貯金はできなくても「貯筋」をしよう

今回は「年だから」とか「運動は苦手」と思っている方に「貯筋」のお勧めです。このご時勢、貯金はなかなか大変ですが、「貯筋」は努力しだいで誰にでもできます。

上肢の筋肉量は年を取ってもあまり減りませんが、下肢の筋肉量は徐々に少なくなっていきます。1年間に約1%の筋肉量が減少します。

何日間か病気で寝ていて、脚が弱っているのにびっくりされた方もいると思います。寝たきりで脚を使わないと1日0.5%、2日で1%、1年分減少してしまうからです。「貯筋」をしていない人は特に下肢の力が弱ってしまうのです。いざという時に借金はできても「借筋」はできないのです。

「貯筋」のためには何といっても運動です。運動といってもスポーツではありません。歩行運動、軽いジョギング、自転車など誰にもできることです。

さて、筋力は運動中に増強するのではありません。むしろ筋肉組織は運動によって傷つけられます。しかし、その後の休息によって修復回復作用が現れ、その後に超回復期が訪れ、以前より能力の高い筋肉になるのです。ですから運動の後には十分な休息が必要です。やりすぎはいけません。

また、運動を始めると最初はエネルギーとして炭水化物が燃えだし、15〜20分たつと脂肪の燃焼が始まりますから、20分以上持続的運動をしたいものです。

運動量の目安は年齢によって違いますが、週少なくとも3回以上、50歳以上ですと脈拍110から120、うっすらと汗をかく程度が目安です。軽いストレッチをやってから運動するとより効果的と言われています。

運動は「貯筋」だけでなく糖尿病、高血圧、脂質異常、などの病気の方に欠かせません。また、高齢期をはつらつと生活するためにも必須です。それに運動は気分をすっきりさせてくれます。特に友達と楽しくやる運動は最高です。イタンキ浜のウグイスやヒバリの鳴き声、ハマナスの花など本当に気分爽快(そうかい)です。

お金を一気に貯(た)めようとすると落とし穴が待っています。同じように「貯筋」も一気はダメです。自分に合った運動を焦らず気軽に少しずつ「貯筋」することです。必ず「あれ、もう少しできそうだ」という新しい自分を発見することでしょう。

最後に現在、高血圧、糖尿病、心臓病などで通院している方は必ず主治医の先生に相談してください。さあイタンキ浜でお会いしましょう。

[佐藤冨士夫,勤医協室蘭診療所医師]


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