活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

医学生・若手医師キャリア支援検討会

医学生・若手医師キャリア支援検討会



常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂



 道内の医学生ならびに若手医師とキャリアについての意見交換・交流の場、ならびに医師の勤務環境がさらに厳しくなる中、女性医師に限らず全ての医師の働く環境について考える検討会を7月15日(日)にラ・ジェント・ステイ札幌大通で開催した。


 当日は、医学生・若手医師・当会勤務医部会若手医師専門委員会委員・女性医師等支援相談窓口コーディネーターなど24名の参加があり、「次世代医師のキャリアに必要なスキル、学びたいこと」をテーマにグループディスカッションと、当会主催のキャリアデザインセミナーのアイデア、企画案を検討した。



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旭川医科大学4年 小山 裕基

 私は、昨年度の検討会および2度のキャリアデザインセミナーへの参加・運営に関わったご縁で、企画準備や当日の司会として参加させていただきました。


 会の最初には、藤根美穂先生より「そもそもキャリアってなんだろう」と題したお話をしていただきました。私たち医学生がイメージするキャリアの話としては、研修先や専門医制度、ワークライフバランス等の話題が思い浮かびます。ただし今回の話題提供ではそれよりも幅広く、人生には「出会い」と「アクシデント」が加わり想定通りにはいかないことや、キャリアを計画する上で役に立つ理論(計画された偶発性理論)、さらには先生ご自身が40代で専門医を取られたという体験談なども交えた、大変興味深く、かつ実用的なお話を聞かせていただきました。


 ワークショップでは、まず「次世代医師のキャリアに必要なスキル、学びたいこと」と題し、集まった若手医師・医学生自身のニーズと向き合いました。今回のディスカッションを通じて、臨床スキルや専門性、論文力といった医師としてのスキルから、国際性、IT活用力、法律知識といった周辺知識、コミュニケーション能力、地域社会への理解、体力といったものまで、幅広いニーズが挙げられました。


 次に「キャリアデザインセミナーについて」と題して、セミナーにおける講演・ワークショップなどに取り入れたいアイデアをブレインストーミングし、続いて出てきたアイデアに対する人気投票を行いました。その結果「臨床以外の働き方をしている人の話」「いろんなパターンの医師による本音のディベート」「キャリアで一回失敗した人の話」「入局に関する話」「AIやITによる働き方の変化」などの案に人気が集まりました。


 今回の検討会では、キャリアについて学び、自分たちのニーズについて考え、そしてそれを実際にセミナーの企画に反映させるというプロセスを踏みました。このことで、来場してくださった皆さまからも、自分たちが学びたいことを学ぶのに役立つセミナーになりそうだという期待感を抱いたという声や、主体的に企画に関わってみたいといった声も聞かれました。今後もこういった方々のモチベーションを取り込み、有意義なセミナーを継続していけるよう、私も引き続き関わっていきたいと思います。貴重な機会と多大なサポートをくださった北海道医師会の皆さまに心より感謝申し上げます。


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 3つのグループに分かれて、「次世代医師のキャリアに必要なスキル、学びたいこと」をテーマに、自由にディスカッションを行いました。各グループでの話し合いの内容は、ファシリテーター担当からご報告します。


グループ1
【ファシリテーター】東山 望

【所属】旭川医科大学4年

【ワークショップで出た意見の紹介と感想】
 人手不足が叫ばれる中、地域医療に貢献するためにその地域のニーズを把握する力が必要であり、診療の効率化にあたってIT技術やAIが活用できるのではないか、その方法について学びたいという意見がありました。また、IT化に留まらず、他国で実践されてきたさまざまな医療の効率化を学びたいという声もありました。個人として高めたいものとしては、コミュニケーションスキルのほかに医師としてのネットワーク、フットワークの軽さなどが挙がりました。それを土台として、自分自身においても、他者においても、多様な働き方、キャリアに寛容になり、視野を広く持ちたいという意見が出ました。


【キャリアデザインセミナー アイデア、企画案】
 具体的に聞いてみたい内容としては、地域住民の医療情報リテラシーを向上させるための情報発信や、AIに置換されるとみられる医師の仕事、国際的なキャリアの積み方や臨床以外の働き方、働き方改革を実現させ、人手不足を解消した経験についてなどが挙がり、さまざまな分野にわたってその道の先駆者に話を伺いたいという声がありました。最も希望が多かったのが、大学入学時の入試形態ごと(一般入試、AO入試、推薦入試など)に入局すべきかどうか、入局する場合、入局しない場合のキャリアについて聞きたい、ということでした。ブース出展のような形で学生が話を聞きたい先生を選んで回るという案が出ました。


