じんま疹とは

じんま疹(しん)は、10〜20%の人が一生に一度は経験するくらい多い皮膚の病気です。ある日突然、激しい痒(かゆ)みに襲われ、痒い所を見てみると、蚊に刺された様にプクッと盛り上がっていたり、引っ掻(か)いた所がミミズ腫れになったりします。普通、これらの症状は数時間以内に消えて行きますが、再び同じ所やほかの所に生じたり、1日以上残っていることもあります。

 この原因は、一般に食物・薬・感染症等によるアレルギーによって(実際には少ない様です。)生じると思われていますが、他にもアレルギーが直接関与しない内科疾患(肝臓・腎臓・すい臓など)、物理的刺激、ストレスなど、じんま疹が起きる引き金としてたくさんのものがあります。

本来どんな病気でもその原因を探し、それを除去すれば、治るものです。じんま疹も同様です。

そこで症状出現前後の生活(衣食住など)の変化を聞き、怪しいと思われることに関して検査してもほとんどが正常であり、時に異常を見いだしてその専門医に診療してもらい正常化したとしても、皮膚症状が軽減しないことが多々あります。

 分類は、多種ありますが複雑なので、特殊なものも除いて、一般的な急性及び慢性じんま疹に関して話します。

 急性じんま疹は、一般に1ヵ月以内に症状が改善(治癒)されるものをいい、アレルギーが関与している割合が高く、原因が確定されることも比較的多いようです。

しかし、高度医療機関の報告でも原因が確定したものは5割以下のようです。ただし、その中ではアレルギーによるものが高率です。

 慢性じんま疹は、1ケ月以上症状が続くものをいいます。また、原因を確定することが困難であり、アレルギーが関与することも非常に少ないといわれています。

 急性期(発症初期)の注意は、痒み、皮膚症状以外に息苦しさ・脱力感・思考力減退を伴った場合は、ショック状態になることもありますので、全身管理が出きる総合病院に受診してください。軽く考えていると命に関わることになりかねません。

また、比較的症状は軽いが慢性に経過するじんま疹は長期にわたり、生活に種々の影響を与えます。皮膚症状以外がなくとも慢性化しにくいように、なるべく早期に受診しましょう。

 また、治療により症状が改善しても治療をやめずに再診することが重要です。これは症状がなくなっていても、投薬などにより改善しているだけで、完治していないことがあり、その結果慢性化してしまうことがあるからです。

 慢性じんま疹はなかなか原因も見つけられず、特に数年以上続く時は、症状を改善する治療が主流でありますが、決して治らないことはなく、皮膚科専門医の先生方々も確立した治療法もないため、暗中模索し種々の経験より自分なりの治療法を考えだしその効果を高めることに努力しています。

私は、漢方薬を取り入れることから試みました。時に効果があり、他の症状も取れたこともありますが、以前の治療とこれと言った大きな差はありませんでしたが、これと思う患者さんには使用します。

現在は慢性病の治療の原点に戻り、投薬などにより症状をまずはなくし、これが続けば時をみて徐々に休薬日を増やしていく方法を行っています。これによりまずまず治療効果は上がったかと思います。

 治療方法は、各種ありますが、受疹されている先生(皮膚科・アレルギー科など)との信頼関係を保ち時間はかかりますが、治癒・症状を軽減するため、悪化因子である飲酒・解熱鎮痛薬・温熱・ストレス等を極力さけ、病気とつき合っていくことが必要だと思います。


 [国本三夫,くにもと皮膚科医院]


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