健康レシピとエクササイズ
recipe&exercise
北海道国民健康保険団体連合会 機関誌「北海道の国保」に
掲載の中から健康レシピとエクササイズをご紹介いたします。
健康レシピ
(管理栄養士監修)
北の恵みふるさと健康料理2025年2月号
北斗市の特産 わかめ

エクササイズ
自宅でできるエクササイズをご紹介します。(一般社団法人 地域ウェルネス・ネットより)

ウェルネス・ネット代表
福岡永告子 先生
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コーディネーショントレーニング ボールを使った運動 (2024年11月号)
幼児期・児童期から始めるコーディネーショントレーニング
コーディネーションとは、1970年代に旧東ドイツで生まれた、アスリートの運動能力向上のための理論です。コーディネーション(coordination)は、日本語にすると「調整」「一致」といった意味になります。コーディネーショントレーニングは、筋肉を鍛える筋トレとは違い、体の動きや力の加減を調整する「運動神経」を鍛えるトレーニングです。
子どもの神経系の発達は、生まれてから4〜5歳までの成長が著しく、成人の約80%がこの時期までに完成します。12歳ごろまでにはほぼ100%成長するため、神経系が成長途中である子どものうちにコーディネーショントレーニングをすることがより有効だと考えられています。
7つのコーディネーション能力を高めるトレーニング
コーディネーショントレーニングでは7つのコーディネーション能力を高めていきます。
何かの動作や運動をするときは、7つのうちのいくつかの力がお互いに連動して、体を自分の思ったとおりに動かしています。
- 定位能力=相手や味方、ボールなどと自分の位置関係や距離を感じる力、把握する能力
- 反応能力=合図にすばやく、正確に対応する能力
- 連結能力=関節や筋肉の動きをつなげ、スムーズに動かす能力
- 識別(分化)能力=手や足、用具を意のままに操作する能力
- リズム能力=タイミングを計ったり、動きをまねしたり、イメージを表現する能力
-
バランス能力=必要な体勢を保つ能力
体勢が崩れたときに、立て直すことができる力であり、不安定な物の上や空中で体勢を保ち、動ける力です。 -
変換能力=状況に合わせてすばやく動作を切り替える能力
急な変化に対して、適切な動きをとれる力です。状況判断、身体操作、定位能力、反応能力などが複合的に関わっています。
ボールを使ってバランス能力・変換能力向上を目指す
7つのコーディネーション能力すべてをアップさせる運動として、キャッチボールが挙げられています。野球のボールに限らず、ドッジボールやビニールボールなど、いろいろな大きさや固さのボールを使うことで、効果や面白さに変化が出ます。
今回ご紹介するボールを使ったプログラムは「ゆらぎの中で重心を探し、動きの中で体を調整する対応力をつける」ことを目的としています。基本の筋肉である足腰や体幹も鍛えられます。コーディネーショントレーニングでは子ども自身が「楽しい」と感じることが最も大切な要素になります。幼児期・児童期は神経系が向上するとても大事な時期です。この時期の運動経験が将来的な運動能力にも繋がっていきます。コーディネーショントレーニングを楽しんでください。

裸足でバランス・エクササイズ
「二の腕・背中を引き締めるエクササイズ」と
「ウエスト・お尻を引き締めるエクササイズ」
(2025年1月号)
全身の筋肉はつながりあって動いている
姿勢を保ったり、体を動かしたり、意識的に動かすことのできる「骨格筋」は400種類もあるといわれています。そして人間の体は「張力」により全身の骨格筋が〝連動性〞をもって動いています。上半身を安定させるには体幹や下半身の筋力が必要ですし、下半身を安定させ効率よく動くにも上半身のパワーが必要不可欠です。
例えば腕を振らないと速く走ることができないのは、誰もが経験的に分かっていることだと思います。それは腕振りのパワーが、下半身を素早く力強く動かすために役立っているからです。細かくいうと、腕を前から後ろに振る力は、その側の骨盤や脚を前に引き出すのに役立ちます。また、腕を後ろから前に振る力は、特に地面の下方向に力を伝えたり、接地中に上半身を前に進めたりする(速く走る)のに貢献しています。
このように上半身、体幹、下半身の筋肉がバランスよく連動すれば、パフォーマンスの向上となるだけではなく、動きやすく疲れにくい体にもつながっていきます。
全身のバランスを保つためのセンサー
今回ご紹介する「バランス・ストレッチ」では、できれば裸足で行ってみてください。
靴を履いているときには通常使われない筋肉や筋肉群が活性化されます。この筋肉の活性化の増加により、筋力とバランスの向上につながります。
足の裏には、メカノレセプターという感覚受容器があり、地面の情報を脳に伝えるセンサーの役割をしています。地面の凹凸や滑り、材質、傾きなどの情報を脳に伝えます。
脳はその情報をもとに歩いたり、立ったりします。通常うまく作動していれば、足裏の情報を脳に伝えながらうまく体のバランスを保っています。
ただ、このメカノレセプター、使わないと感度が低下してしまいます。
このメカノレセプターの働きが鈍くなると、立位での安定性や姿勢、運動時の安定性も減少します。感度を良くするために
・足じゃんけんのグーチョキパー
・ゴルフボールを足の裏で転がす、つかむ
・足の指に手を組み合わせて回すなどいろいろな方法があります。
足裏のメカノレセプターに適度に刺激が入る、裸足でできるバランス・エクササイズは1つ1つの動きの強弱は自分で調節できます。「二の腕・背中を引き締めるエクササイズ」と「ウエスト・お尻を引き締めるエクササイズ」と2パターンあります。パターンごと1つ1つ分けて動いてもいいですし、強度は高くなりますが、つなげて動いても構いません。
裸足で全身を動かすことが大切です。ぜひ、試してみてください。
また、裸足で運動する前に、そのエリアが危険ではないことを確認しましょう。

