経鼻胃内視鏡

鼻からの胃カメラ

胃の検査といえば、胃カメラ(胃内視鏡)は一般的な検査になっています。

胃内視鏡は当初の胃カメラの時代からファイバースコープヘ、さらにCCDカメラによる電子スコープの時代に入り、急速に進歩してきました。細く柔らかく画質が向上し機能的な内視鏡ができ、今では出血を止めたり胃がんを切除することもできるようになっています。

内視鏡検査は、それほどの苦痛もなく受けられるようになっていますが、中にはどうしても「ゲーッ」とか「オエーッ」という嘔吐(おうと)反射が強くて苦手な方もがいるようです。

細い内視鏡は比較的楽なようですが、画質や耐久性に問題があり、あまり普及はしませんでした。約7年前に耳鼻科や呼吸器科の内視鏡を応用し、胃の内視鏡を鼻から入れる試みがなされました。その後、技術の進歩とともに広まってきたのが「経鼻胃内視鏡」、鼻からの「胃カメラ」です。

1番のメリットがこの喉(のど)嘔吐反射が極端に少なくなることです。検査中も会話ができ、唾液(だえき)の分泌もあまり多くはありませんので、話をしながら実際の検査中の映像を見ながら行うこともできます。

 また、検査後の食事や運転などの制限も少なく短くなります。検査を受けた方から「楽だった」 「次回も鼻から」と言われることが多いようです。

 鼻の粘膜は敏感ですので、十分な麻酔が必要です。そのため、粘膜の血管を収縮させ鼻の通りを良くするとともに、こすって鼻血を出さないように念入りな前処置が必要です。それでも鼻の持病がある方や鼻の奥の通り道の狭い方で内祝鏡の通過が難しい方は、無理をせずに鼻用の細い内祝鏡を□から入れることもできます。

細い分、性能が劣るという見方もありますが、画質は確実に向上し、早期がんの発見率も遜色(そんしょく)ないまでになっています。弱点として、慎重な検査のため時間がやや長めになること、胃の組織検査は可能ですが、ポリープ切除や粘膜切除などができないことなどです。

[開田博之,登別・開田医院院長]


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