活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

第15回男女共同参画フォーラム

仙台勝山館(仙台市)[令和元年7月27日(土)13時30分]

常任理事・医療関連事業部長 水谷 匡宏

 第15回男女共同参画フォーラムが、去る7月27日 (土)に宮城県医師会の担当により開催された。北 海道からは、小職と札幌市医師会、小樽市医師会、 旭川市医師会から合計4名が出席した。

 今年のメインテーマは「男女共同参画のこれまで とこれから―さらなるステージへ―」とし、横倉日 医会長、佐藤宮城県医師会長、村井宮城県知事の挨 拶の後、本橋ほづみ東北大学加齢医学研究所遺伝子 発現制御分野教授による基調講演「酸化ストレス応 答と健康長寿と介護」が行われた。

 日常生活の中で多くの環境化学物質に曝露され酸 素呼吸をすることにより、効率的なエネルギー獲得 が可能になっている一方、 生体を構成する分子は常 に酸化障害を受ける危険性に曝されている。細胞を 構成する因子は、化学修飾を受けて機能低下に陥り 細胞の加齢による変化やがん化が招来されると考え られ、NRF2を欠損するマウスを用いた実験から、 酸化ストレスの適切なコントロールが長寿をもたらすことを示された。

  また、自身の両親の介護を通じて老人研究の必要 性を感じており、NRF2の加齢性難聴、アルツハイ マー病に関する研究成果からNRF2活性化による加 齢性難聴の遅延は、加齢による神経細胞の欠落を制 御できるのではないか、NRF2活性化によるアルツ ハイマー病の病態改善の試みはある程度回復が見込 まれる結果でKEAP1−NRF2活性化させる誘導材 の有効性が示された。システムと創薬により、薬を 使う前に食品による予防や改善効果を期待したいと し、NRF2の活性化に寄与する「ブロッコリースプ ラウト」「わさび」「ハーブ」の摂取をよびかけた。

        ◇ 

 シンポジウムでは、5名のシンポジストからそれ ぞれの立場で話題提供があった。

(1)“新専門医制度”に対していだく期待と不安〜 女性研修医と女子医学生の立場から〜 
●宮城県医師会 常任理事 福與 なおみ
  従来の制度で専門医を取得した立場から、従来は カリキュラム制であり、学会が一定基準を満たす病 院を研修施設として認定し、研修医は認定施設を自 由に選択して研修することができたので、結婚を機 に病院を変えても専門医を取得できた。現在、小児 科の教育担当として、新専門医制度のプログラム制 は、全員が一定の知識や技術を取得した医師となる ことで医療界の質は保証されるが、ライフイベント と両立は難しいのではないかと感じている。

●東北大学医学部6年生 岩田 彩加 
 これから医師になる女子医学生の立場から、ロー ルモデルの先生方から学ぶことは多いが、新専門医 制度では、同じようになれないのではないかと不安 である。心配の要素は、新専門医制度で専門医を取 得されたロールモデルがなく、初期臨床研修病院を 専門医取得まで見据えた選択が必要であり、自ら道 を拓くことも大事であるが、これからのことがわか らないのは不安。実際、マッチングの志望先を迷っ ている学生は多い。専門医を見据えた初期臨床研修 決定が困難な場合も多く、専門医取得までを考えて 決めることが難しい状況であるが、自身が今後のロ ールモデルとなれるようにしたい。また専門医に関 する情報収集を怠らず、しっかり見据えていきたい。

●東北大学病院初期研修医2年目 横山 日南子 
 初期研修医の視点から見ると、後期研修での診療 科の選択をしなければならない時期となり、一律の プログラムをこなすことを迫られている。また、女 性の視点から見ると、出産・育児でプログラムを中 断した場合のプログラム制への不安や、事情により 別の都道府県に移って研修を続行したいと希望した 場合に移動先でシーリングがかかっていたら転入が 不可とならないかなど、サブスペシャリティ専門医 を取らない人にはメリットがないのかなどの新専門 医制度に対し不安を感じている。

(2)医療界における男女共同参画は進んだか  宮城県医師会女性医師支援センター長 高橋 克子 
 「 gender equality」とは、男女共同ではなく男 女平等と訳すほうが正しいと考えている。15年目の 節目に、医学会、大学医学部、医師会の男女共同参 画についてのアンケート調査の結果から5年前と比 較し、医療界における男女共同参画のこれからにつ いて考察する。  女性医師にはキャリアップを阻む固い天井があ り、伝統・前例・慣習・差別・偏見・既得権などの「お 化け」も存在し、女性をめぐるさまざまな差別が未 だにある。日医では、2010年に指導的立場の女性を 2020年までに30%にしようとする運動を推し進めて きたが、日本の女性医師比率20%少々に比例して学 会、大学医学部での女性医師の役職者数や都道府県 医師会の女性役員は微増しているが、日医役員・会 内委員会の女性割合はそれほど増えていない。男女 平等、女性の人権を尊重する認識、お互いを認め合 う多様性とワークライフバランスの4つが合わされ ば、女性医師を阻む固い壁は取り除かれていくと考 えている。

(3)女性外科医の育成とワークシェア・ワークラ イフバランス
 自治医科大学附属さいたま医療センター 副センター長・一般・消化器外科 教授 力山 敏樹 
 消化器外科女性医師の活躍を応援する会の活動 や、女性外科医を素晴らしく育てている医局とマス コミに紹介されたことにより、この場での発表の機 会をいただいたと思っている。  外科医の年齢構成は、若 い世代は減少し40歳台か ら60歳台が支えている状況であり、特に39歳以下の 減少が顕著である。この3年間で医師の養成数は増 えているのに、外科への入局数が減っており、養成 した医師がどこに消えているのかと思う。このまま の状況が続けば、20年後には国内で外科手術を受け られなくなる可能性が高い。  外科医不足の対策として、女性外科医を勧奨し、 女性外科医が働きやすい環境の整備を整えるため希 望する支援策を聞き、チーム制を導入し、長時間手 術は交代制として労働条件を明瞭化した。子育てを
しながら勤務する医師の分の負荷は、どうしても周 囲のスタッフが負うことになり、職場の意識改革が 一番大変であった。1人1人抱えている問題は一つ ではなく十人十色で目指すものがそれぞれ異なる。 女性だけに限らず、男性もそれぞれの人生の必要な 働き方を提供できることが大切である。

         ◇

  続いて、総合討論ではシンポジストと参加者の間 で活発な意見交換があり、今村日医副会長より「新 専門医制度に対する不安やわからないことは、当事 者からの発信を続けてほしい。」とコメントがあっ た。

 その後、「第15回男女共同参画フォーラム宣言」 を採択し、次期担当県の大分県医師会近藤会長より、 令和2年5月23日(土)に開催予定であると挨拶があり、盛会裡に終了した。

  参加者は、276名であった。

 
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