活動報告

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医師キャリアサポート相談窓口利用者との懇談会[2021年2月27日]

医師キャリアサポート相談窓口利用者との懇談会



毎年、相談窓口を利用した先生方にお集まりいただき、利用者相互の交流、情報交換ならびに利用者からの要望をとりまとめ、今後の支援方法に反映させるための懇談会を開催しておりますが、今年はWeb会議システムを併用して、2021年2月27日(土)に開催いたしました。

当日は、当会役員、相談窓口コーディネーターと相談窓口利用者8名(来館4名、Web4名)に、行政の担当技監に参加いただきました。

今回は、相談窓口のコーディネーターが企画・運営を行い、メインテーマを「あなたは今、何に困っていますか?」として、3つのグループに分かれて、お菓子と珈琲を準備してリラックスした雰囲気の中、利用者、コーディネーターそれぞれの立場から自分の経験や現在の状況、思いなどを語ってもらいました。


ワークショップ テーマ「あなたは今、何に困っていますか?」
1)グループディスカッション
 Zoom機能にて6人程度のグループに分け、「キャリア形成」「子育てと仕事の両立」「介護」をテーマにディスカッションしました。途中、グループを振り分け直して2回実施しました。一人が話している時は傾聴し、感想や助言は言わないこととしました。

2)全体共有 各グループのファシリテーターより、ディスカッション内容の報告した後、フリートークで「言いっぱなし」「聴きっぱなし」で聞いた話の中で、気がついたこと、追加で話したいこと、考えたことを話し合いました。

◆藤根コーディネーターのグループ
・理事の中に女性が1人もいない学会で、女性理事を誕生させる活動をされている方がいた。
・コロナ禍において遠方からの手術応援依頼がなくなり、仕事が減った。
・開業医から、患者の減少に伴う収入減により経営が悪化した。
・長期休校をきっかけに子どもが不登校となり、対応のため仕事を縮小せざるを得なくなった。
・休校期間中にゲーム依存症になったり、生活リズムが乱れてしまった子どもが増えているため、対策として親子関係の構築から始めるよう指導している。
・自分自身や親の体調など様々な要素を考慮すると、やりたい仕事がなかなかできない。
・コロナ禍で行動制限がかかると、学会参加への意欲も下がってしまう。
・高齢者の中には来院間隔が空いたことにより、症状が悪化していることが多々あった。行動制限による運動不足も原因の一つと考えられる。

◆寺本コーディネーターのグループ
・自分達から進んでキャリアアップするための土壌を作ることが大切。
・組織のトップになるための意欲をいかに保ち続けるかが問題。
・「ガラスの天井」は現在ではそれほど深刻な問題ではないが、発言し続けることが大切。
・コロナ禍における各種研修会ではリモート参加の機会が増え、参加しやすくなった面もある。
・離職することなく仕事を継続することが理想だが、離職後に復職サポートの場があることは北海道医師会として誇ってよい。
・離職時に気落ちする場合も多いが、その後に新たな道に進んでいる姿が休職中の医師にとってロールモデルになる。
・診療科により専門医制度維持の難易度が異なるので、学生や研修医が希望の診療科を決める際に提案できる場があると良い。

◆佐々木コーディネーターのグループ
・子育て中のため、キャリア形成に影響が出ている。
・子どもは年齢に関係なくその時々で手がかかることがあり、仕事との両立が難しい。
・開業医の中でも特に小児科で患者減少による経営悪化の影響が出ているが、医師会があることにより地域でまとまってコロナに対応できている面があり、重要性を再認識した。
・大学においてPCRの資材が全て検査に使用されてしまい基礎研究が進まない。体面授業もできず、意欲がなくなった学生が退学してしまい、来年度からの授業に不安を抱いている。
・旭川医科大学では学生の実習がほとんどできていなかったが、実習再開時に喜んでいた学生が多く見られ、これからの成長に期待が持てた。


意見交換
−ガラスの天井−
■医師会においても「ガラスの天井」は存在すると思う。
■日本皮膚科学会の中にある全国80カ所ほどの教育機関において、助教以上の女性医師の論文業績と科研費の取得状況の全国一斉調査結果を統計解析を行うと、教授と准教授の間で男女差は見られなかったが、助教と講師の間では男性の方が評価されている結果が出た。恐らく、女性医師が助教職に長くいる間に上司から励ましの言葉も少なく、論文を執筆する意義も感じなくなり、意欲を失くして大学にいられなくなったのではないかと思う。2018年頃にアメリカの大学所属の常勤皮膚科医を対象とした同様の研究があり、どの役職間においても男女に顕著な差は見られなかったにもかかわらず、女性の教授職が少ないのは、明らかに「ガラスの天井」が存在しているということを示している。日本における問題点は、モチベーションを保てないことだと思う。これまで本調査のような科学的根拠に基づいた統計解析を行ったものは少ないので、他分野でも同様に行ってもらいたい。
■本来であれば論文を執筆している年齢の出産・育児に直面している若い女性医師が、M字ギャップのためにそれができていないのだと推察する。
■日医男女共同参画委員会において、女性医師のキャリアアップがどのように進んだかの10年間調査の結果では、市中病院における部長職以上の割合が増えていることがわかった。大学内において、なかなか教授にまでなれない女性医師が多いのは確かだが、10年間の間に徐々に改善が見られるので今後に期待したい。

