活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

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相談窓口利用者とコーディネーターとの懇談会

 毎年、相談窓口を利用した先生方にお集まりいただき、利用者相互の交流、情報交換ならびに利用者からの要望をとりまとめ、今後の支援方法に反映させるための懇談会を開催しておりますが、今年は8月6日(土)に開催いたしました。





 当日は、当会役員、相談窓口のコーディネーターの他に、北海道保健福祉部の山本技監にも出席していただき、子育てをしながら働くために必要なサポート、医師会の相談窓口に求めるもの、子育てをしながら働くために工夫していること、サポート体制に望むことなどをお聞きしました。




 出席者の自己紹介の後、「5年後のキャリアビジョン、10年後のライフビジョン」をテーマに、7月24日に開催した医学生・若手医師キャリアデザインセミナーと、窓口の相談事例の中から、38年のブランクから復職研修を受けた事例、後継者問題に悩む医療機関の事例、初期臨床研修を中断した事例の3例について紹介した話題提供の後、座談会を行いました。







−利用者から―
■(卒後15年目)。常勤をしている。子どもが6歳までは当直免除であるため、定時で帰宅している。教員の夫が今年度より異動となり深夜12時に帰宅する生活となり、親に頼ることも難しいので、仕事と家庭の両立が厳しくなってきた。


■(卒後11年目)。千葉の大学を卒業し2年間は東京の病院に勤務をしていた。その後、夫の異動に伴い北大で勉強し、市中病院で週3回勤務している。北海道出身ではないので友人やネットワークに乏しいため、情報交換の目的で参加した。サブスペシャリティを身につけて常勤として働くことを考えている。


■(卒後11年目)。現在4人の子どもを子育て中である。長崎大学を卒業後、九州で研修を受け東京で働き、出産のために地元の広島に戻った。夫が北海道で研究を行うため単身赴任をしていたが、子どもが夫に対して人見知りをするようになってきたので、一緒に住むために2年前から家族で北海道に引っ越してきた。核家族で4人の子育てが厳しい状況だが、現在の勤務先が、子どもの急病時も患者が融通を利かしてくれるため、週2回の勤務でなんとか子育てができている。


■(卒後12年目)。佐賀医大を卒業し、大学院から北海道に移り住んだ。その後に夫と結婚し、出産等あり4年ほど仕事ができない状況が続いた。現在は、時短の常勤で働いている。子どもが小学校に入学したが学童がないためどのようにすればよいか悩んでいる。また、自分自身のキャリアアップのために学会へ参加したいが、子どもを3人も抱えており遠方の学会に参加しづらいので、医師会から学会へ参加しやすくなるよう働きかけてほしい。


■(卒後12年目)。夫が北海道の大学に就職したので、それに合わせて道外から転勤という形で転入してきた。現在3人の子供がおり、実家も九州・四国であるため体調が悪い時に親に頼ることができないので、窓口の育児サポートは非常に助かっている。キャリアは1年の臨床研修後、行政で働き仕事の都合で海外に4年住み、帰国後東京の検疫所に勤め、転勤で小樽に異動となった。小樽への出勤や子どもを保育園へ連れて行く関係もあり時短勤務となっており融通が利くが、今後どうしても外せないイベントがあるときはどうすればよいか最近悩んでいる。


■(卒後11年目)。週2回午前中の胃カメラのみから仕事を増やしたいと考えていたが踏み出す勇気がなく、実家も関西にあり、どう仕事をすればよいのか悩み昨年は参加した。その際に頂いたアドバイスを基に、今年4月から週4日の9時から15時の時短勤務で職務内容を広げることができた。今回は子どもが大きくなるにつれてぶつかる問題にどのように向き合っていったのかを教えていただきたく参加した。



 −コーディネーターからのアドバイス−
●小学校に入ると学童で預かる時間が短くなり悩みの種になる。上の子の時は、あかびら市立病院で当直2人交代体制の勤務をしていたため、2週に一遍しか会えない単身赴任のような状態であった。

