強迫神経症ってどんな病気?

ガスの元栓閉めたかな、玄関のドア施錠したかしら?誰でもこのような不安を持った経験はあると思います。それでも大抵はまあ大丈夫となるのが普通です。

ところが一度確認したにもかかわらずまた不安になって確認に戻る、それをいつまでも繰り返してしまう人がいます。不安でどうにもならないのです。どうしてこんなばかげたことをしているのだろうと思っても同じ行為が止められない、そうなると普段の生活にも支障を生じてしまいますね。これが強迫神経症(強迫性障害)です。

 患者さんが示す症状は実にさまざまです。ある患者さんは手の汚れが気になって仕方がなく手を洗うのが止められません。ある学生は便の後、ふいてもふいても便がついていると感じ結局、トイレットペーパーを全部使い切らないとトイレから出ることができません。

このような汚れに関する強迫神経症は比較的多く見られ、不潔恐怖とも呼ばれます。

針治療の後、針が身体の中に残っていると思って市内のありとあらゆる医療機関を受診した主婦、同じ道や同じ車線を通らないと落ち着かない営業マン、会社のパソコンの電源が切れたか確認するため30分以上パソコンを見続けるサラリーマンなど、持っている症状は異なっても強い不安の中で生きているのは共通しています。

●原因

 原因はまだ分かっていません。ただストレスなど何か誘因があって生じるものではなく、その人がもともと持っている素質・体質が発症と関係しているのはほぼ確実と思われます。

●治療

 私が精神科医になった30年前、強迫神経症の治療法はまだありませんでした。治らない病気だったのです。しかし現在は治療法が確立し治る病気となりました。うつ病治療薬が強迫神経症にもよく効くことが分かったのです。ただすべてのうつ病治療薬が有効なわけではありません。

また少量で有効な場合もあれば、増量して初めて効果が出てくるケースもあります。専門医と相談しながら焦らず治療していくことが大切です。

[角 哲雄,室蘭こころのクリニック院長]


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