千明[卒後6年、未婚]
 働き始めて、医師としてのキャリアだけではなく、結婚、子育て、社会から期待される男女の役割など、30歳を目前に自己実現と社会的なプレッシャーを感じ、職場環境の不安、ロールモデルの不在など、若手医師の不安は多いが、多様な価値観を尊重し、男女ともに仕事に対するやりがいとライフイベントに対して柔軟に対応できる働き方を支える仕組みが必要と感じている。若手医師の不安は、個人の努力だけではなくて社会の仕組みが大きく影響を受けているので、ネガティブな影響が受けないようメンタル面での支援が必要と思っているとした。



 続いて、徳島大学医学部医学科6年の平川貴規さんの司会進行によるディスカッションが行われ、フロアからアメリカの派遣会社による産休の代替医師のことや、高額な子どもの保育料に関しての質問があり、最後に座長から、子どもを産みたい人も産まない人もすべての医師が働ける社会になるよう多様性を示したいとまとめられた。




 その後、「第11回男女共同参画フォーラム宣言」を採択し、次期担当県の栃木県医師会太田会長より挨拶があり、盛会裡に終了した。


 参加者は、男性126名、女性203名の計329名であった。

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