活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

医師の就労環境づくりを支援する事業周知のための臨床研修指定病院訪問(その2)

→(その1)からのつづき

                  
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製鉄記念室蘭病院
[平成27年9月1日(火)]
  コーディネーター 濱松 千秋


 松木理事長、前田病院長、5名の研修医が参加し、深澤副会長の司会で意見交換を行った。

 研修医5名のうち、希望する科目は3名が内科、1名が麻酔科、1名は検討中だった。現在、製鉄記念室蘭病院には1年目の研修医が5名、2年目が8名、後期研修医が5名の計13名がいて、上が下を教えるという体制が出来ているとの事であった。

 病院訪問に参加した5名の研修医のうち、結婚していたのは男性研修医の1名だった。女性研修医からは、技術を身に着けてから結婚・出産すると復帰がしやすいのではないかという意見があった。例えば製鉄記念病院の消化器内科では、2回産休を取っている女性医師がいて、1回目は1年半産休を取って復帰し、内視鏡の技術を習得していたので内視鏡や外来等をヘルプし、2回目も1年程度産休を取り、現在日中だけ働き、内視鏡や後輩指導をしているとの事だった。現在10名の消化器内科がいるとの事で、1年以上の産休を取ってもバックアップ体制が整っているとの事であった。ちなみに製鉄記念室蘭病院には、24時間の院内保育があるとの事だった。

 臨床研修指定病院は各科の医師数が多く、産休や短時間勤務に対するバックアップ体制が整っていると思われるが、医師数の少ない中小病院でのバックアップ体制の問題、外科や内科などのメジャー科では医師数が多いが、例えば皮膚科などマイナー科では1人医長のような体制の現状も多く、勤務医の就労環境には検討して行く問題が多いと考えさせられた。


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小樽協会病院
 [平成27年11月4日(水)]
  コーディネーター 澤田 香織


 平成27年11月4日小樽協会病院にて午後4時から開催された。協会病院は小樽・後志で唯一の「地域周産期母子医療センター」に指定されている。しかし、平成27年7月より産婦人科医不足のため、現在産科が休止状態である。その中で地域に貢献してくださっている、子育て中の産婦人科医、小児科医の女性医師2名を含み16名の出席であった。

 産婦人科医の先生のご主人は同じ病院の上司です。最も理解しあえる関係の中で休日夜勤当直はない。一方でご主人がそれを代替している。「妊娠出産でもギリギリまで仕事をした」しかも「出産後すぐ復帰」でも「2人目、3人目となると小さな子供を抱えてすぐ復帰するのも大変」「キャリアを積む研修の時期と一致する場合、さらに気持ちを支える事は大変」一方で、「夜勤当直免除と言うのは1人前として扱われない」「迷惑をかけていると感じることもある」と伺いました。できることを一生懸命にしていただければ十分社会に貢献しているといえる。仕事も家庭も大事にし、それは間違いなく相互に活きる。それは相乗効果といえる。すでに協会病院では、研修医担当先生もメンター制度、院内保育、病児保育、出産育児に関わる配慮に関心をもって取り組んでくださっていた。小児科医の先生は、すでに北海道医師会育児支援ファミリーサポート事業に登録されていた。

 研修医からの医師会に入るメリットについて質問があった。道医師会、小樽市医師会両会長は、地域に研修し、地域の先生と連携しさらに医師会活動に参加することにより、地域に密着した医療を理解し地域に貢献できると強調された。


 私達は若い世代の先生方とともに、私達の希望・夢、そして十分に力を発揮できる環境作りを支援していきたいと考えています。この懇願会はその取り組みの一端と言え、今回の懇談会のご参加に心から感謝申し上げます。


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コーディネーター 藤根 美穂


 2015年から新たにコーディネーターとして加えていただき、初めての病院訪問で大変緊張して小樽協会病院へ伺いました。当日ご一緒してくださいました皆様、大変ありがとうございました。

