てんかんについて

 

てんかんは百人に一人の割合で認められる、決して少なくない病気の一つです。ほとんどの人は、てんかんというと、いわゆる引きつけを想像されるかもしれませんが、実際には、てんかんにはさまざまなタイプがあり、発作症状も適した薬剤もそれぞれ異なっています。

てんかん治療は、この十数年で目覚ましい発展を遂げました。てんかんの各タイプに応じた合理的治療法が推奨され、それに即した治療を行えば、多くのてんかんはコントロール可能となったのです。

現在、子供のてんかんは小児科が、大人のてんかんは精神科、神経内科、脳外科が取り扱っておりますが、問題は各科の医師すべてが、てんかん治療に精通しているわけではないということです。

適切な治療を行うためには正確な診断が欠かせません。それには専門的トレーニングが必要となりますが、それが可能な施設が非常に少なく、従って、てんかん専門医も多くないのが、わが国の現状なのです。

私の勤務する病院は、単科の精神科病院で、てんかんの患者さんはそう多くありません。それでも、時々受診される患者さんの中に、本来、性質のいいはずのてんかんが、適切でない治療のために、発作コントロール困難になっている例をみることがありました。誤ったてんかん治療の怖さは実にこの点にあり、いいはずのものが、正しくない治療のために悪いものに変わる可能性があるのです。

てんかんを得意とする医師のいる医療施設を知るには、てんかんの家族会である「波の会」に問い合わせてください。

さて、大人のてんかんでコントロール困難なタイプのうち、最も多いのが側頭葉てんかんでした。薬で抑制困難だったこのてんかんも、現在では脳外科手術で発作をなくすることが可能です。正しい診断と適切な薬物治療、それに脳外科手術によりてんかんは治る時代になったのです。

「波の会」などの連絡先は(社)日本てんかん協会北海道支部(〒064−0804、札幌市中央区南4条西10、北海道難病センター内、電話011・854局1267番)へ。

[角  哲雄,恵愛病院]


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