前立腺肥大症と癌

 

最近、年を取ったせいか尿の出が悪くなった、という話を耳にすることかありませんか。

男性が50−60歳以上になると、前立腺という臓器がだんだん大きくなってくることが多く、尿道を圧迫するために起きる症状なのです。老化現象だからと簡単にあきらめないで、医師に相談してください。

前立腺は、膀胱(ほうこう)から尿道が出てくる部分を取り巻くような部位にあって、内腺と外腺と呼ばれる二層に分かれます。ちょうどミカンのような構造をしています。ミカンの皮の部分が外腺、食べる実の部分が内腺に相当します。その中心部を尿道が通っています。

前立腺肥大症では、内腺が冬のミカンから夏ミカンのように大きくなってくるために、尿道が押しつぶされて尿の流れが悪くなって症状が出てきます。前立腺癌(がん)は外腺から発生してくるので、尿道の圧迫症状が初期には肥大症より現れにくくなります。

前立腺肥大症と癌の症状は@尿の回数が多くなる(特に夜間頻尿)A尿の出が悪く時聞かかかるB残尿感C血尿D症状が強くなると尿が出なくなることがあります。前立腺は直腸のすぐ前にあるため、指を入れて大きさや硬さを調べることでほとんどのことが分かります。苦痛もないので心配のある方は調べてもらうことをお勧めします。

そのほか、超音波検査、触診で硬い所がある場合には組織の一部分を採取する方法、血液中の特異抗原を測定する検査なども行われます。

治療には膀胱の出口の抵抗を弱くして尿を出やすくする薬剤、肥大した部分を縮小する目的の薬などがあります。前立腺癌はほかの癌と異なっていて、抗男性ホルモン療法が有効な特種の疾病です。

前立腺肥大症があるときには、日常生活では次のような点に注意しましょう。▽刺激の強い食品やアルコール飲料を取り過ぎないこと▽長時間同じ姿勢で座るのを避ける▽ドライブの途中に時々休んで体を動かす▽長時間尿を我慢して膀胱に尿がたまり過ぎると尿閉になることがあります。風邪薬などを飲んだときにも同じことが起こり得ます。

鈴木久雄皮膚科・泌尿器科鈴木医院


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