 柿木院長先生、竹藪副院長先生のほか、お子さんをお持ちの産婦人科の女性医師、小児科の女性医師がおられ、研修医もお二人ご参加でした。私自身3人の子供たちの幼少時に大変苦労していたこともあり、子どもをお持ちの先生たちの日々の暮らしが一番気になってお話をお聞きしました。様々にご苦労され、工夫されて過ごしている毎日のお話の中で、院内保育所まで幼稚園のバスが送迎して下さると言うお話を聞き、大変珍しいことと思い非常に感銘を受けました。当日もお話させていただきましたが、産婦人科医師は34歳以下に限ると女性医師のほうがすでに多いという状況にあります。産婦人科医師を確保するには、女性医師の仕事と生活を両立させるためのサポートをいかにするかといった視点はすでに欠かせないものとなっています。地域の妊娠出産をサポートするという点からいえば、病院としての勤務の在り方の工夫と地域としての医師の生活サポートの両方がともにあることが望ましいと思われます。小樽協会病院では病院の体制が良いことのほかに、同僚でもいらっしゃるご夫君と業務を分担する工夫をされていらっしゃるとのことで、大変うらやましいと思いました。また、院内保育所をはじめ幼稚園のフレキシブルな協力があると言うことは、病院だけでなく、小樽市という地域の協力を得られているということであると思われます。院内・院外合わせてバランスの良い体制があることを感じました。

 とはいえ自分の体のことはやってみないとわからないこともあり、妊娠合併症をご経験されたというお話に、自分も張り止めを飲みながら仕事していたことや、産後高熱が出て育児サポーターにお世話になったことなどを思い出していました。小児科の先生からは、ファミリーサポート・緊急サポートのサービスを利用されているというお話がありました。これも当日お話しておりませんが、私は小樽市の緊急サポートネットワーク立ち上げ時に、サポーター養成講座の講師としてお手伝いをさせていただいていたことがあります。自分が関わってきたサービスがちゃんと利用していただけてお役に立てているということは、非常にうれしいです。サポーターをして下さっている方たちは、決められた時間数の講習を受け、救急実習なども受けてから活動に参加されています。講習内容には子どもの病気や救急と言った内容も含まれますので、地域で持続的にサポーターを養成するには講師をして下さる医師方の存在がぜひとも必要です。利用会員として子育て期にこうしたサービスを利用された先生たちも、将来もしご縁があれば、サポーター養成事業にも講師としてご協力いただけると嬉しいと思います。

 研修医は皆さんよく頑張っていらして頭が下がります。私自身が倒けつ転びつ何とか医師を続けてきているという状況ですが、それでもここまで来られたのは育てようとしてくださる諸先輩方がいてくださるからです。小樽協会病院では竹藪副院長先生が研修医のメンタル面のサポートにまで細やかに気持ちを配って下さっており、研修体制づくりに真摯に向き合われていることを感じました。研修医をはじめ若い先生たちには、出産育児に限らず思うように進んで行けないことがある時も、どうにもならないことは本当に稀にしか起きることはないので、信じてゆっくりでも進み続けていただければと思います。それでも困った時にはぜひ周囲の先輩たちや私たち医師会相談窓口コーディネーターにご相談いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 

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函館中央病院
[平成27年12月11日(金)]
  コーディネーター 小葉松 洋子


 函館中央病院は函館の五稜郭地区に位置し、名前のとおり函館市の中心部にあるため各方面からのアクセスもよく、非常に存在感のある病院です。会の冒頭に橋本院長から、函館中央病院では医師の約20%が女性であり、長く勤務してもらえるよう、平成20年に女性用の当直室を設置したこと、臨床研修制度においては、研修医から選ばれる病院をめざすべく、取り組んでいるとのご挨拶がありました。

 本会に出席された研修医の先生からは、函館中央病院を研修先に選んだ理由として、総合病院で少人数の研修医であることがあげられていました。指導医から一人一人名前を憶えてもらえ、丁寧な指導を受けられること、また少人数の環境では、苦手なことも避けることができず強制的に対応させられるため、力がつくと考える、とのことでした。

 函館中央病院では院内に保育所があり、産後の産婦人科女性医師は、搾乳ではなく、1日3回院内保育所に行って授乳を継続しているとのことで、非常に羨ましい環境だと思いました。母乳育児の母にとって、仕事復帰は授乳をどうするのか、非常に悩ましい問題ですが、直接授乳に出向くことができる職場は、極めて恵まれていると思いました。

 大学医学部のない函館では、この地域で働いてくれる医師を増やすために、病院の勤務体制や待遇のみならず、保育や教育環境も非常に重要です。一人でも多くの医師に函館で快適に働いてもらうために、各病院の努力だけに甘えず、函館市医師会も医師の働きやすい環境作りに、もっと真剣に取り組むべきなのでは、という必要性を感じた会でした。

 新幹線が来ることで、交流人口が増えるというよい効果のみならず、利便性が上がることで、函館から患者さんや医師が東北地方にストローされてしまうかもしれないリスクが潜むことを忘れてはいけません。

 

 


           女性医師専用当直室


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