−子育てとの両立−
■自閉症の子どもをもつ後輩医師で大変優秀な方がいたが、子どもへの対応のために結局仕事を辞めてしまった。
■自分としては医師業務以外の事務的な業務のサポートがもっとあればありがたく思う。スクジュール管理などをお願いできれば、子育てとの両立について意欲が保たれる。 

−ロールモデルー
■医師会活動に参加していると、市中病院で管理職として活躍している女性医師のロールモデルをよく目にし、大学に在職している方々よりも管理職の女性医師が多いと感じる。
■市中病院の院長職などの管理職に就いている女性医師の方々は、大学内の階級制度に早々に見切りをつけて外に飛び出し活躍している方々だと思うので、医師会のホームページや講演会などでロールモデルとして紹介するのが良い。
■日医男女共同参画委員会では会長諮問が「地域における男女共同参画の推進」となっているが、委員からは女性医師が開業している医療機関のほうが評判が良いなどの意見も出ており、割合などをデータとして示して男女共同参画に繋がる報告ができればいいと思う。また、地域で活躍している女性医師の活動も取り上げていきたい。

最後に、北海道保健福祉部技監の廣島先生から、道庁内でも女性管理職が増えており、活躍のための支援を行っていきたい。単純に女性管理職を増やすだけではなく育てる、経験を積ませることが大切である。とコメントがあり終了しました。


★後日、参加された方から、初のZoom利用の開催について感想をお寄せいただきましたので、併せてご紹介いたします。

・少人数でのグループディスカッションの時間を多くとっていただいていたため、先生方の自己紹介や、仕事の現状、子育てと仕事の両立、コロナ禍での子育て環境の変化など多岐にわたるお話をご一緒させていただき、とても貴重な機会になりました。ありがとうございました。また、お菓子も美味しくいただきました。お菓子を子どもたちが宅配の方から受け取ったのですが、北海道医師会から私宛と分かると、「北海道の医師会からお菓子を届けてもらえるなんて、お母さんすごい!本当にお医者さんなんだ!」と、子どもたちに尊敬されました。
・初めての試みにしてはそこそこ順調だったと思いました。何より遠方からの参加が楽です。
・ズームでの参加でしたが、困っていることを聞いていただきましておしゃべりをして、楽しい時間を過ごすことができました。どうもありがとうございます。
またの機会がありましたら、是非参加したいです。今後ともよろしくお願いします。
・企画・運営に大変なご苦労があったこととお察し申し上げます。貴重な機会をありがとうございました。今回、webと現地のハイブリッドで開催できたことで、今後この方法で様々な交流や情報交換をするチャンスを増やせるのでは、と思いました。今回は、窓口利用者とコーディネーターの情報交換でしたが、例えば地域の病院で研修中の先生方と道医師会と道の行政官で、地域での困りごとを直接情報収集する、等でしょうか。各大学の医局が窓口になって対応しているかと思いますが、道医師会の強みである行政とのつながりを生かせるのではと思いました。
・主催者の方たちが、感染対策やスムーズに会が進行するよう心配りが素晴らしいと思いました。時間を有効活用するよう、たいへん考えられている会だと思いました。機材の使い方や、ズームの使用方法がわかりやすい案内メールだと思いました。
・2回自己紹介は時間がもったいなく感じました。1回で済むような方法があるとよいなと思いました。
・2回グループ分けをするのであれば、1回目は今回のように年齢層に偏りがないグループ、 2回目は子供の年代別で振り分け、などだともっと率直な意見がでるのでは?と思いました。
 賢い若い先生であるほど、偉い諸先生相手に日常育児・キャリア両立で感じている壁にをお話しするのは単なる愚痴を聞かすことに繋がらないか懸念しているものだと思います。こんなこと言っていいのか、求められている発言なのか?単なる自分の甘えではないのか? 頭のいい先生たちほど空気の場を読んで 発言しなくなりそうです。私は複数回この会に参加して、西田先生や永石先生の育児経験談・情報を拝聴して現在進行形で育児と仕事の両立に大いに役立っています。今回は懇親会がないので仕方ない部分があると思いますが、そのような内容が今回は少なかったように感じており特に小学生未満のお子さんのいるママドクターが必要としている情報を持って帰ることができたのかな?と思いました。
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