人が倒れたら

めったにあることではありませんが、目の前で人が倒れることがあります。そのような時には慌ててしまい、どうしたら良いか分からなくなることが多いので、簡単におさらいをしておきましょう。

 まずは意識があるかどうか、肩をたたいて大声で呼び掛けてみます。返事が無ければ自分一人では手が足りませんから、応援を呼びましょう。そして、まず救急車(119番)を呼びます。もしAED(自動体外式除細動器)という機械が近くにあれば、誰かに持って来てもらい、使い方の分かる人が装着します。119番の電話は切らずに、そのまま指示を仰いでください。

 救急車が来るまでの間、傷病者を観察します。呼吸をしているでしょうか?。胸や腹の動きを見てください。呼吸をしていれば、そのまま救急車を待ちましょう。しかし、呼吸をしていない場合や、しゃっくりのように顎を上げる呼吸しかない場合は、直ちに胸骨圧迫を開始しなければなりません。

 胸骨圧迫とは、傷病者を仰向けにして胸の横にひざまずき、両手を胸の真ん中に置き、体重をかけて5センチほど沈むように強く押すことです。1分間に100回のリズムが良いとされていますが、回数の正確さよりも、途切れずに胸骨圧迫をすることの方が重要です。人工呼吸も大事ですが、慣れないとうまくできないので、やらなくて構いません。傷病者が呼吸をし始めたり動き出したりするか、救急隊に引き継ぐまで、交代で胸骨圧迫を続けましょう。

 さて今回は、医療の心得が全くない方を対象に、必要最小限の心肺蘇生法を書きました。「百聞は一見に如かず」ですから、ぜひ地域の救命講習会に参加してみてください。誰でも、命を救うという偉業を成すことができるのです。


 [宮澤正明,皆川病院医師]


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