体験談

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職場復帰体験

6年半ぶりに仕事に復帰して /函館協会病院 河野 文子

函館市医師会
  函館協会病院/河野 文子



 6年半の子育て主婦生活から仕事に復帰し、1年半が経ちました。私は第二子出産の際に、産休を取らずに仕事を離れました。一人目の出産後、初めての育児と仕事の生活は、想像していた以上に大変で、同じ勤務医の夫は帰宅も遅く、お互いの両親は遠方であったため、二人の育児をしつつ仕事と家のことをしていくのは難しいと考え、退職しました。




 子育て中心の毎日は、幼稚園の役員をしたり、母親サークルの活動をしたりと充実していましたが、下の子が年長になるころ、「私はこのままの生活を続けていいのか?」と思い始めました。仕事を辞めてはじめのうちは、書類などの職業欄に「医師(育休中)」と書いていましたが、4年、5年と経つうちに、仕事をしていないのに「医師」と書くことに、なんとなく後ろめたい気持ちがしていたのです。年齢も40歳となり、「今、仕事に戻らなければ、もうその機会は来ないかもしれない」とも思いました。 夫婦で話し合い、下の子が小学校に上がるタイミングで私は子どもたちと地元に戻り、両親に子育てを手伝ってもらいながら仕事を始め、夫はそのまま残ることになりました。ありがたいことに今の病院にご縁をいただき、令和の幕開けとともに新生活が始まりました。

 復帰してはじめのうちは、白衣を着るだけで動悸がし、看護師さんに「先生」と呼ばれるたびにビクビク挙動不審になっていました。薬一つにしても、後発品が増え、名前を聞いても全くピンと来ず、ただただ自分の不甲斐なさに落ち込む毎日でした。6年前に退職すると決めた当時の私をここに連れてきて、「なんで辞めたの? どうして頑張って続けなかったの?」と説教したい気持ちでいっぱいでした。

 自分の力不足にへこみつつも、職場の環境にも恵まれ、1年半たった今は仕事にも先生と呼ばれることにも慣れ、一歩踏み出してよかったとしみじみ感じています。

 復帰にあたって、自分自身の不安はもちろん、子どもたちが函館での生活と新しい学校に慣れてくれるかという心配 も大きかったのですが、子どもたちは親が思っている以上にたくましく、元気に過ごしてくれたのが幸いでした。特に内地育ちの子どもたちにとって、函館の給食は量も多く、なによりとても美味しいのだそうです。昨日、仕事から家に帰って「学校はどうだった?」と聞いた第一声は「今日は給食のおかわりじゃんけんに勝ってホタテフライ3つ食べた! 美味しかった!」でした。
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