療養型病床群の病院

 私の病院は、いわゆる老人病院です。約20年前、60歳以上の入院患者数が60%以上の病院を老人病院にすると規定されてから、老人病院は特例許可病院、介護力強化病院と名を変えて、規制および診療体制の変化を余儀なくされてきました。 また、このたびは平成14年4月より療養型病床に変換しなくてはならなくなり、多くの老人病院においてはベッド数削減化、病院の増改築をせざるを得なくなりました。
療養型病床施設とは、入浴設備、機能訓練室、食堂、娯楽室の完備、四床管理かつ病室の大きさを1人1床当たり、現在4.8m2を、6.4m2以上とすること、廊下幅は片側居室1.8m、両側居室の場合、2.2mとするものです。
既存の老人病院にとっては、増改築せざるを得ない大事業です。
平成12年4月から始まった介護保険制度も療養型病院のみを対象としています。当院では、現在95床中、62床が介護療養型ベッドとして許可されています。6月現在では、介護度別入院患者数は、介護度5が25人、介護度4が18人、介護度3が9人、介護度2が10人、介護度1は10人です。
介護度3までが約80%を占めており、介護保険が始まってから、かなりの数の入退院がありますが、その割合はあまり変わっていません。今後も変化はないと考えられます。
介護1は10人ですが、老人性痴呆(ちほう)の患者さんが約半数います。介護認定審査会で問題になっているように、痴呆老人の介護度認定が低く判定されています。この点が改善されなければ、病院からの拒否の動きが高まっても不思議ではありません。
もう一点、問題なのは現在、医療法改正によって、高度医療大病院では、急性期病床と慢性期病床の分離の定着化と、入院日数の短縮化のため、老人慢性疾患の長期入院ができなくなる傾向にあることです。したがって老人病院の需要が多くなる可能性は、多いとは考えられます。
さらに問題なのは、他病院において、がんと診断された患者さんが、高齢または他疾患があるため、手術不可能と診断された場合です。いわゆるターミナル・ケアの患者さんの対応です。当院にも、このような患者さんが常時5、6人入院していますが、入院が長期になるため、定額性を強いられている老人病院では、問題がないわけではありません。
これらの問題点は、老人病院だけではなく、医療界全体の問題としてとらえ、そして一病院としても対応できるよう、心掛け努力していくつもりです。

                                      [皆川 芳徳 皆川病院]


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