老人性皮膚そうよう症

 老人性皮膚そうよう症とは、加齢により皮膚が乾燥しカサカサとなり、痒(かゆ)みを伴う病気です。これは、皮膚の表面の皮脂膜およびそのすぐ下の角質層に脂が減少し、水分の蓄えがなくなり、外界のからの刺激に対しての防御作用を弱めてしまうため、皮膚の痒みおよび炎症が簡単に生じます。
 また、痒みが強いため、掻(か)くことにより二次的に湿疹(しっしん)化(=掻破星湿疹)し、より症状を悪化させることが多々あります。
 これらの症状を予防するためには、皮膚の乾燥を極力防ぎ、痒みを軽減させることです。掻いたり、たたいたり、さすったりせず、少しでも発疹を作らないためには、生活環境・習慣を良い方向に変えることです。
 そこで、衣食住に関しての注意事項をお話しします。衣類は、木綿が肌に一番良い素材です。特に下着はこれに限ります。また、木綿の下着でも、買ったばかりの物は素洗いしてからの着用が良く、購入時はザラザラ・ごわごわした物は避けましょう。上着でも直接肌に触れる場合も同様です。
 食事は、バランスの良い食事が基本です。偏食が一番良くなく、特にあくの強い物の過剰摂取はやめましょう。飲酒・香辛料は控えめにし、コーヒー・紅茶・緑茶などのカフェインの多い物も控えましょう。
 住居(仕事などを含め長時間いる場所)は、湿度をなるべく高めにしましょう。これには、湿度計及び温度計を自分自身が長時間いる場所(特に寝室)に置いておき、快適な数値を覚えておきましょう。一般には湿度は、55〜65%が良いといわれています。これを基本として加湿器の使用・洗濯物の乾燥を部屋でする・窓を開けての自然換気などを行ないましょう。お風呂に入るときは、ぬるめに長湯も良くありません。体を洗うときは、せっけんは少なめにし、ゴシゴシ洗いはやめましょう。
 以上、外的刺激の対処法を述べました。また、万一掻き動作を起こしたときのために、爪(つめ)は滑らかにしておきましょう。
 最後に、これらに劣らず精神的な因子、すなわち各人がストレスを解消し、趣味を持ち充実した生活をつくり出すことが重要です。これらの努力をしても症状が取れないときは、専門医に早めに相談することが肝要と思います。

 [国本 三夫,国本皮膚科医院・皮膚科専門医]


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