海外で健康であるために

観光、仕事、勉学やボランティア活動のために海外へ渡航し、滞在する日本人は年々増えていますが、衛生的になった今日の日本では考えられない病気が、開発途上国では多く見られます。海外での健康な生活を充実させるため、渡航の準備段階で予防接種を受けるようにしましょう。

旅行先、旅行目的などによって受けた方が良い主なものは次のようなものです。

@黄熱=アフリカ、中米、南米方面。未接種者は入国ができません。

Aコレラ=東南アジア、インド、アフリカ、中米、南米。ワクチンはあまり効果はありませんが、証明書を要求する国があります。

BA型肝炎、B型肝炎=世界中に広く分布しています。

C狂犬病=世界中でその発生がない地域は日本を含めて数カ国だけです。犬だけでなく、キツネ、アライグマ、コウモリなどの動物も危険です。昨年11月、フィリピンで犬に咬(か)まれ死に至った狂犬病の2例が、日本国内では36年ぶりに京都と横浜でありました。

D日本脳炎=東南アジア、インド、ネパール。

E破傷風=世界中発症の危険性はあります。

Fマラリア=アフリ力、南米、インド、東南アジア。ワクチンはありませんが、予防薬があります。

これらの予防接種は、大都市やリゾートヘの一般的な観光旅行者はその必要性はほとんどありませんが、必要性の高いのは開発途上国を旅行する人やボランティア活動で現地の人らと接触する人です。

目的地が決まったならば、予防接種計画表を作り早めに受けてください。平成17年4月、夕イのバンコク日本人学校へ赴任された教師の一家4人のA型肝炎、B型肝炎、狂犬病、日本脳炎、破傷風の予防接種期間は6ヵ月を要しました。各種ワクチンは年中在庫があるわけでなく、特に狂犬病ワクチンは入手困難な状況が続いています。なお、予防接種料金はすべて自己負担です。

[東  浩,室蘭船員保険診療所]


目次に戻る

Copyright (C) 1998 by Muroran Medical Association. All rights reserved.