テニス肘とは?

私事ですが、この冬は雪が多く除雪の機会が多かったのか、左肘(ひじ)関節外側に痛みが生じ、かなり悩まされました。原因はともあれ、同様に肘の痛みを訴える患者さんが多数来院しました。偶然、ある研究会で肘の痛みの治療の最新のお話がありましたので参考にして紹介します。

上腕骨外側上顆(じょうか)炎は、日常生活やテニスなどのスポーツ活動で手首や指を伸ばす筋肉、腱(けん)の使い過ぎによって、肘の外側上顆部の筋肉や腱が炎症を起こした疾患です。別名テニス肘といわれますが、テニスの原因はわずか10%程度で、残りは家事や過度の手仕事です。

 〈発症原因〉

@中高年のテニスプレイヤーや家庭の主婦では、腱が付着する個所の骨の変化や骨のとげ、石灰沈着を認めることがあり、加齢的変化と考えられます。

A若年者では使い過ぎと考えられます。プレー頻度が過3回以上になると発生頻度は30%を超え、また1回に2時間以上のプレーは、それ以下に比べ3.5倍になる報告があります。さらにゴルフでも同様1番言われることですが、技術の低いプレイヤーはインパクト前からグリップに力が入り、肘に負担がかかることです。

症状はテニスではインパクト時、日常生活では鍋を持ち上げるとき、タオルを絞るとき、ドアノブを回す時に痛みが出ます。

診断は疼痛(とうつう)誘発テストでチェックします。すなわち、前腕の伸筋腱に負荷をかけ痛みの有無をチェックします。

具体的には肘を伸ばした状態で手首を反らさせ、力比べをするように反らした手首に抵抗を加えると、肘の外側上部に痛みを訴えます。

 治療は、手術しない方法が原則です。私の治療は、痛みの激しいときは湿布財などを処方し、まずスポーツ活動を一時中止し、日常生活ではできるだけ肘や手首を使わないように指導し、長期間使用しても副作用がないテニスバンドの着用を指示します。

以前は理学療法として温熱・電気刺激を行い、ストレッチングや筋力訓練を指導しましたが、最近はそれらの効果は疑問視されています。

炎症反応が強い症例ではステロイド腱鞘(けんしょう)内注射を行うこともありますが、痛みを一時的に断ち切るにはよいのですが、疼痛がない時期にさらに無理をすると、再発しやすい可能性があります。なお、特殊な症例を除いては手術的治療(腱の起殆部の切除)が必要となることはありません。

最後に患部を安静にして使わないことが原則。やり過ぎとグリップカは発生頻度を高めますので「体力に応じたプレー」を十分にお願いします


 [澤田一二,医療法人社団さわだ整形外科]


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