 また、子どもが小学校に上がると、PTA役員の問題も発生し、催し事のある日に狙いを定め勤務を調整し休みの申請を行っていた。子ども二人を同日に一気に片づけるか、自分の仕事量が少ない曜日に充てて2回に分けて行うかなど工夫してきた。

 

 末っ子は、PTAの広報役員になってしまったが、逆に自分はここまでならできると意思表示を行いやすくなった。母親同士の付き合いもこの時間なら嬉しいというリクエストし、了解が得られれば参加しやすい時間になるので、LINEとかを利用して上手に付き合う方法を探すと良い。


●娘の小学校は児童数が多いので学内には学童保育が設置されておらず、公的な施設も学区内の端にあることが多く利用が難しかったので、民間施設の利用を考えた。札幌市内は民間の方が充実しており、バスの送り迎えのサービスもある。料金はそれなりにかかるが、ある程度オプションをうまく活用することで負担が減り、札幌市内の勤務であれば十分に活用できる。

 情報を集め見つけるのは親の役目、子どもをその中で自由にのびのびできる環境に預けて、仕事に専念するというスタンスでいる。

 年に1〜2回海外学会の出張の際には、去年までは子どもを一緒に連れて参加していた。学校を3〜4日休ませるのは考えどころではあるが、海外の不便な生活を体験させることも良いかと考えている。国内の学会に関しても、託児所がある限りは連れて行っている。ただし、子どものキャラクターを見定めながら、親が自分の仕事とどうマッチングさせるかは考えなければならない。



 −男性の育児参加について−
■夫の育児への参加について、昨日、メールで口論となった。これまでは20時までに帰宅し、手伝ってくれてはいたが、帰りが遅くなってくると子育てに参加している自分への評価を求めるようになってきた。私は朝からやっている身なので、なぜ私が言わなければならないのかと思い、それはおかしいと伝えた。やることが当たり前なのに褒めてもらいたい、自分は特別だと思っていることにもどかしさを覚える。

●夫は比較的協力してくれている方ではあるが、子どもが増えても協力するレベルが同じだったので、解決策として、朝の仕事をエクセルにすべて入力し自分がどれだけ家事に時間を要しているのかを列挙し、こちらの大変さを気付かせた。

 男性は文字にして見せなければ伝わらない。自分の勤務を拡大して負担が増えることを懸念する前に、ご主人を育児に介入させてから次のことを考えるとよいと思う。



−サブスペシャリティの取得について−
■女性医学のサブスペシャリティを取得したいと考えている。現在、勤務しているクリニックは分娩をしておらず、産婦人科医として分娩を取らなくても、今後のキャリア継続のための資格が必要だと考えている。女性医学であれば、コツコツ勉強していけば取得できるのではと思っている。


■内科系の重症患者を受け持つようなことは避けたいと考えている。例えば、循環器のように夜中に急変があるような患者を受け持つことは難しい。そのため、アレルギーなど外来で患者を診られる方向に進みたいと考えている。


●重症化しないものを扱っていきたいと、今から分類して仕方で考えてしまうと自身のキャリアの範囲が狭まってしまう。現在、そこまで忙しくなくこれから成長する分野となると発達障害関係がある。小児神経から派生している分野であるため難しい癲癇や神経疾患もあれば発達障害を診るので、長いスパンで勉強することができる。


●私は、発達障害の仕事をしているが、この2年間で、アルコール過飲と薬の大量服薬で3回、夜の呼び出しがあった。心にかかわる仕事なので、その子について他の先生が理解するのが難しいこともあり、自分以外の医師が診ることができないこともある。それ以外は、じっくり時間をかけて向き合うことができるので非常にやりやすい。他者と関わることが億劫でなければさらに良い分野である。その関係から、現在は、小児科での仕事の他に教育委員会にも参画している。

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