室蘭・登別地域ではゴールデンウィークに始まったはしか(麻疹=ましん)の流行がまだ続いています。昔からはしかは、子供に流行する病気といわれてきました。特効薬はなく、予防はワクチン接種しかありません。
日本ではワクチン接種が義務化されておらず、接種率も低かったことから数年置きに流行が見られていましたが、ここ数年、乳幼児期のワクチン接種の増加に伴い、子供での発症は少なくなっていました。
ところが、今回の東京から始まった流行は患者さんの多くが高校生、大学生、成人です。室蘭地方でも患者さんの多くは高校生以上の方たちです。小児ではワクチン接種をしていなかった子供たちと、1歳前の乳児も感染しています。
はしかにかかった人には強い免疫ができるので、二度はしかにかかることありませんが、はしかという病気は1000人に1・2人脳炎を引き起こすほか、肺炎などの合併症も多く、毎年数十人が亡くなっていた重症の感染症です。
日本では最近まで毎年、数万人の人がはしかにかかっていましたが、ワクチン2回接種を徹底して導入した米国では、はしかはほぼ制圧されており、年間100人未満しか発症しておらず、しかもほとんどが外国からの輸入症例で、日本は麻疹輸出国として問題になっています。
はしかから身を守るためにはワクチン接種しかありません。一度接種すると95%の人で効果があります。しかし、1回だけだと10年から15年で免疫力が低下してしまいます。再度接種すると免疫力が回復し持続するため、昨年から1歳と小学校就学前1年間の2回接種に改められました。
しかし、現在10代後半から30代の人たちはワクチン接種から10年以上経過しており、免疫力が低下していることが予想され、またワクチン未接種の人も多いため、今回の流行が高校生以上に多いことの理由と考えられます。
はしかの流行を防ぐためには、10代後半以上の方たちだけでなく、現在、免疫力が保たれている小学生や中学生も、将来、免疫力が低下してしまう恐れがあるため、もう一度ワクチン接種を受けることが重要です。
[間 峡介,はざま小児科クリニック]
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