肥満度解消を願って

肥満は糖尿病、高血圧症、高脂血症や心筋梗塞(こうそく)などの危険因子です。肥満の人の胸部エックス線写真では横隔膜が挙上していることが多く、おなかの出ているタイプの人では、腹部臓器が肺をも上方に圧排していて、呼吸機能に少なからず悪影響を及ぼしています。
 肥満か否かを判定するには、BMIという体重指数を用います。体重(?)÷身長(m)÷身長(m)=BMIです。BMI=22.0に属するグループが最も有病率が低いので、これを標準体重としています。
 昨年までは、BMI=17.6〜26.4(標準体重の20%減〜20%増)を一応の正常範囲としていましたが、正常範囲内での体重増の人の中に糖尿病が多く認められるので、昨年改正され、BMI=18.5〜25.0(標準体重の略。16%減〜13%増)が正常範囲となりました。
 例えば、身長165cmの人の標準体重は、1.65×1.65×22.0=59.9(?)、もし現在70?ならBMI=70÷1.65÷1.65=25.7で肥満、BMIの上限25.0では1.65×1.65×25.0=68.1(?)、つまり身長165cmの人の理想的体重は59.9?、これを超える場合でも68.1?以下であってくださいとなります。この式を利用して自分が肥満か否か計算してください。
 肥満の原因となるいわゆる過食を防ぐには、まず食べ物の作り過ぎは禁物。早食いも不可、時間をかけて食べると先に食べたものが消化液で膨化し、少なめの量で満腹感が得られます。
 野菜やコンニャクなどから食べ始め、これらである程度胃を満たしてから食べるのもカロリー制限に有効です。夜はカロリー消費が少ないので、夕食のカロリー摂取は控えめに。夕食の遅い人はこの点が特に重要です。
 カロリー制限のための過度の低脂肪食は脂溶性ビタミン類の不足を招きます。糖質、タンパク質、脂質の比率が60・・25・・15程度のバランス内でのカロリー摂取を考慮してください。適度の運動を続けることも大切です。

[加賀谷秀夫 室蘭・登別総合健診センター]


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