鼻出血について

鼻出血はいろいろの原因で起こります。まず、出血原因の不明確な「特発性」といわれるものと、原因のある「症候性」のものがあります。
 特発性のものは、鼻をほじる、こする、鼻を強くかむ、くしゃみをするなどの刺激や咳(せき)などの一過性の脈圧上昇で起こり、鼻出血の80%がこのタイプです。主に鼻の入り口付近1、2pのところからの出血が多くみられます。この部分が特に毛細血管が集中している上に、粘膜が薄くて出血しやすいのです
 症候性のものでは、アレルギー性鼻炎、急性鼻炎、慢性副鼻腔(びくう)炎、鼻前庭湿疹(しっしん)などの疾患や、腫瘍(しゅよう)、血液疾患、薬剤(抗擬固剤など)、肝・腎機能障害でも起こることがあります。
 治療ですが、鼻血が出てしまったら、まず慌てずに「圧迫止血」を試みてください。特に子供さんの場合は、不安がらせないことも大切です。
 圧迫止血は鼻の孔(あな)に綿球(長めに丸めたもので1個だけ)を詰め、うつむいた姿勢で、小鼻を強くつまんで5分前後そのままでいて、のどや口の中にたまった血液は飲み込まず、ゆっくり出すようにしてください。軽いものでは、綿球を入れず、小鼻の圧迫だけで済むこともあります。
 座位でうつむいた姿勢が取れない場合は、横向きに寝て、顔を少し下に向けるようにすると良いと思います。
 たいていの出血はそれで止まりますが、いったん止血したら、とにかく鼻をいじらないようにしてください。鼻の骨の硬いところをつまんだり、首の後ろをたたいたり、顔を上向きにしたりしないで下さい。鼻血をかんで出そうとすることは絶対やめてください。鼻を冷やすことは大きな効果は期待できませんが、多少の効果はあるかもしれません。
 以上でも止血しない場合は、鼻の中の所見を確認しながらの処置が必要ですので、専門の医療機関を受診してください。また、このときも、医師の治療を受けるまで衣服を緩めて小鼻を圧迫し、顔を下に向けて鼻からの出血をタオルなどでふき、受診されると良いと思います。

 [松田 史明,とんけし耳鼻咽喉科クリニック理事長]


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