北海道医師国民健康保険組合

健康レシピとエクササイズ

recipe&exercise

北海道国民健康保険団体連合会 機関誌「北海道の国保」に
掲載の中から健康レシピとエクササイズをご紹介いたします。

健康レシピ
(管理栄養士監修)

北の恵みふるさと健康料理2025年8月号

森町の特産 トマト

北の恵み記事

エクササイズ

自宅でできるエクササイズをご紹介します。(一般社団法人 地域ウェルネス・ネットより)

ウェルネス・ネット代表

福岡永告子 先生

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転倒予防体操① (2025年6月号)

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転倒は誰にでも起こる

 転倒は誰にでも起こるものですが、高齢になって身体機能が衰えるにつれて、その頻度は高まりやすくなります。子どもの頃は転倒しても平気だったものが、高齢になれば身の危険となります。特に、転倒による骨折が原因で要介護状態となることは珍しい事ではなくなっています。そのために、転倒予防は誰もが必要となるもので健康寿命を延ばすためには欠かせない取り組みです。

「転びやすさ」チェック

 まずは、どのような原因で転倒しやすいかを知っておく必要があります。
 簡単な「転びやすさ」チェックをご紹介します。ちょっとした目安や参考にしてください。
①身長が縮んできた(猫背気味になってきた)  身長が縮み、前かがみの姿勢になると、歩き方が変わります。すり足歩きや、ちょこちょこ歩きになるのです。つま先が上がらないこうした歩き方は、つまずきやすくなりますし、前のめりで視野が狭くなり危険です。 ②身体を反らして歩く(反り腰の状態で歩いている)  歩き方のチェックで、「あごが上がっている」「胸を突き出している」に当てはまった方は無駄な力が入っている可能性が高いです。姿勢が良いようにも見えますが、身体に無駄な力が入るため疲れやすく、また足元を見ると、「蹴る」動作が弱く、後ろ重心で不安定にもなり転倒リスクが高くなります。 ③歩く速度が遅くなった  青信号のあいだに、余裕をもって横断歩道を渡り切れなくなったら、速度が落ちてきたと認識してください。年を重ねて体が変化し歩く速度が遅くなるのは、当然のことです。
 その変化に気づき、変化を受け入れ、変化に対応することが、転倒予防につながります。

転倒の原因は上半身にもある

 歩く際に、腕を振りながら上半身を回旋して、その反動で足を前に出すなど、足腰より上(上半身)も巧みに動かしています。高齢になって「上半身もかたくなる」と、その動作が不十分となり、結果として歩行が不安定になって転倒しやすくなります。
 腕を後ろに深く引いて肩甲骨を動かす「準備体操・腕振り」をお勧めします。
 肩甲骨が動くため猫背改善にもなりますし、背筋が刺激されることで、血行の改善にもつながり肩こり予防にもなります。

同一平面上での転倒が多い(厚生労働省「人口動態調査」(平成26年~令和2年)より)

 「スリップ、つまずき及びよろめきによる同一平面上の転倒」と 「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」を比較すると、80歳以上のスリップ、 つまずき及びよろめきによる同一平面上での転倒が顕著に多いという結果が報告されました。
 立位や歩行時によろけたり、つまずいたりした時、足の指の力をうまく働かせ、グッと踏ん張ることで転倒を予防することができます。しかし、足の指がうまく使えない状態になっていると、踏ん張ることができずに転倒のリスクが高まってしまいます。 また、足の指がうまく使えないまま、悪い姿勢で立位や歩行を行うことで、膝や腰などに過度な負担がかかり、膝痛や腰痛にもつながってしまいます。「足の指の筋トレ・足首回し」をぜひ習慣にしてみてください。
 今回は、転ばない身体をつくる「身体のバランスを保つ」「足の筋力を保つ」「身体の柔軟性を保つ」この3つの要素を組み合わせた運動をご紹介します。

転倒予防体操② (2025年7月号)

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つまずき転倒

 前回「スリップ、つまずき及びよろめきによる同一平面上の転倒」と 「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」を比較すると、80歳以上の場合「スリップ、 つまずき及びよろめきによる同一平面上での転倒」が顕著に多いという結果が報告されたことをお伝えしました。高齢者に限らず、転倒災害は労働災害全体の約四分の一を占めるほど多く、その中でも「つまずき」によるものが多く、職場環境や心身機能の衰え、注意不足が主な原因となっているようです。今回はつまずきによる転倒を考えていきたいと思います。

