白内障の話

皆さんがご存知の通り、眼の中にある水晶体(カメラに例えるとレンズに相当)が濁った状態を白内障といいます。
 濁りが進行してくると、かすんで見えたり、まぶしさが強くなります。また、強度の近視の方は水晶体の中心が濁るため、さらに近視が進行して眼鏡が徐々に合わなくなったと思い、何度も作り替える方もいらっしゃいます。
 白内障の原因は、加熱によることがほとんどですが、糖尿病、ブドウ膜炎、アトピー性皮膚炎のほか、先程お話しした強度の近視の方も進行しやすいといわれています。
 診断は、細隙灯顕微鏡という機械で検査をすれば容易にできます。しかし、白内障だとばかり思っていたら、緑内障や網膜剥離(はくり)、眼底出血が見つかったことも多々あります。そのため、眼底検査を行い、以上のような病気がないかをチェックしておくことが非常に重要です。
 治療は、軽いうちは点眼薬で進行を予防します。それでも進行した場合は、濁った水晶体を超音波で砕いて吸い取り、代わりに人工レンズを入れます。点眼麻酔で行なう約10分程度の手術です。傷口も3.5〜4oほどで、乱視の強い場所を選ぶので乱視が増えることがなくなりました。
 このように、患者さんの負担が非常に軽くなってきましたので、入院期間も数日程度で済み、年齢や体調によっては日帰りで行うことも可能になりました。
 手術をする時期は、患者さんのご希望で決めていますが、放置しすぎると超音波での手術ができなくなるだけではなく、緑内障やブドウ膜炎といった他の眼の病気になることも稀(まれ)にあるため、専門医での定期的な診察が必要です。
 快適な老後を送るためにも、かすみや視力低下を感じたら専門医を受診されることをお勧めします。

[澤崎 嘉昭,澤崎眼科院長]


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