レビー小体型認知症

高齢化社会にあって、今や日本人の65歳以上の10人に1人は認知症といわれる時代になりました。全国ではおよそ180万人の認知症の患者さんがいるといわれ、そのうちレビー小体型認知症は約20%と推計されています。

我が国の認知症対策が徐々に国民に浸透して、アルツハイマー型や脳血管性認知症はよく知られる病気となりました。レビー小体型はそれらに次いで多い認知症です。

「レビー小体」という特殊な物質が、大脳皮質に広く出現すると認知症となったり、脳幹を中心に現れるとパーキンソン病となったりすることから両者は非常に近い関係にあると考えられています。

レビー小体型認知症の症状は、認知症の必須症状である物忘れや理解力・判断力の低下が認められますが、特徴的なのは、病状の初期から中期にかけて幻視が出現することです。幻視とは、「ネズミが床を這(は)い回っている」「子供たちが壁の中から部屋に入ってきて遊んでいる」など、現実には見えないものが本人にはありありと見える症状です。

その日によって、また時間帯によって頭がはっきりしていたり、ボーッとしていたり認知の変動を示すこともあります。

3番目には、動作が鈍くなる、無表情、手の震え、筋肉のこわばりなどパーキンソン症状の出現も特徴的です。そのほか、睡眠中に大声で寝言を言ったり、怒ったり異常行動や抑うつ症状を示したり、複雑な症状が現れるため誤診をされることもあります。

これらの症状が見られた場合は専門医の診察と適切なアドバイスが必要と考えられます。

治療薬によっても病状の改善は期待できますので、やはり早期発見、早期治療が、患者さんやご家族にとっても、最も大切なことだと考えます。各地域に包括支援センターもあります。気軽に相談ください。

[遠藤秀雄,社会医療法人友愛会恵愛病院]


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