【検討会全体の感想】
 リラックスした、意見しやすい雰囲気を整えてくださったことで、学生にとって、普段は「聞いてみたい」と言いにくいことも言いやすかったです。多様なキャリアをお持ちの先生方に相談できたことで、自分が思い描いていたキャリアはほんの一つの形に過ぎないのだと気づくことができ、不安が希望に変わった部分もありました。本当に貴重な機会を頂きました。


グループ2
【ファシリテーター】敦賀 梨帆

【所属】旭川医科大学4年

【ワークショップで出た意見の紹介と感想】
 私たちの班は、メンバーそれぞれの個性が出たディスカッションでした。先生方からは今歩まれているキャリアに沿って、よりその分野でレベルアップがしたいという具体的な意見が出ました。一方学生の意見では、プライマリケアを展開し地域の健康を担うことや、患者の個性を見抜き一人一人にあったオーダーメイド医療を提供できるようなりたいといった意見や、そもそも医師として自身の健康維持も大切ではないかという意見も挙がりました。

【キャリアデザインセミナー アイデア、企画案】
 私たちの知りたいこと・それに対してどのような方をお呼びするかを話し合いました。知りたいこととして、医師となる自分自身の心も体も健康でいるにはどのようなことに気をつけたらいいか、またプライマリケアを各地域でどう行っていくかといったことが挙がりました。一つ目に対しては、キャリアを歩む中で挫折してしまい、そこから這い上がった方を人生のしくじり先生としてお呼びするという面白いアイデアが出ました。二つ目は、地域医療というと地方での医療を思い浮かべてしまいがちですが、逆に都市部でプライマリケアを実践している家庭医の先生のお話を聞くということが挙がりました。

【検討会全体の感想】
 学生の立場として、自分はどういったキャリアを歩みたいかをビジョンを持っていきたいです。それを考える場として、キャリアデザインセミナーがとても楽しみです。


グループ3
【ファシリテーター】横井 健人

【所属】札幌医科大学3年

【ワークショップで出た意見の紹介と感想】
 まず必要なスキルとしては「嫌なことでもやりきるマインド」や「人生を楽しむ力」などの意見がありました。
医師という多忙な職業に就くうえで、仕事だけでいっぱいいっぱいにならず、自分のための時間を持つことは重要です。


 そのためには自分自身が心に余裕を持つことや、周囲の人の協力が必要なのではないかという話も出ました。
また、現在チーム医療の重要性が叫ばれている中で、「チームで話し合って対話して、解決していく能力」や「コメディカルの人たちから学ばせてもらう姿勢」などの意見も出ました。
学びたいこととしては「高齢者に対する治療」や「一般的な病気だけでなく、何か1つ自分にしかできない専門を持つ」などの意見がありました。


 さらに話を進めていくと、患者さんの社会的な背景や心理的背景を加味した診断や治療も学んでいきたいという話も出ました。


【キャリアデザインセミナー アイデア、企画案】
 今後のキャリアデザインセミナーの企画案として、主に3つの案が出ました。
1つ目は登山が趣味で登山家に同行する医師になった先生のような、趣味と仕事をマッチさせている先生に来ていただくという案です。このような先生が現在の仕事内容をするに至った過程のお話から学べることは多いのではないかという声もあがりました。


 2つ目は自分の思い通りのキャリアにつけなかった先生に来ていただくという案です。オファーの仕方は難しいですが、講演に来られる先生は成功した先生ばかりなので、逆に自分の思い通りのキャリアにつけなかった先生のお話を聞き、うまくいかなかった理由などを聞いてみたいという意見もありました。


 3つ目は大学病院の医局に入局した医師や市中の病院で研修している医師などさまざまな道へ進んだ若手医師に集まってもらい、それぞれの道のメリット、デメリットをあげてディベートをしてもらうという案です。
学生のうちからそれぞれの進路のメリット、デメリットを知っておきたいという声もあがりました。


【検討会全体の感想】
 堅苦しくなく話しやすい雰囲気で、グループ内でさまざまな意見を出すことができました。
 また、普段あまり接する機会のない医療の現場で働いていらっしゃる医師の先生とお話ができて、とても貴重な機会でした。



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