体験談

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7年ぶりの臨床への仕事復帰と初めての北海道生活/北見赤十字病院 山崎 麻里

  北見赤十字病院/山崎 麻里


 私は地方大学卒業後すぐに出身大学の産婦人科に入局しました。医局人事で7年間働いた後、結婚を機に医局を辞め関東へ転居しました。

 関東ではこれからの妊娠出産を優先させたかった事や、出産後は夫・私ともに両親は遠方であり協力をお願いすることが難しかったこと、また夫は会社員ですが仕事は多忙で平日は私1人での育児となることを考え、婦人科検診中心の非常勤勤務を選びました。週数日の検診中心の仕事をしながら、2人の子供に恵まれました。フルタイム勤務に比べると子供と過ごす時間は多くあり、今思い出してもお世話が大変だった赤ちゃん時代から徐々に世界が広がり親も体力勝負の幼稚園時代へと、子供を中心に貴重な大切な時間を過ごすことができたと思います。

 そんな生活をしながら7年目に入ろうとしていた頃、私は検診に物足りなさを感じ臨床に復帰したいという気持ちが徐々に強くなっていました。医師としてバリバリ働きながらママとなっている大学時代の友人達がうらやましく、しかしどのようなルートで臨床へ復帰を目指したらいいのか分からず徐々に焦りを感じていました。そのようなタイミングで夫が関東から北海道北見市へ転勤になることが決まりました。

 縁もゆかりもない北海道で、臨床への仕事復帰なんてなかなか難しいだろうと思いながら、私はネットで北海道での求人を検索しました。その時に幸運にも北海道医師会の復職支援のホームページにたどりついたのです。早速メールを送ったところ、その日のうちに小林さんから返信を頂きました。転居のタイミングで藤井先生との面談ができるように予定を組んで下さり、北見の病院見学にまでも付き添っていただくなど本当に親身にご対応して頂きました。北海道で生活を始める前から北海道の方の温かい人柄に触れ、北海道が好きになっていました。改めまして大変感謝申し上げます。

 そしていよいよ仕事復帰ですが、上の子(年長)は幼稚園の延長保育へ、下の子(2歳)は院内保育へあずけ、まずは週4日9時〜15時勤務から始めました。やはり7年間のブランクは思った以上に大きく、分娩や手術などは全く手や足がついていかず(もちろん頭も)、外来では妊婦さんをみるだけでドキドキしていました。新しい抗癌剤が発売され標準治療に加わっていたりとまさに浦島太郎状態で、研修医に戻ったつもりで勉強しなおしでした。一方で、担当の長期入院していた妊婦さんが無事出産した時の喜びや、退院後に「先生、(出産時に立ち会った子供が)こんなに大きくなりました!」などと声をかけられたりするちょっとした嬉しさも思い出し、新たな一歩を踏み出すことができ良かったなと感じました。そして、徐々に勤務時間も週5日のフルタイムに増やしました。

 周産期から悪性疾患までを扱うオホーツク圏内の拠点病院で3年近く勤務できた事は、あやふやになっていた昔の知識をリセットし、現在の標準治療の知識へと更新することができたのではないかと思います。夫が北見から関東へ戻ることになり、現在は東京で仕事をしています。北見日赤での復帰が次へのステップへとつながったと思います。ありがとうございました。

 
 最後に北海道での生活について少し書かせていただきます。
 夫は転勤族のためいつかは転勤になる心構えはできていましたが、夫も私も南国育ちで関東から北には住んだことはなく、転勤が決まった時はまさかの北海道!まさかの北見!でした。冬には氷点下の世界となる極寒北見、「鼻水が凍るらしい」とか「冬は3分も外を歩けないらしい」などとあることないこと散々脅かされ北見へ参りました。想像もつかない氷点下の世界で私たち家族は生きていけるんだろうかと不安もありましたが、若干怖いもの見たさもあり実は興味津々で1年目の冬を待ち構えました。
 建物の中は関東よりも暖かいですが、外は時に痛いと感じる寒さで、さすが北見、体験したことのない感覚でした。自宅から車で少し走ると広大な一面の雪景色が目の前に広がり、ドラマ「北の国から」の音楽が頭を流れました。雪かきや凍結した冬道の運転、つらら、吹雪などなど、私にとっては何もかもが初めてで新鮮でしたが、北国に住んでいる方々の大変さも知りました。子供達は一面の雪に目を輝かせて大喜びです。そり滑りや氷の滑り台、かまくらを作ったり雪のかき氷を楽しんだりとすっかり北見っ子になりました。
 また、近所で普通に野生のリスやキツネに出会うこともありましたし、本来なら不審者情報を知らせる市からのメールで「小学校にシカが出たので注意してください」などといった珍メールが届いたり、北海道ならではの貴重な経験もたくさんできました。子供たちが幼少期にこのような雄大な自然を身近に感じながらのびのびと生活できたことは本当に良かったと思います。そして、北海道の「食」の事を書き出したらきりがないですが、オホーツクの幸も絶品でした!

 実家から遠く離れた北海道での仕事や子育ては、その時々は色々と大変なこともあったような気がしますが、もはやそんな記憶は全くなく、今振り返ると、小林さんや藤井先生との出会いから始まった北海道での生活は、毎日が充実した日々で楽しい思い出ばかりです。本当にありがとうございました。

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