花粉症について

花粉症とは、花粉を吸入抗原(原因)とするアレルギー性疾患で、その発生には、その地域におけるその年の空中花粉飛散状況が大きく影響します。本州では、スギ花粉症が有名ですが、北海道では札幌や道南地方にわずかに植樹された人工林があるのみで、その飛牧童もわずかで、あまり問題にはなりません。

道内の代表的な花粉は、地域によって若干異なりますが、4月から5月まではハンノキ、シラカンバ、6月から8月まではイネ科の雑草(カモガヤ、オオアワガエリなど)、8月から9月、10月まではヨモギ、ブタクサなどがあります。

また、花粉症の発症に影響する要因としては、住環境の変化、食生活の変化、大気汚染などがあげられ、ディーゼル車の排気ガスが花粉症の感作、発症に関係するということもいわれています。

 症状としては、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、日のかゆみなどを発作性反復性に繰り返します。また、咽頭掻痒(いんとうそうよう)感、咽頭異常感、咳(せき)などを伴う場合もあります。

 治療としては、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、局所ステロイド噴霧薬などの薬物療法が中心になります。北海道では、比較的軽症で短期間であることが多いため、花粉飛散時期の約2週間前からの抗アレルギー剤の使用で症状をほぼコントロールする事が可能な方が多いと思われます。

しかし、症伏がひどい方で、特に鼻閉が強い場合にはハウスダストなどの通年性アレルギー鼻炎と同様、レーザー手術が非常に有効です。この方法は外来で比較的短時間(約5分)で施行でき、コストパフォーマンス的にも優れ、薬をできるだけ使いたくない方などに非常に良いと思われます。そのほか抗原の注射を繰り返すことによりアレルギー反応を弱める特異的減感作療法などもありますが、現時点ではスギ花粉症のみにしか行われていません。

 シラカンバ花粉症患者の中に、特定の果物、特にバラ科の果実(りんご、さくらんぼ、もも等)を食べた後に、口腔(こうくう)、咽頭、口唇などのかゆみ、腫脹を引き起こすことがあり、シラカンバ花粉症患者の増加、果物アレルギー患者の増加に伴い最近注目されるようになってきています。まれには、喉頭(こうとう)浮腫や全身的なアナフィラキシーショックを起こすこともあり注意が必要です。


[上戸敏彦,かみと耳鼻咽喉科クリニック]


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