けがをした際の止血法について

あなたは、もし手などにけがをして出血してしまったらどうしますか?。血を止める方法には「直接圧迫止血法」と「止血帯法」の2種類があります。

まず、お勧めしたいのが「直接圧迫止血法」です。出血している部位に直接、布などを当て、その上から手でしばらく圧迫して止血する方法です。出血が治まったらテープや包帯などに換えても可です。圧迫の後、患部(手など)を挙上し心臓より高い位置に持っていくだけでも、心臓との落差をつくり患部の血圧を下げられるので、出血をかなり抑えることができます。

もう一つの「止血帯法」は手足の太い血管損傷による出血で、「直接圧迫止血法」では止血が難しい場合に行います。出血している部分よりも心臓に近い場所に、3センチ以上幅のある長い布などを巻き、これを強く縛ることによって止血します。止血が不十分な場合には止血帯の間に棒などを入れ、これを回転させ、より強く縛ることで止血します。止血時間に注意し、30分以上続ける場合には、阻血(血流不足で組織が死んでしまうこと)を防ぐために、30分に1回止血帯を少し緩め、末梢(まっしょう)の手足に最低限の血が流れるようにします。

外科の外来には、手足にけがをした患者さんがたくさん来られますが、困るのは間違った「止血帯法」をされている方が多いことです。けがの部位の心臓側を包帯などで縛って来る方が多いのですが、そのほとんどが「緩縛り」なのです。

その結果、患部に血を送る動脈は開き、血を体に返す静脈が閉じた状態になって、何もしない場合より出血量を多くしています。動脈が閉じるまできつく縛るのは実は大変難しく、よほどの大きなけがでなければ「直接圧迫止血法」が簡単、かつ安全なのです。けがをした時や見た時には、この記事を思い出してみてください。

[堀尾昌司,堀尾医院院長]


目次に戻る

Copyright (C) 1998 by Muroran Medical Association. All rights reserved.