活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

平成30年度医師の勤務環境の整備に関する病院開設者、病院長・管理者等への講習会

「医師の働き方を考える」


常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂


 平成30年10月14日(日)午前10時から、札幌グランドホテルにて、医師が働きやすい職場環境を整え、全ての医師の勤務環境の改善を図ることを目的に、勤務環境整備に関する講習会を開催した。


 小熊副会長より、「地域医療を支えている医療機関の負担が増大する中、医師の労働環境の改善が喫緊の課題となっている。医師の勤務環境の整備を推進するため、病院長・管理者等を対象に、必要な環境整備への理解を深めていただくため、本セミナーを開催している。」との挨拶があった。


 講演では、かつては累積損益57億円の経営危機に見舞われていた岩手県立中央病院を医療・経営の質を大改革し、病院職員が同じ方向を向いた経営努力と徹底したデータ分析の取り組みで、国内屈指の優良病院へと転じさせた望月先生からお話をいただいた。

 また第二部では、医師の勤務環境の整備を推進するため、負担を軽減して本来の業務に専念・集中できるように導入された「医師事務作業補助者」のより質の高い活用方法を紹介した。参加者は59名であった。


講 演 1

「地域に必要とされる病院をめざして−医療の質と経営の質 ともに向上するために−」

        八幡平市立病院事業管理者・岩手県立病院名誉院長 望 月   泉 先生

                    
 地域に必要とされる病院をめざしてとして、1)累積赤字57億円からの改革が始まった2000年、2)DPC対象病院になった2006年、3)さらに連携強化し在院日数短縮へ2012年以後、4)災害拠点病院としての対応、5)地域医療支援、6)DPC2群(特定病院群)の維持と医療の質、7)医師の働き方改革の7項目についてお話された。

 特に「医師の働き方改革」に関して、政府が進める「働き方改革実行計画」は、罰則付き時間外労働の上限規制の導入等が示されているが、医師法に基づく応召義務と労働基準法の遵守の関係や上限規制の時間数、導入時期など地方において医師不足が続く現状では、地域医療の崩壊を招く可能性が危惧されるとして、「宿日直をめぐる取り扱い」・「医師の時間外労働」に焦点を当て、医師は生涯学習をしていくからこそ医師であること。自己研鑚は制限せず、医療の質や安全性を低下させない条件整備が必須であること。労働時間の上限規制は地域の特段の事情を考慮する必要があること。労働基準法だけを押し進めようとするなら、日本の病院医療は破綻するとした。


講 演 2

「医師事務作業補助者の採用、配置、技術向上について」

       医療法人社団刀圭会法人本部人事・研修担当 村川 理恵子氏

                  
 医師事務作業補助者の使命は医師が行う事務的業務の代替と診療の効率化への支援である。そのできることは、診断書や退院サマリー等の文章作成補助、カルテなどの代行入力業務、診療データの登録・集計等医療の質の向上に資する事務作業、行政機関へのデータ登録・提出文書作成代行等の行政上の業務である。


 医師事務作業補助者導入後の医師の負担では、外来診察時間が短くなり、文章作成に要する時間が減った半面、課題として、習熟度にムラがあり、医師が希望する作業に対応できない、習熟度向上に時間がかかる、業務範囲の考え方に迷う等があり、費用対効果を考えると人数を増やせない現状を話された。


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