つまずく理由

 ふくらはぎと太ももの筋力低下、背筋の減少、そして、蹴る力が弱まることがつまずく理由として挙げられています。
①ふくらはぎの筋肉の減少
 ふくらはぎの筋肉は、足を地面から押し上げる役割を果たします。
 「第2の心臓」とも呼ばれ、歩行時にはポンプの役目を果たし、足にたまった血液などを心臓に戻しています。このふくらはぎの筋肉を動かさないと血液が滞り、足はむくんで重くなります。そして歩きづらくなって、つまずきやすくなってしまうのです。
②太ももの筋肉の減少
 太ももの前面に位置し、膝を伸ばす役割を果たします。
 歩行中に股関節や膝関節を安定させる役割もあり、この筋肉が弱いと膝折れ(立っていると膝がカクッと曲がる状態)が起こってしまいます。この太ももの筋肉が減ると、膝を上げる力が弱まり、数cmの段差さえ越えにくくなります。
③背筋の減少
 背筋が減ると猫背になり、重心が前方に傾く。足が持ち上がりにくくなり、視点も下がるため転びやすくなってしまいます。「下を向き、歩幅や腕の振りが小さく、つま先から歩く」これが高齢者に多い歩き方といわれています。
④蹴る力が弱まる
 太ももとふくらはぎ、足全体の筋肉が減ると、足を上げる力が衰え、つま先も上げづらくなるので“すり足”で歩いてしまいつまずきやすくなります。また、つまずいた時に踏ん張れずバランスを崩して転倒につながります。

ウォーキングでつまずき予防

・大股歩きでふくらはぎを刺激する
 歩行時に歩幅が小さいのは、膝が上がっていない証拠です。小股の場合、筋肉を使わなくても歩けるので筋肉が弱まり、ますます膝が上がらなくなります。いつもより1足分前に足を出すようにすると、ふくらはぎの筋肉の収縮がしっかりと入り、足に溜まった血液を心臓へと送ってくれます。
・腕を後ろに深く引いて肩甲骨を動かす
 歩行時に腕をリズミカルに後ろに振るイメージで歩くと、肩甲骨が動くため猫背防止になります。肩甲骨を意識して動かすと骨盤も連動して動くので全身の筋肉を鍛えられます。
・坂道ウォーキングで下半身の筋肉を鍛える
 傾斜のある坂道でのウォーキングは、体を傾斜に合わせるため、平地を歩いた場合よりも脚や腰、お腹などの筋肉を使う必要があります。また、坂道を歩くと、平地をウォーキングした場合はあまり使われにくい、内ももの筋肉である「内転筋」やすねの筋肉、そして体幹も使用されます。少しだけ前に傾けると、バランスを保ちやすく体が安定するため体幹からの力が骨盤から足裏にかけてしっかり伝わります。
 いつものウォーキングコースに坂道をくみこんだり、季節の良いこの時期に森林を歩いたりするのもお勧めです。

転倒予防体操 ③(2025年8月号) ~長く自分の足で歩くために~

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「歩く」は健康のバロメーター

 「歩く」という行為は、ふだん私たちが最も頻繁に行っている行為です。 そして、この歩行の維持は「健康長寿」を維持する上でとても重要な役割を果たすことが実証されています。介護予防教室の参加者からも「いつまでも自分の足で歩きたい」「トイレに自分で行き排泄する力を失いたくない」と切実な声も聞かれます。

高齢者が「歩けなくなる」原因

 高齢者が歩けなくなると、希望に沿った生活が遠ざかり、生活の質(QOL:Quality Of Life)も低下します。買い物や、通院ができなくなり、自宅に閉じこもりがちになって、心の健康にも影響を及ぼします。
 高齢者が歩けなくなる原因はさまざまありますが「筋力の低下」や「慢性疾患の既往」「骨や関節の疾患」などが挙げられています。
①運動不足
 「使わない筋肉はなくなる」といわれています。特に高齢になると、意識して動かないと、どんどん筋肉は減ってしまい、足の老化が加速します。
②関節の痛み
 歩くときに必要な関節である膝や股関節に痛みがあると、自然と体を動かさなくなります。そうすると、筋肉を使わなくなって、どんどん筋力が落ちてしまうのです。「痛いから動かない → 筋肉が弱る → もっと動けなくなる」という悪循環に陥ります。
③認知症の影響
 認知症の中で最も多い「アルツハイマー型認知症」では歩幅が狭くなり、すり足でゆっくり歩くという特徴があります。さらに背中が丸まって前かがみの姿勢になるため、バランスを崩しやすくなり、転倒のリスクが高まります。
④入院による体力の低下
 入院中は安静にする必要があるため、活動量が減って体力の低下を招きます。年齢を問わず、1週間〜2週間程度の入院でも想像以上に筋力は落ちるといわれています。
⑤低栄養によるエネルギーの低下
 体を動かすのに必要なエネルギーや、筋肉や骨などを作るタンパク質が足りない状態になり、筋肉量も落ちて活動量が減ってしまう。

歩くために必要な筋力

 「歩く」ためには地球の重力に逆らって体を持ち上げ、背骨を伸ばして支え続けることが必要です。「重心」といわれるものを移動させるために、足や手(前足)の上に背骨をしっかりと安定させてのせておくことが必要になってきます。
 今回は、鍼灸師、柔道整復師、介護福祉士の企画編集で、
・脚 (踏む力、蹴る力)
・背中(腕を引く力、背中を支える力)
・お腹(足を引き上げる力、お腹を支える力)のプログラムをご紹介します。
 動画では自分の体のチェックもできるプログラムから始まります。
ぜひ、動画も活用していただきたいと思います。
転倒を防いで、いつまでも自分の足で歩いていきたいですね!