脳ドックについて

■脳ドックとは

現在、日本人の死亡原因の第1位はがん、第2位は心疾患、第3位は脳卒中です。心疾患、脳卒中はいずれも動脈硬化が大きく関係しています。

脳卒中には、脳の血管が詰まる「脳梗塞(こうそく)」、脳の中に出血を起こす「脳内出血」、脳の血管にできた“こぶ”(脳動脈瘤)が破れて出血を起こす「くも膜下出血」という三つの病気が含まれます。

脳卒中は今まで元気だった人が、突然倒れてしまう病気で、命にかかわる病気です。また、薬、手術などの治療やリハビリテーションを行っても、多くの患者さんが後遺症と闘っているのが現状です。この怖い病気である脳卒中を予防するために行われているのが「脳ドック」です。

■脳ドックの内容

脳ドックの内容は病院ごとに異なりますが、特に重要な検査が「MRI」と「MRA」です。「MRI」は脳の断層写真のことです。この検査で脳の状態を調べますが、今まで何も自覚症状がなかった人にも動脈硬化によって起こる小さな脳梗塞が見つかることがあります。また、脳のできもの(脳腫瘍)が見つかることもあります。

「MRA」は脳の血管を調べる検査です。この検査では、脳の血管が細くなったり、詰まりかけていないかどうかや脳の血管にできたこぶ(脳動脈瘤)の有無などを調べます。

■脳ドックと健康管理

残念ながら、脳ドックを行うことによって、すべての脳卒中を予防できるものではありません。特に脳内出血などは、予測が難しいこともあります。

しかし、脳梗塞や脳内出血を起こす方は動脈硬化が進行している場合がほとんどです。

脳ドックを受けていただき、ご自分の脳の状態をぜひ調べてみてください。また、脳ドックで、脳動脈瘤が見つかって出血を起こす前に治療を受けている方もたくさんおられます。

ご自分の健康管理に、ぜひ「脳ドック」を活用してください。詳しくはお近くの専門医にご相談ください。

[林 征志,大川原脳神経外科病院副院長]


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