急性副鼻腔炎について

寒くて、乾燥する時期になり、感冒が流行してきております。今回は急性鼻炎や急性上気道炎といった鼻風邪が引き金になる急性副鼻腔(びくう)炎についてお話しいたします。

鼻の穴(鼻腔という)の周りに4種類の副鼻腔という空洞があります。この副鼻腔というところまで細菌やウイルスが感染して炎症を起こしたものを「副鼻腔炎」といいます。

一般的に知られている「蓄膿(のう)症」は慢性的なものをいっております。急性の場合は、慢性のものと異なり、多くの膿汁、頑固な鼻閉、後鼻漏(鼻水がのどの方に落ちてくること)、発熱(37度台が多い)、異臭、頭痛(特に頭を下にしたときに増強)、歯痛、嗅覚障害などの症状が見られます。

風邪の後にこのような症状が続く場合は、急性副鼻腔炎を考慮する必要があります。繰り返すことともあり、一度なった方は自己診断できることもあります。

診断は問診とエックス線検査で大半は判明します。

治療は、合併症のない限りは保存的に行います。一つは薬物療法で抗菌剤と粘りのある鼻汁が多い場合は消炎酵素剤など併用して使用します。他にネブライザー療法、たまった膿を出すための穿刺による排膿処置なども症状に合わせて行います。

小児の副鼻腔炎に関しては、副鼻腔の成長過程であり、十分な腔を形成していないため、容易に感染症を起こしやすい傾向があります。また、慢性の場合でも急性の性格を持って症状の増悪と寛解を繰り返しますが、50%は自然治癒するという特徴を持っております。また、小児の場合は、アレルギー性鼻炎、アデノイド増殖症、滲出性中耳炎が合併していることも多く、合わせた治療が必要です。

いずれにしても、急性副鼻腔炎では、原因がカビ、腫瘍(しゅよう)の合併、合併症のない限りは保存的に改善することがほとんどで、早い方で1週間から平均2週間前後で症状の改善を認めます。風邪の後に前述の症状があれば、専門医を受診するとよいでしょう

[松田史明,とんけし耳鼻咽喉科クリニック]


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