糖尿病食は健康食
 
患者さんに守ってもらいたいこと

 毎日の糖尿病の診療で感じることがいろいろありますので、以下に列挙してみたいと思います。皆さまの参考になれば幸いです。

1.糖尿病と診断されたら、まず教育的入院が必要です。あまり重くないからとか、入院したら会社を首にされてしまうなどの理由で延び延びにしている間に、眼底出血や心筋梗塞(こうそく)になってしまい、取り返しのつかないことになってしまうことがあります。

2.治療を中断しないこと。中断するたびに必ず悪化してしまうと思った方が良いと思います。

3.食事療法は最も重要で、これ抜きにしては糖尿病の治療は成り立ちません。基本は糖質(穀物、芋類、大豆以外の豆、果物など)を一定量に抑えると同時に、総カロリーも一定量に抑えなくてはいけません。1日の必要カロリーは医師や栄養士に計算してもらってください。できれば自分でカロリー計算ができるくらいになってください。

4.あまりいろいろな本に惑わされないこと。日本糖尿病学会編「食品交換表」という本1冊で十分です。この本は、図や表が多く、比較的簡単に読むことができます。この本を繰り返し読むと良いと思います。一生の伴侶(りょ)としてください。
5.民間療法に頼らないこと。新聞の広告や折り込み広告で、糖尿病が治るなど見掛けますが、信用しないでください。
6.他人の話をあまり信用しないこと。これをやったら糖尿病が良くなったとか、これは甘くないから食べても大丈夫だなど、よく聞くと思います。糖尿病の患者さんでも食事療法を正しく覚えている人は少ないです。

7.老人クラブや福祉センターなどで友達に勧められても食べないこと。食べ物を持って来る人が多いようです。

8.付き合いで食べないこと。茶飲み友達や来客のとき、自分が食べないと相手が食べないから、といって食べる人が多いようです。

9.仏壇のお供え物を食べないこと。血糖の上がるものが多いからです。

10.
お菓子など食べない方が良い物は買っておかないこと。
食事制限は誠につらいことですが、余病を防ぐにはこれ抜きでは不可能です。2週間頑張れば、ほとんどの人が我慢できるようになります。糖尿病食は皆さんの健康食です。

[柳川 志公 柳川内科医院]


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