高齢期の椅子からの立ち上がりに注意「立ち上がりが楽になる体操」(2025年2月号)
高齢期の立ち上がりは転倒の危険も!
介護予防教室の中で「以前は当たり前にできていた椅子からの立ち上がりが難しくなった。」という声をよく聞きます。立ち上がり動作は生活する上でほぼ100%といっていいほど必要な動作になります。この立ち上がり動作が不自由になってくると、移動するのが大変になり、生活範囲が椅子の周辺になってしまいがちです。すると、立ち上がる機会が減り、さらに立ち上がりにくくなるといった悪循環に陥ってしまいます。さらに、転倒や椅子からの転落にも繋がり、股関節や骨盤の骨折を起こしてしまう原因となり得ます。そうならないためにはどうしたらいいのか?が今回のテーマになります。
●TUG(Timed Up and Go )Test
TUGテストは、歩行速度、椅子からの立ち上がり、方向転換の機能を評価する方法です。カットオフ値や平均値から転倒予測などができるといわれています。
1. 椅子に深く座り、手を膝の上においた状態からスタート
2. 無理のない早さで歩き3m先の目印へ
3. 目印・目標物を回って椅子に戻ってくる
4.椅子に着座する ※そのかかった時間を計測します。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
老年学・社会科学研究センターが作成したTUG測定値のガイドです。
また、介護予防の観点から運動器不安定症のcut off値(転倒のリスクが高まった状態)は11秒と設定されています。
北海道で高齢化率の高いU市の実例
実際に介護予防教室で計測した令和5年U市のケースをご紹介します。
・U市全参加者測定157名 平均年齢80.1歳 測定値7.3秒
・U市M地区測定15名 平均年齢87.6歳 測定値9.5秒
・U市K地区測定10名 平均年齢87.7歳 測定値10.3秒
市の全体の参加者を見ると介護予防ガイドでは「普通」、転倒のリスクは高くないという結果になりました。
また、地域に出向いた2地区では、平均年齢が上がった分、介護予防ガイドでは「少し悪い」という結果ですが、転倒のリスクに関しては大丈夫な範囲におさまっています。
介護予防レベルで「悪い」、そして転倒リスクが高いという結果になった2例です。
・Aさん(女性)93歳18秒→94歳23.8秒→96歳測定不可(R6)
・Bさん(女性)84歳20秒→87歳12.6秒→88歳10.1秒(R6)
年を重ねると、歩行が安定せず、自立歩行が無理になるケースもありますが、運動教室には参加されています。
また、年を重ねても運動を継続していくうちに、体力が戻る例もあります。
大切なことは、測定の結果を受けて、立ち上がり、歩行、方向転換、着座の動作のどこに問題があるのか、ないのかを知り、対応していくことだと思います。
立ち上がりが楽になる体操と個人別運動プログラム
「立ち上がりが楽になる体操」と「体幹とバランスの体操」、そして、安全な「立ち上がりの動作」をご紹介します。試してみてください。
また、測定後結果を踏まえて、個人別のプログラムも作成しています。AさんBさんのプログラムです。継続は力です。ゆっくり年齢を重ねていってほしいと願います。