頭痛のお話

頭痛という症状は誰にでも経験があると思います。頭痛もちは日本に約3千万人もいるといわれており、そのうちの3分の2は肩や首の筋肉のこりによっておこるいわゆる「肩こり頭痛」で、脳の病気とは関係がありません。

頭痛には病気によっておこる頭痛(症候性頭痛)と病気ではない原因の頭痛(機能性頭痛)があります。頭痛はその程度によってはつらい症状ですから、脳の病気ではないとしても放置できないことがあります。

脳の病気ではない頭痛の代表として「片頭痛」という頭痛があり、頭の片側が発作的に激しく痛む症状です。成人の頭痛の8%程度がこのタイプといわれており、脳ではなく頭の皮膚、筋肉の血管が異常に伸び縮みすることによっておこると考えられています。

片頭痛という名前ですが、両側におこることも4割と多く、発作的におこり、主に頭の前の方(こめかみや眼のあたり)が「ズキンズキン」、「ガンガン」と激しく痛み、数時間続きます。吐き気を伴ったり、前触れとして眼がチカチカして光が見えたりすることもあります。

片頭痛は発作を繰り返すことも多く、若い女性に多くみられますが、年齢とともに少なくなっていきます。治療薬は片頭痛専用の薬でなければ効き目が悪い場合がありますので、脳外科外来に相談してみてください。

脳の病気によっておこる頭痛で代表的なのは「くも膜下出血」です。これは脳の血管にできる(多くは以前から持っている)動脈瘤(りゅう)が破裂することによっておこります。

症状は片頭痛と似ており、頭をバットで殴られたかと思えるような突発的で非常に激しい頭痛で発症します。吐いたり、意識を失って倒れることも多く、生命にかかわる恐ろしい病気です。

当院ではくも膜下出血は過去3年間に96名入院されており、そのうち3分の1が手術もできずに亡くなってしまう重症例でした。くも膜下出血になる方は脳動脈瘤を隠れ持っていますので、脳ドックや外来でのMRI検査で破裂する前に発見することが重要です。

このように急におこる頭痛は脳の病気であるかどうか判断がつかないこともありますので専門医を受診されることをお勧めします。

[松本行弘,大川原脳神経外科病院院長]


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