リハビリ

リハビリというものについて、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか。簡単に言うと、身体に障害を受けた者が再び日常生活や社会生活に復帰するためのものです。

TVのドキュメンタリーなどでリハビリを受けている方の姿を見ると、大変そうだなとか、つらくて厳しいものなのかな?という印象を持つ方もいるかもしれません。しかしそれはリハビリを受け身の治療として捉えている一つの体系にしか過ぎません。

現状のリハビリでは、患者さんのニーズに合わせて、ご自身が積極的に治療に参加していくことが望ましく、むしろそのほうが治療成績も向上し、満足度も高くなるというのが事実です。

また、中には負担をかけることとトレーニングの認識を誤解し、痛みがある場合でも通常と変わらない負荷を与え続け、痛みが増悪しているケースも見受けられます。

トレーニングと負担をかけることは異なるということを理解していただきながら、運動療法や姿勢、あるいは環境への改善のアドバイスによって、日常生活や社会生活に負担とならないような機構をつくり上げていくのもリハビリの役目です。

 そのためにリハビリでは物理療法や徒手的な治療とあわせ、必要に応じたトレーニングが行われます。トレーニングの利点としては、それ自体が治療と再発予防の双方を併せ持ち、そのほとんどが自宅で行うセルフエクササイズが可能です。

例えば、筋・筋膜性由来の腰痛症であれば、腰部の安定化や姿勢調節に関与するローカルマッスルである腹横筋や多裂筋などを選択的にトレーニングすることにより、一過性には深層筋への血流の促進により痛みが和らいだり、前にかがみやすくなるなどといった状態をつくり、長期的には負担に耐えられる腰づくりが可能になります。

ここで大切なことは、時間がとれないとか、年だからあきらめるということではなく、少しの時間を自らがやりくりして継続して行うことであり、多くの場合は必要なトレーニングの継続により症状の改善が期待できます。やらされているとか、やってもらっているという意識から、自ら目的を持って取り組む姿勢が大切であるといえます。

[神島博之,神島整形外科医院院長]


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