苦しくない胃内視鏡検査のために

内視鎮検査と問くと苦しいからできればやりたくないと思っている方も多いと思います。以前は、バリウム検査が多く行われていた時代もありましたが、現在ではあまり行われなくなりました。

この理由バリウム検査内視鏡検査に比べて小さな病変を指摘しづらく、消化管粘膜の詳細な情報を得られないためです。これに対して、内視鎮検査は直接消化管粘膜を観察することができ、必要があれば直接組織を生検鉗子(かんし)で採取することにより詳しい病態を知ることができます。さらに小さなポリープなどは、状況によってはその場で電気的に切除することも可能です。最近では、内視鎮本体や周辺機器の進歩が著しく、癌(がん)を含むさまざまな病変に対して診断のみならず治療へと大きくその適応範囲が拡がっています。このため、近年では内視鏡検査の比重が飛躍的に高まっていますが、バリウム検査に比べ苦痛が多いため、検査を躊躇(ちゅうちょ)する方も多いと思われます。

そこで苦痛を少しでも少なくし、できるだけ「楽に」検査を受けてもらうためのポイントについて考えてみたいと思います。

苦痛の少ない検査のためには,内視鏡医側の要素が大きいのですが、検査を受ける側の注意点としては@前日の飲酒や睡眠不足を避けるA風邪など体調のすぐれないときは状況により検査日を変更するB精神的安定を図る。どうしても不安が強いときや嘔吐(おうと)反射の強いときは、鎮静剤の投与も考えなければならない場合がありますが、医師によく相談してくださいC口の中にたまった唾液(だえき)は飲み込まず口から垂れ流すD内視鏡を飲むときは首を軽く前に出し、顎(あご)を少し突き出した姿勢を取る。顎を上げ過ぎたり、顎を引き過ぎると苦しくなりますDマウスピースは強くかまない。

以上述べたことが一般的な注意点ですが、最も大事なことは、担当医やスタッフとの信頼関係です。疑問点があったら納得のいくまでよく説明を受け、安心して検査を受けてください。

 [佐藤喜夫,内科消化器科サンクリニック]


目次に戻る

Copyright (C) 1998 by Muroran Medical Association. All rights reserved.