糖尿病の合併症

「糖尿病の三大合併症」と呼ばれるものは、目の病気(糖尿病網膜症)、腎臓の病気(糖尿病性腎症)、神経の病気(糖尿病性神経障害)の3つです。どれが最初に出てくるかという順番はありませんが、これらの合併症の初期には尿タンパクが出てきたり、両足の裏がしびれてきたり足の裏には膜がはったみたいな感覚がしたりします。
 さらに糖尿病のコントロールが悪い状態が続くと、最終的には目が見えなくなる、透析を受けなければならない、痛みを感じなくなるのでやけどやけがをしても気付かず重症化する―などといった重大な状態に至ることもあります。
 その他の合併症として、太い血管の病気(大血管障害)があります。脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞のもとにもなり、足の血管が詰まってしまい、足を切断せざるを得なくなったりするのです。
 また、神経障害も感覚神経だけでなく、運動神経や自律神経(体の調子を調節する神経)などにも影響が及んできます。こむらがえり(足がつる)を起こしたり、内臓の働きが悪くなり、下痢・便秘・排尿困難などを起こしたりします。
 このような合併症の発症、進行を食い止めるには、血糖のコントロールにしっかりと取り組むことが重要です
 糖尿病治療の第一の目標は血糖値を正常に保ち(血糖値を良好にコントロールする)、合併症を予防することです。食前血糖80〜120r/dl、食後血糖100〜160r/dl 、グリコヘモグロビン(HbAlc)5.5〜6.0%程度が良好なコントロールと考えられます。
 血糖値を正常に近づければ近づけるほど、合併症が出現する心配が少なくなります。また、特に二型糖尿病の患者さんでは、高血圧や脂質異常、肥満を合併しやすいので、これらの治療も必要です。

 [國本 清治,くにもと内科循環器科院長]


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