血圧のお話

日本の高血圧患者は3300万人ともいわれ、4人に1人は高血圧患者の時代です。高血圧は、全身の血管に負担を掛けるため、放置すると脳卒中や心筋梗塞などになりかねません。しかし、自覚症状はほとんどなく、深刻な事態になるまで気が付かないことから「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれています。日ごろから自分の血圧に関心を持ち、不測の事態にならないように血圧の自己管理をいたしましょう。

 高血圧の正確な診断は診察室の測定だけではなく、自宅で測定する「家庭血圧」が欠かせません。幸い家庭用血圧計が広く普及しており血圧の自己測定を行う人も増えています。血圧計を買う場合、精度からいって上腕用のものが良く、手首用のもの、指用のものは少し劣っているので推奨できません。

 家庭血圧測定に適しているのは早朝です。早朝は血圧が上昇しやすく、脳卒中や心筋梗塞も起こりやすい時間帯です。また高血圧治療をしている方は薬の効果が切れやすい時間帯でもあります。早朝、しっかり血圧を測定し、その測定値を持参して主治医に相談しましょう。通常、診察室で測る場合14090mmHg以上が高血圧となりますが、家庭血圧の時は13585mmHgが高血圧となります。

 外来で血圧がコントロールされている患者が家庭で測ってみると13585mmHgを超えていることが意外と多く、こうした高血圧を正常血圧にマスクされているということから仮面高血圧と呼んでいます。この仮面高血圧は一般の高血圧に比べ、脳卒中や心筋梗塞になるケースが多いわりに、見逃されていることが多く、早く仮面高血圧に気付くためにも一家に1台血圧計を持ち、血圧を測る習慣をつけましょう。

[森川 亮,森川内科医院院長]


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