子供に頭痛薬を使っていいの?

■片頭痛

片頭痛は特徴的な前兆症状を伴う頭痛で、目の奥の痛み、チカチカ光るというような症状の後に割れるような頭の痛みと、吐き気、嘔吐(おうと)を伴うものです。片頭痛の原因は脳血管の収縮とその後の異常な拡張のためと考えられています。

治療には、いわゆる鎮痛剤である頭痛薬と呼ばれるものは効果が少なく、血管の拡張を正常に戻す薬剤が使用されており、高い効果が得られます。

偏頭痛は、思春期、中学生時期より発生しますので、この場合には、頭痛を我慢することは全く無意昧であり、ためらうことなく薬剤を使用して、社会生活を快適に過ごさせるべきです。

■筋緊張性頭痛

大人では、このタイプの頭痛が最も多く、悩まされることが多いのですが、最近は子供にとっても、社会構造の複雑化、学校問題等でのストレスの集積により、増加しています。頭が締め付けられるように痛い、こめかみがズキズキする、頭が重い等々の症状を訴えます。

学童にとりましては、小学校入学、中学、高校進学や、部活動など日常生活の変化が引き金となることが多く見られます。

このような場合に頭痛薬による治療をすべきか否かは、迷うところですが、小学生まではできるだけ薬剤使用を避け、環境の変換を指導するようにしております。中学生ともなると、大人とあまり変わらない社会生活の複雑化が認められますので、頭痛薬の使用もやむを得ないと考えます。

■幼児の頭痛

脳腫瘍(しゅよう)は、好発年齢というものがあり、幼児期から小学生低学年がそれに当たり、年齢によって発生する脳腫瘍の種類もだいたい決まっているといっても過言ではありません。

加えて幼児の場合には自覚症状が不明確で、本人からの訴えもあまり期待できません。従って、脳腫瘍で頭痛が出現するのは、かなり病状が進行している場合があることを知っていただきたいと思います。

幼児の頭痛の圧倒的多数は、何らかの不調、不満の代替としての訴えです。幼児は語彙(ごい)が少ないので、頭が痛い、おなかが痛い、ということで親に訴えるのはご存じだと思います。例えば幼児が交通事故に遭ったとして、いつまでも頭が痛いと訴えることがありますが、これは多くの場合、事故の際の恐怖を呼び起こしての訴えと、それにより周囲の関心、注目を得られることを学習した結果です。

ですから、異常ないという結果が得られているときには、上手に彼らの訴えを無視し、他のことに注意を振り替えることが、何よりの薬となるでしょう。

[宮町敬吉,登別・宮町脳神経外科クリニック]


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