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  下肢の動脈が詰まる話 つまらない話
   足の動脈がゆっくり詰まっていく病気について述べたいと思います。これらの大半を占めるのは閉塞(へいそく)性動脈硬化症で、次に多いのはバージャー病です。 
  パージャー病は20―40歳代に多く、喫煙と深い関係があります。たばこを吸わない妻が愛煙家の夫からの間接喫煙によって発症するケースも少なくありません。膝(ひざ)以下の細い動脈に炎症性の閉塞を生じるため、潰瘍(かいよう)や壊死(えし)を生じやすいのも特徴です。 
   閉塞性動脈硬化症は50歳以上に多く、バージャー病ほどではないものの、喫煙が大きな増悪因子になります。主に膝より上の太い血管に生じる動脈硬化による閉塞で、高血圧、狭心症、糖尿病、高脂血症などを合併している人に多発します。 
  症状の第1段階は冷感、しびれ感のみの時期です。第2段階は間欠性跛行(はこう)=歩いていると、数10―数100bでふくらはぎが次第に痛みだして歩けなくなり、4、5分休むと痛みが取れて歩けるようになる症状=の時期です。 
   第3段階では安静に寝ている時にも足が痛くて眠れなくなり、すぐに動脈バイパスなどの血行再建手術を受けないと足を救うことができません。 
   第4段階ではついに足が腐り始め、下肢の切断を余儀なくされることもしばしばです。第2段階で手術を受けるのが理想です。 
   動脈バイパス手術とは血管の詰まった部分の上に新しい橋をかけるように、病変部の上流から下流へ代わりの血管で橋渡しを作る手術法です。太い血管には人工血管を、細い血管には主に自分の下肢の動脈を用います。 
   予防法は、とにかく禁煙することと、高血圧、狭心症、糖尿病、高脂血症などをきちんと治療しておくことに尽きます。 
   同じ間欠性跛行を呈する疾患としては、整形外科領域の腰部脊(せき)柱管狭窄(さく)症が有名です。どちらの症状なのかをきちんと診断する必要があるので、症状のある方はなるべく早く専門医の診察を受けられることをお勧めします。 
  [堀尾 昌司 堀尾医院]  
  
   
   
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