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出産、複数回の転居を経ても仕事を続けることができた理由/KKR札幌医療センター斗南病院 放射線科  越智(橋本)純子

KKR札幌医療センター斗南病院 放射線科  越智(橋本)純子


 私は卒後10年目の放射線診断科医です。家族は3歳年下の消化器内科医の夫、3歳の長男、そして最近生まれたばかりの次男です。私は生まれも育ちも大阪で、大学卒業後から専門医を取得するまでもずっと関西で過ごしてきました。私は一生関西で生きていくと思っていましたが、夫の移動に伴って4年前に東京、3年前に仙台、そして去年から札幌へと、ここ数年は東日本を転々として暮らしています。


 東京、仙台では先輩や上司の口利きで仕事を見つけ、仕事を継続出来ました。札幌に来た当初は、初めての雪国での生活が不安であったこと、自宅から遠い認可外保育園しか確保できなかったこと、二人目の妊娠を考えていたことなどの理由から常勤で働ける自信がなく期間限定の非常勤で仕事を探しましたが、放射線科医を公募している病院は少なく、かつそんな条件に合う仕事は見つけられそうにありません。そんな時、家のお掃除をお願いしようと電話した「お手伝いのキューピッド」の社員さんから、北海道医師会女性医師等支援相談窓口に電話することを強く勧められ、ドキドキしながら電話をしたのが私と北海道医師会女性医師等支援相談窓口のお付き合いの始まりです。自分の希望条件を伝えたところ、早々に自分の希望通りの条件で働ける病院を見つけていただき本当に感謝しています。


 また、「どんな人が来るのか面白そう」と思って気軽に参加した北海道医師会女性医師等支援相談窓口利用者とコーディネーターの懇親会では、いろいろな先生方から仕事と育児の両立の仕方、工夫、悩みを拝聴し、とても参考になりました。以前の職場でも、子育てをしながらアクティブに働く先輩方やママ友から、家事・育児における工夫(オススメのベビーシッターや家事代行会社、学会参加時の工夫、夫の教育の仕方(!?)、最新家電情報、保育園・幼稚園情報、いろいろな医師支援制度についてなど)を教えて頂きました。こういった諸先輩方のアイデアから良さそうなものをトライ&エラーの精神でどんどん試していくことで、徐々に自分なりのペースがつかめてきたような気がします。


 引っ越しばかりで医局から半分脱落してしまった私ですが、こうしていろいろな人や制度に支えられてなんとか仕事を継続することができています。ただ、辞めてもすぐに次の仕事を見つけることができた理由として、私の場合は出産前にある程度のキャリアを積んでいたことと休職期間が短かったことが大きく助けになったと考えています。いざ子供が産まれると可愛い赤ちゃんとずっと一緒に家にいたくなる気持ちが湧いてきますが、キャリアのためには体調が戻って保育園などのサポートが確保でき次第、早期に復職する方が良いと思います。フルタイムが不安ならば私のように非常勤、あるいは時短勤務から再開すればそれほど負担もありません。そういった柔軟な雇用形態を容認してくれる職場や制度がもっと広がってくれることを期待しています。


 また、私は病院勤務とは別に3年ほど前から自宅でできる遠隔画像診断の仕事を細々と続けています。これはインターネットにつながったパソコンさえあればどこでもできますので、第1子出産時の里帰り中や引越し直後でも継続していました。つい最近第2子を出産した際も、幸い体調が良かったこともあって退院2日後から少しずつ再開しています。遠隔読影というのは放射線科ならではの仕事だと思いますが、将来的には他の科でも在宅でのテレワークがある程度広がってくるのではないでしょうか。在宅で一人で仕事をするというのは良いことばかりではありませんが、通常勤務に比べると時間や場所による制限が少ないため、産前産後や育児中など家庭の事情により病院勤務がしづらい医師が仕事を継続する上での助けになるのではないかと思います。


 結婚する前は自分の人生設計を描いたこともありましたが、結婚してからは全く思うようになりません。特に子育てにおいては年々新たな悩みが生じ、予想もつかないことが起こったりします。今では、「子供優先」「仕事をやめない」「できるだけ学びの多い職場を選ぶ」という最低限のルールを自分に課し、あとはその時々で臨機応変に対応していくしかないと割り切っています。これからも色々な問題に直面することがあると思いますが、周囲の人の手を借りながら、良い意味でマイペースに仕事を続けていきたいと思います。繰り返しになりますが、ここ札幌で私がやりがいを持って仕事を続けることができたのは北海道医師会女性医師等支援相談窓口の小林さんとコーディネーターの藤井先生のおかげです。本当にありがとうございました。

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