活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

大学医学部・医学会女性医師支援担当者連絡会

大学医学部・医学会女性医師支援担当者連絡会
―よりよい男女共同参画を目指して―


常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂


 標記連絡会が去る9月29日(金)日医女性医師支援センターの主催で、日医における女性医師支援・男女共同参画に関する取り組みの周知と各大学医学部と各医学会の取り組みについての情報交換を目的に、大学ならびに各医学会の関係者、各都道府県医師会の担当役職員等264名の参加で開催された。
 
 北海道からは、小職と札幌医科大学臨床研修・医師キャリア支援センター舛森直哉センター長(泌尿器科学講座教授)、旭川医科大学菅野恭子二輪草センター助教が出席した。

 横倉日医会長ならびに門田守人日本医学会長から挨拶があり、その後議事に入った。
最初に、今村日医常任理事から「日医女性医師支援センターの取り組み」について説明の後、日医総研上家主席研究員から「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」の分析概要について報告があり、引き続き、各大学等の取り組みの事例発表があった。


「岡山大学の取り組み」
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座
教授 片岡 仁美先生


 2000年〜2002年頃よりメディアに「医師不足」が頻繁に取り上げられるようになり、同時にそれらを背景に女性医師・看護師の離職防止、復職支援が注目されるようになった。平成21年の岡山医療圏女性医師を対象にした調査では、復帰した女性医師の約60%が復職時になんらかの不安を感じていると回答があり、その内容は子どもの病気や家庭と仕事の両立についてのものが多かった。


 岡山大学病院では平成24年度より、利用期間を子ども1名につき3年間と限定したキャリア支援制度を開始した。期間を限定したのはキャリアサポートとしての側面を強くし、期間終了後の働き方について考えてもらうようにするためである。支援制度導入の結果、柔軟な働き方と復職トレーニングにより、女性医師が現場に定着した。復帰した女性医師は大学病院に集中せず、岡山県全域で活躍している。地域の医療機関に復職することで社会への貢献が見込まれ、地域医療の活性化に繋がる。より良い医療の提供体制の構築のため、女性医師支援に可能性を感じている。



「自治医科大学医師・研究者キャリア支援センターの取り組み」
自治医科大学地域医療学センター総合診療部門
講師 石川 由紀子先生


   センターの前身である女性医師支援センターは、平成19年度に開設された。週20時間勤務の短時間勤務制度を導入し、保育ルームの開設を行った。短時間勤務実績は10年間で114名が制度を利用し、うち88名が常勤として復帰した。また、平成23年度より旧姓使用取り扱いを開始し、平成27年度までに医師・教員を合わせて57名が制度を利用した。


 平成24年度から医師・研究者キャリア支援センターと名称を改め、育児支援対象者を全職種に拡大した。平成26年度からは臨時職員も対象とし、平成29年度利用実績は142名(医師64名、看護職47名、教員9名など)である。


 センターの活動内容は、大きく分けて「就労継続支援・復職支援」「育児支援」「次世代育成支援」の三つである。


「日本内科学会の取り組み」
日本内科学会評議員男女共同参画ワーキンググループ代表
埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科
教授 名越 澄子先生


 2013年2月現在、日本内科学会は理事23名、委員会委員100名、関連講演会司会・座長は113名のうちいずれも女性は0名である。また、2012年度の評議員は440名で、うち女性は3名(0.7%)であった。こうした実態を改めるため、会内に在り方検討委員会将来計画検討WGを立ち上げ、下部組織として男女共同参画グループを2012年11月に発足させた。主な目的は女性評議員の増員、各委員会に女性委員を最低1名選出、座長・講演者に女性の積極登用などである。


 その結果、2016年度は7委員会に女性委員を各1名、女性講演演者2名(全32名)、女性一般演題座長8名(全89名)、評議員34名(5.1%)と、いずれも女性の割合が増加した。2017年度は女性教授が少ないことや、特任・病院教授が多いため、常勤の内科系女性教授も評議員候補者として推薦可能とする予定である。


 また、新たな取り組みとして、内科系学会の男女共同参画に関する連絡協議会を当会や日本消化器学会、日本肝臓学会など全14学会で開催した。当日は2013年、2017年に行った各学会の男女共同参画に関するアンケート調査を基に、各学会での取り組みや共通の課題について意見交換を行った。



「よりよい男女共同参画を目指して−日本外科学会としての取り組み−」
日本外科学会男女共同参画委員会委員長
昭和大学病院乳腺外科
教授 中村 清吾先生


 女性医師の産休・育休での問題点は産前産後休業取得の不徹底、低い育児休業取得率にあり、それぞれ徹底取得や代替医師制度の整備が必要である。また、代替医師の確保について、外科手術の代替は難しいが術後管理や外来診療など可能な場合もあり、できるところから対応をしていくことが望ましい。
妊娠・出産・育児中における専門医取得や更新のための単位取得の方法として、e-Learningを活用する機会が増えていくことが予想される。


 日本乳癌学会正会員の年齢別男女比率を見ると、35〜39歳以下では女性が半数以上を占め、20〜24歳では女性が100%である。また、専門医年齢別男女比においても同様の傾向が見られ、いずれ男性正会員はいなくなることが考えられる。


 今後、女性医師・研究者の妊娠、出産に対する意識度や、その実態についてアンケートを実施する予定であり、調査結果がまとまり次第、お知らせしたい。
 

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